診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第3章 新たな人材を求めて

42話 佐久間先生の始まり

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 10日間の工事を終えて、本館5階の外科フロアが完成した。

間に合わせにしては、なかなかちゃんとしている。

もともと高級ホテルを意識した雰囲気だから、外科フロアといっても、まるでホテルの中のクリニックのようなシックな造りになった。

これなら佐久間先生にも喜んでもらえるだろう。

今日はお披露目も兼ねて、休憩室での朝礼ではなく、5階へ見学を兼ねてみんなに来てもらった。

「うわ~すごい。同じクリニックだとは思えないよね?」

「雰囲気がリッチだよねえ?」

なんて声が聞こえてきた。ははっ。

佐久間先生も速見先生も、嬉しそうにみんなの様子を眺めていた。

「速見先生も佐久間先生も、新しいビルができるまでご不自由をおかけしますが、ここでどうぞよろしくお願いします」

速見「はい、承知しました」

佐久間「皆さん、本当にありがとうございます。私の家族までこんなに手厚くしていただいて、本当に感動しています。これから皆さんにお世話になりますが、どうぞよろしくお願いします」

深々とお辞儀をされた。皆で温かい拍手を送った。

「奥のスイートルームには、もうご家族の方がお休みになっていらっしゃるそうです。

先生はここを家族寮として、ご一緒に生活されます。お仕事は午後からのシフトです。

ご家族も新しい環境でご不安かと思いますが、見守りカメラで診察室とつながっていて、佐久間先生のお顔が見られ
ますのでね、その辺は大丈夫かなと思います。

ご家族の介護は私たちでやらせていただきますので、先生が心おきなく仕事をしていただけるように、皆さん、お手伝いをよろしくお願いします。

速見先生も、これからいろいろとお世話になることが多いと思いますが、どうぞよろしくお願いします。
じゃあ、今日も皆で頑張りましょう! 解散です」


このフロアが担当になったナースたちは、それぞれ配置についた。

受付もあるし、リビングはそのまま待合室になる。

廊下には予備のベンチが何か所かに置かれた。

処置室などの備品類はすべて整っている。

台所だった場所には仕切りを付け、簡単な手術くらいならできるような設備になっていた。

キッチンセットは外され、術前の手洗いができるようになっている。

全体に準備は整い、狭いながらもそれほど不自由はしないだろう。

その分、受付が少し狭くなっているが、まあ問題ない。

エレベーターからストレッチャーが処置室に楽に入れるようになっている。

よし、これでいい。

おかげで1階の外科は小児科の外来になった。

小児科の外来は午後からになる。

三浦先生が夜勤の希望なので、それを14時から23時までにしてもらった。

これで18時以降はサテライトの時間に合わせて、患者さんも連絡通路を通ればいいだけだからね。

夜間の小児科は喜ばれるだろう。

今は午前から勤務できる小児科医を募集中だ。

看板は大丈夫かな? 確認したい。

覗きに行った。あれっ? ふっ、夜型の人が椅子に座っていた。

目が合うと、にこっと笑顔を見せてくれた。

「おはようございます。お待たせしましたね」

「おはようございます。いえいえ、ようやく居場所ができましたよ」

「当分は小児科がここになると思います」

「えっ?変わることもあるんですか?」

「それはないとは思いますが、絶対とは言い切れませんからね」

「はい、分かりました」

「もし常勤の朝からの医師が来たら、少し時間を遅くしてもらってもいいですか?

新しいビルができたら病床もできるし、交代制のシフトになるのでね。人材は確保しておかないと困りますから」

「はい、承知しました」

「じゃあ、よろしくお願いしますね」

やっぱり、今まで仮住まいで肩身が狭かったんだろうねえ。

夜型なのに。お昼まで時間が持つのかな?(笑)

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