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第3章 新たな人材を求めて
59話 寮母シンドローム
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昨日の寮母さんの密着取材をHPに出したところ、大変な反響があった。
理事「院長、どうします? もう皆“羨ましすぎる!ずる~い!”の大合唱ですよ」
桐生「ははは、良すぎるのも大変ですねえ。でも僕も本当にうらやましいと思いましたよ。主任って、素晴らしい方なんですね」
俺もへらへら笑っていた。
「そんなこと言ったってしょうがないよ。勝手にやってくれてるんだから。
いいさ、ほっとけ。……それより“寮を作れ”の大合唱になるかもしれないよ。覚悟しておいた方がいい」
理事「だって……それは……内緒だもん……」
「もうバレてるよ。でも寮を作ったところでさ、西村さんが二人いるわけじゃない。
そこ、みんな分かってるのかなあ?
それに、夜まで汁物を作ってくれてるんだったら、もっと予算を増やしてあげた方がいいんじゃないの?
皆、遅くまで働いてるんだからさ」
理事「はい、分かりました。みんなそんなにサプライズが好きなら、うちからもっと持ってきますよ。貰い物がいっぱいありますから」
「そうそう、その気遣いがね、理事の良いところなんだよ」
理事「あまり褒められた気がしない……」
桐生さんがくすくす笑っていた。
そして夜。川瀬から突然電話がかかってきた。
「おい、HP見たぞ! なんだよ、あれ? 俺はもう決めた。明日、そっちの寮に引っ越すわ。離婚もできたしな」
「ええ? だって大学病院はどうするんだよ?」
「だからさ、そっちで寝泊まりして、おいしい朝食を食べて、7時半に出れば車で間に合うんだよ!
なんで今まで気が付かなかったのかなあ? 俺って馬鹿だよな?
でな、大学は続けないと仕方ないから、宿代代わりに水曜日は休みを取って、サテを手伝うよ。
その分の給料はいらない。御礼だ。
ただ、毎回休めるかは分からないけど、半日でも手伝うからさ。
外科は得意分野だから任せとけ。速見先生もいるんだろ?
じゃあ、西村主任に伝えてくれよな。あと寮生にも。“一人増えました!”って言っといてくれ。
明日行くからさ。頼んだぞ!」
……言いたいことだけ言って、電話は一方的に切れた。
「アハハハ! そっちもかよ」思わず笑った。
夏「なになに? なんか面白いことあったの? 早く聞かせてよ」
「あのなあ……どうも“寮母シンドローム”が始まったらしい。手ごわいぞ」
夏「えっ? どういうこと?」
「川瀬が明日引っ越して来るんだって。それも夜に。5階の個室に。
で、そこから大学病院に通うそうだ。
寮で朝ごはんを食べたいらしい。……完全にあの密着取材にやられたな」
夏「ええ? どうすればいいの? アルバイトにすればいいの?」
「さあな。一応1か月様子を見たら?
もしコンスタントに水曜日に来てくれるなら、アルバイト扱いにしないとダメだよ。
本人は“タダでいい”って言ってるけど、それじゃあ何かあった時に困るんだ。
だから、ちゃんと非常勤なりアルバイトなりの形にしておかないと、双方のためにならない」
「明日、桐生さんに頼んで至急IDカードを作ってもらって、非常勤扱いにしておいてくれる?
決まった曜日や時間じゃなくても、空いてる時間に手伝ってくれると思うから。
産婦人科医は立派な外科医でもあるしね」
理事「うん、そうだね。その方が安心だよね。じゃあ掲示板には明日の朝に流せばいいかな?」
「うん。それから休憩室の掲示板にも“採用通知”をちゃんと出しておいてね」
理事「はい、分かりました」
「で、寮費はいくら増やすつもり?」
理事「ええ……分からないけど、5万くらい?」
「けっちだなあ! たった5万か? 川瀬を入れて14人もいるんだぞ。
汁物やサプライズでやる気を出して、ここに居ついてくれるなら安いもんだろ。最低でも10万は上乗せだよ」
理事「はい、わかりました」
理事「院長、どうします? もう皆“羨ましすぎる!ずる~い!”の大合唱ですよ」
桐生「ははは、良すぎるのも大変ですねえ。でも僕も本当にうらやましいと思いましたよ。主任って、素晴らしい方なんですね」
俺もへらへら笑っていた。
「そんなこと言ったってしょうがないよ。勝手にやってくれてるんだから。
いいさ、ほっとけ。……それより“寮を作れ”の大合唱になるかもしれないよ。覚悟しておいた方がいい」
理事「だって……それは……内緒だもん……」
「もうバレてるよ。でも寮を作ったところでさ、西村さんが二人いるわけじゃない。
そこ、みんな分かってるのかなあ?
それに、夜まで汁物を作ってくれてるんだったら、もっと予算を増やしてあげた方がいいんじゃないの?
皆、遅くまで働いてるんだからさ」
理事「はい、分かりました。みんなそんなにサプライズが好きなら、うちからもっと持ってきますよ。貰い物がいっぱいありますから」
「そうそう、その気遣いがね、理事の良いところなんだよ」
理事「あまり褒められた気がしない……」
桐生さんがくすくす笑っていた。
そして夜。川瀬から突然電話がかかってきた。
「おい、HP見たぞ! なんだよ、あれ? 俺はもう決めた。明日、そっちの寮に引っ越すわ。離婚もできたしな」
「ええ? だって大学病院はどうするんだよ?」
「だからさ、そっちで寝泊まりして、おいしい朝食を食べて、7時半に出れば車で間に合うんだよ!
なんで今まで気が付かなかったのかなあ? 俺って馬鹿だよな?
でな、大学は続けないと仕方ないから、宿代代わりに水曜日は休みを取って、サテを手伝うよ。
その分の給料はいらない。御礼だ。
ただ、毎回休めるかは分からないけど、半日でも手伝うからさ。
外科は得意分野だから任せとけ。速見先生もいるんだろ?
じゃあ、西村主任に伝えてくれよな。あと寮生にも。“一人増えました!”って言っといてくれ。
明日行くからさ。頼んだぞ!」
……言いたいことだけ言って、電話は一方的に切れた。
「アハハハ! そっちもかよ」思わず笑った。
夏「なになに? なんか面白いことあったの? 早く聞かせてよ」
「あのなあ……どうも“寮母シンドローム”が始まったらしい。手ごわいぞ」
夏「えっ? どういうこと?」
「川瀬が明日引っ越して来るんだって。それも夜に。5階の個室に。
で、そこから大学病院に通うそうだ。
寮で朝ごはんを食べたいらしい。……完全にあの密着取材にやられたな」
夏「ええ? どうすればいいの? アルバイトにすればいいの?」
「さあな。一応1か月様子を見たら?
もしコンスタントに水曜日に来てくれるなら、アルバイト扱いにしないとダメだよ。
本人は“タダでいい”って言ってるけど、それじゃあ何かあった時に困るんだ。
だから、ちゃんと非常勤なりアルバイトなりの形にしておかないと、双方のためにならない」
「明日、桐生さんに頼んで至急IDカードを作ってもらって、非常勤扱いにしておいてくれる?
決まった曜日や時間じゃなくても、空いてる時間に手伝ってくれると思うから。
産婦人科医は立派な外科医でもあるしね」
理事「うん、そうだね。その方が安心だよね。じゃあ掲示板には明日の朝に流せばいいかな?」
「うん。それから休憩室の掲示板にも“採用通知”をちゃんと出しておいてね」
理事「はい、分かりました」
「で、寮費はいくら増やすつもり?」
理事「ええ……分からないけど、5万くらい?」
「けっちだなあ! たった5万か? 川瀬を入れて14人もいるんだぞ。
汁物やサプライズでやる気を出して、ここに居ついてくれるなら安いもんだろ。最低でも10万は上乗せだよ」
理事「はい、わかりました」
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