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第5章 2号館、屋上から動き出す
99話 川瀬サイド・尋問
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それが――なんでこうなった……?
俺の前に立っているのは北原、理事、そして桐生さん。
場所は院長室。朝礼が終わったかと思ったら、強制的にここに連れて来られた。
北原「なんでそうなったのか、早く言って」
理事「えっ、なあに? 何のこと?」
桐生さんも怪訝な顔をしている。
こうなったら言いにくいだろうが……まったく。
「だからさ、昨日、北原にけしかけられてさ……やっぱり今がチャンスかなと思って……、
それで一気に言っちゃったんだよ」
理事「院長、川瀬先生は何の話をしているの?」
北原は腕組みして立っていた。他の二人も立っている。
俺だけがソファに座らされていた。……これじゃ尋問だよ。
しょうがない。「だからさ、一緒になってって言ったんだよ」
理事「えっ? ――ということは相手は主任?」
理事「ええーー?! 病人なのに……弱みに付け込んだんですか?」
「ちょっと待てよ。OKしてくれたんだからいいだろう? 弱みじゃないよ、もう~」
北原「ふ~ん、あの主任がねぇ。簡単に落ちるとは思わなかった。どうやって口説いたの?」
桐生さんがニヤニヤしながら横を向いている。
「だからさ、こんなに親切にしてもらってお返しがないって言うから、だったら俺に主任をくださいって言ったんだよ」
北原「ふ~ん。それで?」
「もう~恥ずかしいなあ。だからさ、『一緒にいて疲れない、違和感がない、ずっと一緒にいられる』って言ったんだ」
北原「それだけ?」
「で、そのとき主任に言われたんだよ――『私が病で寝込んでるからって、弱ってる隙を狙ったでしょう?』って」
北原「へぇ~それで?」
「だから『だったらどうする?』って聞いたんだよ」
北原「なるほど。やっぱりな」
「そしたら『ヤダ!知らない!』って言って、掛け布団を頭からかぶっちゃってさ。
もう押しまくるしかないだろ? で、本気だから結婚したいって言ったんだよ。
そしたら主任、なんて言ったと思う?――『それだけ?』だよ!」
北原「そこからどうやって逆転したの?」
「最後の押しだよ。『君は最高にかわいい』って言って、もし嫌じゃなければ俺は荷物持ちにぴったりだって」
桐生さんが両手で顔を隠した。ありゃ、笑ってるな。
「そしたらまた『それだけ?』って言ってさ。やっと布団から顔を出したんだよ……」
理事「それでどうしたんですか?」
「いや、せっかく顔を出して可愛かったから、思わず――しちゃったんだよ」
北原「はーーっ? なんだって?」
「もう、言わせるなよ。――だから__思わずキスしちゃったんだよ」
三人が揃ってシラーっとした顔をしていた。
「でもさ、そのあと主任が『まだ歯磨きもしてないのに』って言うんだよ。これ、脈アリだと思うだろ?」
北原が嫌そうな顔をしていた。
「で、『離婚したばかりだ』って言うから、『だから早く結婚しないと他の人に盗られる』って言ったんだよ」
理事が後ろを向いた。……絶対笑ってるな。
北原も微妙な顔になった。
「俺もダメ押しだよ。『OKしてくれないと泣くぞ』って脅かしてさ。
『即断即決してくれ』って迫ったんだ。明日になったら気が変わるかもしれないからさ。
俺にしては頑張っただろ?」
理事も桐生さんも、もう後ろを向いたまま笑いをこらえている。
北原は天を仰いでいた。
「で、ようやく『結婚する』って言ってくれたんだ。どうだ、良くやっただろ?」
北原「それでさ、今朝の警報ビービーは一体何なの?」
理事「あっ、あれは川瀬先生だったの? なにしたんだろう?」
「だからさあ、ちょっと添い寝をしただけだよ」
北原「……さっ、みんな仕事に行こう! もう時間がない」
そう言ってさーっと部屋を出て行った。
なんだよ~~?
最後に桐生さんだけが小さな声で「おめでとうございます」と言ってくれた。
――えへへへ。
俺の前に立っているのは北原、理事、そして桐生さん。
場所は院長室。朝礼が終わったかと思ったら、強制的にここに連れて来られた。
北原「なんでそうなったのか、早く言って」
理事「えっ、なあに? 何のこと?」
桐生さんも怪訝な顔をしている。
こうなったら言いにくいだろうが……まったく。
「だからさ、昨日、北原にけしかけられてさ……やっぱり今がチャンスかなと思って……、
それで一気に言っちゃったんだよ」
理事「院長、川瀬先生は何の話をしているの?」
北原は腕組みして立っていた。他の二人も立っている。
俺だけがソファに座らされていた。……これじゃ尋問だよ。
しょうがない。「だからさ、一緒になってって言ったんだよ」
理事「えっ? ――ということは相手は主任?」
理事「ええーー?! 病人なのに……弱みに付け込んだんですか?」
「ちょっと待てよ。OKしてくれたんだからいいだろう? 弱みじゃないよ、もう~」
北原「ふ~ん、あの主任がねぇ。簡単に落ちるとは思わなかった。どうやって口説いたの?」
桐生さんがニヤニヤしながら横を向いている。
「だからさ、こんなに親切にしてもらってお返しがないって言うから、だったら俺に主任をくださいって言ったんだよ」
北原「ふ~ん。それで?」
「もう~恥ずかしいなあ。だからさ、『一緒にいて疲れない、違和感がない、ずっと一緒にいられる』って言ったんだ」
北原「それだけ?」
「で、そのとき主任に言われたんだよ――『私が病で寝込んでるからって、弱ってる隙を狙ったでしょう?』って」
北原「へぇ~それで?」
「だから『だったらどうする?』って聞いたんだよ」
北原「なるほど。やっぱりな」
「そしたら『ヤダ!知らない!』って言って、掛け布団を頭からかぶっちゃってさ。
もう押しまくるしかないだろ? で、本気だから結婚したいって言ったんだよ。
そしたら主任、なんて言ったと思う?――『それだけ?』だよ!」
北原「そこからどうやって逆転したの?」
「最後の押しだよ。『君は最高にかわいい』って言って、もし嫌じゃなければ俺は荷物持ちにぴったりだって」
桐生さんが両手で顔を隠した。ありゃ、笑ってるな。
「そしたらまた『それだけ?』って言ってさ。やっと布団から顔を出したんだよ……」
理事「それでどうしたんですか?」
「いや、せっかく顔を出して可愛かったから、思わず――しちゃったんだよ」
北原「はーーっ? なんだって?」
「もう、言わせるなよ。――だから__思わずキスしちゃったんだよ」
三人が揃ってシラーっとした顔をしていた。
「でもさ、そのあと主任が『まだ歯磨きもしてないのに』って言うんだよ。これ、脈アリだと思うだろ?」
北原が嫌そうな顔をしていた。
「で、『離婚したばかりだ』って言うから、『だから早く結婚しないと他の人に盗られる』って言ったんだよ」
理事が後ろを向いた。……絶対笑ってるな。
北原も微妙な顔になった。
「俺もダメ押しだよ。『OKしてくれないと泣くぞ』って脅かしてさ。
『即断即決してくれ』って迫ったんだ。明日になったら気が変わるかもしれないからさ。
俺にしては頑張っただろ?」
理事も桐生さんも、もう後ろを向いたまま笑いをこらえている。
北原は天を仰いでいた。
「で、ようやく『結婚する』って言ってくれたんだ。どうだ、良くやっただろ?」
北原「それでさ、今朝の警報ビービーは一体何なの?」
理事「あっ、あれは川瀬先生だったの? なにしたんだろう?」
「だからさあ、ちょっと添い寝をしただけだよ」
北原「……さっ、みんな仕事に行こう! もう時間がない」
そう言ってさーっと部屋を出て行った。
なんだよ~~?
最後に桐生さんだけが小さな声で「おめでとうございます」と言ってくれた。
――えへへへ。
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