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第8章 もっと寮が欲しい
152話 ニセモノを捜せ
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興信所からの返事はまだだったが、俺は先回りして対策を考えていた。
今回はお掃除スタッフ36名を、午前中だけで面接しきるつもりだ。
あらゆるケースを想定し、応援のスタッフにも声をかけて準備を整えた。
*
そして翌々日の金曜の夕方、興信所から連絡が入った。
「どうも派遣業者が感謝金狙いで数名送り込んでいるらしい」と。
――やっぱりな。
すぐに決めた。採用者には 内定確約書 に署名してもらう。
そこにはこう記してある。
感謝金は最初の給料で加算する。
ただし紹介者への支払いは、応募者が3か月以上勤務を継続した場合に限る。
これで業者の目論見は潰せる。ザマーミロだ。
ため息をつきながら思う。
まさか感謝金がこんなに狙われるとはな……。
ただ業者だけとは限らない。
新たに気づいたのは――36人が一斉に前職を辞めて来るなんて現実的じゃないということ。
社長に相談したら快く了承してくれた。
すぐに勤務できる人から順番に採用する方式だ。
最短でも2か月後には入職してもらえるだろう。
病院に清掃スタッフがいなければ、1日たりとも回らない。
シフトを回すためには、経験者を早めに確保して育てておく方が賢明だ。
本当は全員を揃えて、一度に教習をする予定だったが、現実は甘くない。
まあ、半年後には学生寮が完成する。その時にまとめてやればいい。
1か月もすれば、近くのワンルームマンションも準備が出来る予定だ。
*
そして面接当日の土曜日。
朝9時からの開始に合わせ、音楽室には長机を並べ、36席を用意した。
椅子の間隔も十分にとり、会場は緊張感に包まれている。
面接官は俺と理事、花井部長、山野課長、山科看護部長、宮本看護師長――計6人。
それぞれの流れと質問内容は事前に伝えてある。
さらにサテライトの技師や看護助手にも協力してもらい、会場の準備を整えた。
ドアには張り紙を掲げる。
《途中退席は放棄とみなします》
見張り役のスタッフには「笑顔で優しく応対を」と伝えてある。
*
最初に俺が立ち上がる。
「今日はお忙しい中、面接にお越しいただきありがとうございます。
これから菜の花病院の仲間になっていただく皆さんと、色々お話をさせてください。
まずお願いがあります。携帯電話の電源を切り、机の上に伏せてください」
会場で一斉にゴソゴソと音がする。電源を切る仕草が整ったのを見計らい、続けた。
「それからお伝えします。この場所は録画されています。ご了承ください。
また、面接が完全に終わるまでは中座できません。退席は放棄とみなします」
さらに机の上にはプリントを置いた。
《住所・氏名/面接日/紹介者名/居住地域/直近職場と退職理由/勤務可能日/夜勤可否/緊急連絡先》
これを書き込んでもらい、履歴書と相違がないか5人の面接官が確認する。
その間に、山科看護部長が口頭で病院や業務の概要を説明する。
もちろんプリント資料も配布済みだ。
周囲を取り囲むスタッフたちは、みんな笑顔。
その空気が唯一、応募者たちの緊張を和らげていた。
今回はお掃除スタッフ36名を、午前中だけで面接しきるつもりだ。
あらゆるケースを想定し、応援のスタッフにも声をかけて準備を整えた。
*
そして翌々日の金曜の夕方、興信所から連絡が入った。
「どうも派遣業者が感謝金狙いで数名送り込んでいるらしい」と。
――やっぱりな。
すぐに決めた。採用者には 内定確約書 に署名してもらう。
そこにはこう記してある。
感謝金は最初の給料で加算する。
ただし紹介者への支払いは、応募者が3か月以上勤務を継続した場合に限る。
これで業者の目論見は潰せる。ザマーミロだ。
ため息をつきながら思う。
まさか感謝金がこんなに狙われるとはな……。
ただ業者だけとは限らない。
新たに気づいたのは――36人が一斉に前職を辞めて来るなんて現実的じゃないということ。
社長に相談したら快く了承してくれた。
すぐに勤務できる人から順番に採用する方式だ。
最短でも2か月後には入職してもらえるだろう。
病院に清掃スタッフがいなければ、1日たりとも回らない。
シフトを回すためには、経験者を早めに確保して育てておく方が賢明だ。
本当は全員を揃えて、一度に教習をする予定だったが、現実は甘くない。
まあ、半年後には学生寮が完成する。その時にまとめてやればいい。
1か月もすれば、近くのワンルームマンションも準備が出来る予定だ。
*
そして面接当日の土曜日。
朝9時からの開始に合わせ、音楽室には長机を並べ、36席を用意した。
椅子の間隔も十分にとり、会場は緊張感に包まれている。
面接官は俺と理事、花井部長、山野課長、山科看護部長、宮本看護師長――計6人。
それぞれの流れと質問内容は事前に伝えてある。
さらにサテライトの技師や看護助手にも協力してもらい、会場の準備を整えた。
ドアには張り紙を掲げる。
《途中退席は放棄とみなします》
見張り役のスタッフには「笑顔で優しく応対を」と伝えてある。
*
最初に俺が立ち上がる。
「今日はお忙しい中、面接にお越しいただきありがとうございます。
これから菜の花病院の仲間になっていただく皆さんと、色々お話をさせてください。
まずお願いがあります。携帯電話の電源を切り、机の上に伏せてください」
会場で一斉にゴソゴソと音がする。電源を切る仕草が整ったのを見計らい、続けた。
「それからお伝えします。この場所は録画されています。ご了承ください。
また、面接が完全に終わるまでは中座できません。退席は放棄とみなします」
さらに机の上にはプリントを置いた。
《住所・氏名/面接日/紹介者名/居住地域/直近職場と退職理由/勤務可能日/夜勤可否/緊急連絡先》
これを書き込んでもらい、履歴書と相違がないか5人の面接官が確認する。
その間に、山科看護部長が口頭で病院や業務の概要を説明する。
もちろんプリント資料も配布済みだ。
周囲を取り囲むスタッフたちは、みんな笑顔。
その空気が唯一、応募者たちの緊張を和らげていた。
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