190 / 363
第10章 人が集う、嵐の春
188話 昇進・2
しおりを挟む
西村主任との話を終えると、次に山科看護部長と宮本看護師長に来てもらった。
「失礼します。何事でしょうか? なんだかドキドキするんだけど……」
珍しく山科部長が緊張している。
その表情が少し可愛らしくて、思わず頬が緩んだ。
「はい、今日は大事なお話があります。
2号館のオープン2週間前に人事発表を予定していますが、
今日は先に“内示”をお伝えします」
二人の背筋がすっと伸びた。
「まず、山科看護部長はそのまま留任です。
そして――宮本師長には2号館担当のまま、“看護副部長”に昇進してもらおうと思っています」
二人は顔を見合わせて、思わず「ええっ……」と声を上げた。
宮本さんは両手で口を押さえて、目を丸くしていた。
山科「良いと思います。それだけの価値がありますよ。
今の宮本師長は本当に忙しいですからね。
まだ全員のスタッフが決まっていませんし、大人数の調整は大変です」
「ありがとう、そうなんだよね。
まだ人も配置も完全には決まっていない。
だから、リーダーや主任候補については、9月から動いてもらいたいんだ。
もちろん、山科部長にも全面的に協力してもらうつもりです」
「はい、分かりました」
二人が声を揃えてうなずいた。
「それから、西村主任には“サテライトセンターと本館”の看護師長をお願いするつもりです。
寮母の仕事は続けたいそうなので、兼任という形で。
時間も今と同じく早上がりで構いません。
それと、サテライトの主任候補を探しておくようにお願いしました。
さらに、2号館やセンターの物流も増えるため、専任の責任者を考えてもらうことにしています。
あれは整理ができないと現場が回らないので、彼女なら適任者を見つけてくれるでしょう」
「なるほど……」
「そしてお二人には、今後の2号館の看護師・助手のリーダー構成をお願いします。
大まかな目星をつけて、10月から密かに訓練を始めてほしい。
11月からは全員で始動します。
ただし、リーダーの正式発表はオープンの2週間前に行います」
二人とも真剣な表情でメモを取っていた。
「あと、清掃体制――お掃除の内容や配置についても細かく詰めてほしいんです。
決定したら山野課長に渡して、必要人員の配置は彼に任せてください。
……やることが山積みですが、大丈夫そうですか?
何か質問ありますか?」
西村「えっと、センターの組織は何か決まっているんですか?」
「ふっ、ごめん。言うのを忘れてたね」
「今は岩城外科医と川瀬産婦人科医が特命でセンターに派遣されています。
そこで優秀な人材を連れて来てくれる予定なんです。
大学病院の准教授を断った外科医、救命医1名、専攻医2名――合計4名です。
責任者は岩城が決めると思いますが、おそらくその外科医を“外科部長”に推薦するんじゃないかと思ってる。
それに、現地に残っている外科医にも優秀な人がいるそうなので、
人選はナースを含めて一任するつもりです」
「はい、わかりました」
宮本「そういえば、事務員が1名採用されたと聞きましたが、センター勤務になるんですね?」
「そうなんですよ。西村さんの“チェック”に見事耐えた人材らしいですからね。
物流やドリンクバーの手入れなども担当してもらう予定です。
これで向こうのナースも、だいぶ楽になると思います」
二人がふふっと笑った。
“チェックに耐えた”という言葉がツボに入ったようだ。
「では、今日はこんなところで。
この話はまだ内緒ですからね、くれぐれもお願いします」
「はい、わかりました」
また二人の声がそろった。
ふっと肩の力が抜ける。
ああ、ようやくここまで来たか。
これで大きな体制の骨格は整った。
――さて、次は広報の出番だな。
三枝君を呼ぼう。
「失礼します。何事でしょうか? なんだかドキドキするんだけど……」
珍しく山科部長が緊張している。
その表情が少し可愛らしくて、思わず頬が緩んだ。
「はい、今日は大事なお話があります。
2号館のオープン2週間前に人事発表を予定していますが、
今日は先に“内示”をお伝えします」
二人の背筋がすっと伸びた。
「まず、山科看護部長はそのまま留任です。
そして――宮本師長には2号館担当のまま、“看護副部長”に昇進してもらおうと思っています」
二人は顔を見合わせて、思わず「ええっ……」と声を上げた。
宮本さんは両手で口を押さえて、目を丸くしていた。
山科「良いと思います。それだけの価値がありますよ。
今の宮本師長は本当に忙しいですからね。
まだ全員のスタッフが決まっていませんし、大人数の調整は大変です」
「ありがとう、そうなんだよね。
まだ人も配置も完全には決まっていない。
だから、リーダーや主任候補については、9月から動いてもらいたいんだ。
もちろん、山科部長にも全面的に協力してもらうつもりです」
「はい、分かりました」
二人が声を揃えてうなずいた。
「それから、西村主任には“サテライトセンターと本館”の看護師長をお願いするつもりです。
寮母の仕事は続けたいそうなので、兼任という形で。
時間も今と同じく早上がりで構いません。
それと、サテライトの主任候補を探しておくようにお願いしました。
さらに、2号館やセンターの物流も増えるため、専任の責任者を考えてもらうことにしています。
あれは整理ができないと現場が回らないので、彼女なら適任者を見つけてくれるでしょう」
「なるほど……」
「そしてお二人には、今後の2号館の看護師・助手のリーダー構成をお願いします。
大まかな目星をつけて、10月から密かに訓練を始めてほしい。
11月からは全員で始動します。
ただし、リーダーの正式発表はオープンの2週間前に行います」
二人とも真剣な表情でメモを取っていた。
「あと、清掃体制――お掃除の内容や配置についても細かく詰めてほしいんです。
決定したら山野課長に渡して、必要人員の配置は彼に任せてください。
……やることが山積みですが、大丈夫そうですか?
何か質問ありますか?」
西村「えっと、センターの組織は何か決まっているんですか?」
「ふっ、ごめん。言うのを忘れてたね」
「今は岩城外科医と川瀬産婦人科医が特命でセンターに派遣されています。
そこで優秀な人材を連れて来てくれる予定なんです。
大学病院の准教授を断った外科医、救命医1名、専攻医2名――合計4名です。
責任者は岩城が決めると思いますが、おそらくその外科医を“外科部長”に推薦するんじゃないかと思ってる。
それに、現地に残っている外科医にも優秀な人がいるそうなので、
人選はナースを含めて一任するつもりです」
「はい、わかりました」
宮本「そういえば、事務員が1名採用されたと聞きましたが、センター勤務になるんですね?」
「そうなんですよ。西村さんの“チェック”に見事耐えた人材らしいですからね。
物流やドリンクバーの手入れなども担当してもらう予定です。
これで向こうのナースも、だいぶ楽になると思います」
二人がふふっと笑った。
“チェックに耐えた”という言葉がツボに入ったようだ。
「では、今日はこんなところで。
この話はまだ内緒ですからね、くれぐれもお願いします」
「はい、わかりました」
また二人の声がそろった。
ふっと肩の力が抜ける。
ああ、ようやくここまで来たか。
これで大きな体制の骨格は整った。
――さて、次は広報の出番だな。
三枝君を呼ぼう。
4
あなたにおすすめの小説
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
女性が少ない世界でVTuberやります!
dekoma26+ブル
恋愛
ある日朝起きてキッチンに行くとそこには知らない男性たちが! …え、お父さん⁉
なぜか突然女性の少ない世界に来てしまった少女がVTuberをしたり、学校に通ったりするお話。
※初日一気に4話投稿してから恋愛大賞エントリーしたため文字数5万これから(´;ω;`)みんなも参加するときは注意してね!
※忘れてなければ毎週火曜・金曜日の夜に投稿予定。作者ブル
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛
ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり
もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。
そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う
これが桂木廉也との出会いである。
廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。
みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。
以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。
二人の恋の行方は……
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる