診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第14章 2号館がオープンへ

273話 有名カメラマン

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 夏が芹沢さんに「写真集をお願いしたい」と言ったら、

「お任せください」と即答だった。さすがだよね。

業界人はこういうところが本当に助かる。手間いらずだ。
社長が「プロを雇え」と言うのも、よく分かる。

それから2日ほどで、吉澤樹さんという有名なカメラマンをつかまえてきた。

この人は、芸能人の写真集では引っ張りだこの存在。
時々、センセーショナルな写真で話題を投げかける写真家でもある。

よく引き受けてくれたよね。
ただの新人なのにさ。

夏のことは知っていたそうだ。
「カッコいいなあ」と思っていたんだって。

だから、二つ返事で引き受けてくれたらしい。すごいねえ。

早速、打ち合わせのために事務所に来てもらった。

俺を紹介されると、「えっ?」と言ったまま、俺の顔をじっと見ていた。
……なんだよ? やや嫌な予感。

打ち合わせでは、こう言っていた。

「最初の写真集で新人なら、ファンも基本的なことを知りたいはず。
だから、本人の紹介のように、日常生活や散歩、レッスンに励んでいる姿。
日曜の朝、莉子さんや桃香さんと一緒にダンスする風景も撮りたいですね」

それから——
白衣を着て俺と並んでいる写真や、朝礼の場面も撮りたいんだって。

わー……言えない。
みんなに言ったら大騒ぎになる。想像できる。

一方、大喜びの人もいる。莉子だ。
ダンス風景には自分も出るし、俺と料理している場面も撮りたいそうだから、そこにも映る。
そして、家族団らんの風景もね。

「何着ようかなあ?」と莉子はワクワクしていたけど、
「どうせエリナさんのことだから、ちゃんと衣装を持ってくるよ」
「そうだよね~楽しみ~」

エリナさんも、もちろん大喜び。
今日の会議にも出席して、音声録音のほかに、熱心にメモ書きしていた。

スタイリストって、洋服だけじゃないんだね。
撮影用の小物の調達もするらしい。

だから、撮影スケジュールに合わせてずっと付き添うとのこと。
うわ~、忙しい人に申し訳ないよね。
でも「最高に幸せです」って言ってた(笑)。

それで、この撮影にはカット割りというか、台本を芹沢さんが作成するそうだ。
へえ~。

ああ~もう、細かいことは面倒くさい。
必要な時だけ、事前に教えてくれたらいいわ。

まあ、俺も付き添うけどさ。
莉子が「極甘だねえ~」と言っていた。

「だって面白いだろう?」
「私だって付き添うよ。いつ私が出るか分かんないもん」

ぷっ。莉子だって付き添うって言ってるんだから、
好奇心が強いところは似た者同士だよ。

あっ、そうそう。出版社の山本君に知らせたら、めちゃめちゃ喜んでいた。
撮影スケジュールは教えてほしいそうだ。

彼も「仕事として付き添います」と言っていた。笑った。
それで、番外編のような写真も撮るつもりらしい。

もう、団体さんだよね?


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