診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第15章 進むべき道へ

297話 コンサート前日

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 明日の本番を控え、みんな緊張しまくりだ。

コンサートは18時開場、19時開演、終演は20時30分。撤収は22時まで。
朝は9時からでないと、人も荷物も入れない。

今日は臨時アルバイトやスタッフ、出演者が全員ダンススタジオ集合し、説明会が行われる。

ダンススタジオはぎっしりだ。

まず全員に部屋の入り口で、明日着るスタッフ用のTシャツが配られた。

前も後ろの<NATSU>と大書きしてあって、
その下に添えるように、Entertainment Group の文字が入っていた。

次に映像をみんなで見る。
レオさんが作った3Dのコンサート風景をプロジェクターで映し出された。
同時に音楽も流れる。

画面の左下にはスケジュールの時刻が刻まれていく。
ただ、MCとのトークは 何分間とテキストで表示される。

歌っている部分は早送り。ダンサーたちの踊りも入っていた。
全体の流れが分かりやすい。


レオさんが「大体こういう流れで演奏会を行う予定です」すると、「わ~」と、みんなのため息とともに拍手が送られた。

これから先は人数が多いため、上下に分かれて打ち合わせを実施。

ここではエリナさんや運営スタッフも全員集合し、手順や役割の確認が進められた。


上の音楽スタジオでは、販売方法をアルバイトスタッフに説明していた。

「なんか凄そうですねえ」と山科看護部長が嬉しそうに言う。
皆もうんうんと頷いていた。
うれしいようなミーハーのような?
でも頼りになる、”荷物持ち隊クラブ”のスタッフが16名、物販を手伝ってくれるそうだ。

ここでは2000人も一斉にグッズを見ると思うから、18時から18:55分までが戦争のように勝負。
その後は20:30分から30分がまた勝負。

長机ごとにグッズの名前を書いた立看板を用意した。
でないと2000人に埋もれちゃう。なるべく広い範囲に机を広げる。

少しでも分散して見てもらわないと駄目だ。

でもメグちゃんの意見で、
「もうグッズがあるならさっさと先にネット販売した方が良くないですか?
そしたら現地の混乱が減ると思いますよ」と言われ、
__みんなでダーッとなったらしい。(笑)

しかもだよ、ネットで買ってくれた人には”特典を付けないと駄目”ってメグちゃんが言ったんだって。
それで、急遽A5の写真とサインが入ったファイルを写真違いで2種類用意。

1種類はネットで販売する。もう1種類は特典用。

特典なのに部外者が欲しがって困るから、
ネットで売ってる方を買ってくださいって言う為なんだって。経験あるのかな?

とにかく、ネットで写真集を買ってくれた人に特典でファイルをつけるそうだ。

理由は、”差別化とネットで買うとお得ってことを刷り込みたい”からだそうだ。

「えー?あのメグちゃんがそう言ったの?」

桐生「ふふふ、もう僕たちはお手上げですよ。あの世界は全部メグちゃんに任せますよ」

へえ~、信じられない。メグちゃんにそんなところがあったんだ。
まあ、とにかく経験者には叶わない。
誰もファンクラブなんて入ったことがないんだからさ。

そういうわけで、ネットではどんどん先行販売を始めた。
もちろん特典付き写真集もね。

まあ、公演が終了したら舞台も楽屋もすべてさっさと撤収をしてもらおう。
それぞれにみんな緊張感と期待感でいっぱいのようだ。
すごくいい顔をしている。


それなのに、なぜか主役の夏がいまいち浮かない顔をしている。
スタジオの端の方で一人ぽつんとしていた。

「夏、どうかしたの?心配ごとが出来た?」

聞かれて夏が少しうつむいた。

「あのね、来るかどうかの返事がないから、KAIにメールしたんだよ。そしたら招待状を貰ったことは知らなかったんだって。俺音楽事務所宛てに送ったからさ。でもいろいろ事情があって、多分誰も今はいけないと思うって返事が来たんだよ。だから心配なんだよね。どうしたのかなあと思ってさ‥‥‥」

「ふ~ん。そうなんだ。もしかしたら、あの事務所の事だからなんかトラブってるのかもね。でも今心配してもしょうがないから、今日と明日は忘れて公演に集中した方が良いよ。だって後で録画を送るだろう?」

少し頬が緩んだ。
夏「うん、そうするよ。成長したとこを見せないといけないもんね」

「そうだよ、一番いいとこを見せないとね」

夏がふっと笑っていつもの表情に戻った。


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