診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第18章 回復と未来を目指して

350話 来年のアリーナ予約

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 音楽事務所では、来年2028年の10月に2日間、1万5千人収容のアリーナを予約したそうだ。
もちろんヴォクシブのためだ。
あ~あ、凄すぎる。もう気が急いてきた。忘れよう。他の人に任せた。

こっちは改造工事の進み具合を見て回った。
診察室を10室増やす予定だが、花井部長はシフト表を眺めながら「どう人を入れていこうか」と考え中だ。
優先順位はあるものの、まあ20室もあれば喧嘩にはならないんだけど。

やっぱり医者ってみんな自分の城が欲しいんだよね。それは分かる。
今回は2号館のために優秀な医師ばかりが入ったから、いろいろある。

あちら立てればこちら立たず――まあ、任せるしかない。

それにしても専攻医3名が何科を希望するかが問題だ。
専攻医は症例が必要だから、1室は与えないと駄目なんだよね。

ただ、週に何日かでもいいんだけど。
あと初期研修医。どうなるんだろう。
まだ正式に厚労省から認可の返事はまだだ。
多分、あと1~2か月くらいで返事が来ると思う。

ところで病棟の方は、そろそろ入院患者でいっぱいになってきた。
だから医師は外来と病棟を専任で分けているようだ。
まあ、その辺は花井部長に任せる。

そうだ、長谷川君だけでも希望を聞いておこう。
それで3分の1は気が楽になる。
……うん?待てよ。催促っぽいかな?やめておこう。
あ、青山先生に聞いてみよう。寮生同士で話しているかもしれない。

サテの3階に行った。
ちょうど精神科の患者が切れたところで、ナースが青山先生に声を掛けてくれた。

青山「お、院長、珍しいじゃないですか?どうしたんですか?」

「聞きにくいんだけどさ、長谷川君って専攻医は何科に行きたいのかな?聞いたことある?」
青山先生がぷぷぷと笑った。

青山「なんか最初は岩城先生に憧れて外科志望だったらしいですよ。でも院長にやさしくされて、急に心療内科も良いかな~なんて言ってましたよ」

「ええーーー??困るんだよ。それだと新たに心療内科の医師を採用しないといけないんだよ」

青山「院長が自分で診療すればいいだけじゃないんですか?」

「俺ね、精神科と心療内科の専門医は取ったんだけど、大学病院では非常勤だったんだ。後はオンライン診療だけ。莉子が病弱でさ、大変だったんだよ。だから指導医の資格は取れないんだ」

青山「ええ??そうなんですか?やばい。まずい。どうなるんだろう?」

「だからさ、どうしても心療内科が良いなら、今から医師を採用しないといけないんだ。ただ、それで彼が良いと思うかどうかなんだよね」

青山「いや~参りましたね。とりあえず何気に聞いておきますよ。まだ研修医中はいろいろ気が変わりますからね」

「うん、すみませんけど、よろしくお願いします。こっちも準備があるからさ。いっそ精神科にしてくれれば青山先生の隣で診療出来るのにさ」

青山「ええ?俺ですか?めんどくさそう……」

「かわいい後輩なんだからさ。かわいがってよ。とにかく聞いておいてね。頼みます」

そう言い残して部屋を出た。あぁ……危ない。そこへ来たか。

待てよ。もし心療内科医を入れるなら、更に診察室を2つ作らないといけないってことだよね?

ああ~地獄だ。あと二つなんて絶対無理だよ。

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