診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

文字の大きさ
363 / 372
第18章 回復と未来を目指して

361話 循環器研究室の引っ越し

しおりを挟む
 2号館地下の物流に行くと、4階物流の福田さんがいた。

「おや?院長先生、珍しいですね。何か御用ですか?」
「うん、台車を借りたいんだけどね。循環器の研究室が本館の5階に引っ越すから、荷物を運びたいんだよ」

「じゃあ、机や椅子もありますよね?本棚もありますか?」
「そうだね。確かあったと思うよ」

「ちょっと待ってください、主任に電話します。OKなら私が手伝いますよ」
電話をしてくれた。

「OKだったので、ご一緒に行きますよ」
「悪いね」

彼は大きなコンビ台車に小さな台車を乗せて運んでくれた。
俺は中くらいの台車を押して行った。

幸いにも2階は静かで、引っ越し荷物で音を立てても大丈夫そうだった。

循環器研究室に行くと、もう早瀬先生が来ていた。

早瀬「ああ~院長、すみませんね。あとはこっちでやりますから大丈夫ですよ」

「物流の福田さんが手伝ってくれるというからね。一緒にやりましょうよ」

俺たちがガタゴトとやっていると、隣の臨床工学士や放射線科の技師たちも出て来て手伝ってくれた。

「皆さん忙しいのにすみませんねえ」と渡辺先生が恐縮していた。

大物の机と椅子、本棚、ロッカーをみんなで運んだ。

「あとはパソコンと本や小物だけなので、自分たちでやります」と言ってくれた。

宿直室の変わりように、渡辺先生が「すごいですねえ~こんなにきれいにしてくれたんですか?ありがとうございます」と喜んでくれた。よかったよ。

これでひとつ仕事が終わった。

昼食後にはもう部屋が完全に空いていた。よしよし。

5階はこれから健康診断科、皮膚科、処置室、爪外来、静養室になる。

宿直室が終わったから、すぐこちらの改造をやってもらおう。

廊下には明るいベージュのベンチを置く予定。
新たな処置室にはカートや薬品用キャビネット、診察用ベッドも必要だ。
よし、まだ置けない物は宿直室奥の廊下に逃がしておこう。

さらに新設に伴い、ナースを10人と看護助手を4人採用した。
男子ナースが4人いるのだが、最近は男子が増えてきた。

このナースたちは外来専属と決まっているので、2号館やサテ館、本館でも皆定時上がり。
勤務場所を固定したことで、給料をシフト勤務者より安く設定できる。
人件費の節約だ。だから応募が早かったのだと思う。

面接は部長と師長たちに完全に任せた。
俺より厳しいチェックだからね。(笑)

振り分けも看護部長たちにお願いした。もう俺はノータッチだ。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『続・聖パラダイス病院』

菊池昭仁
現代文学
『聖パラダイス病院』の続編です。こんな病院なら入院生活も悪くはありません。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

ひとつ屋根の下

瑞原唯子
恋愛
橘財閥の御曹司である遥は、両親のせいで孤児となった少女を引き取った。 純粋に責任を感じてのことだったが、いつしか彼女に惹かれていき――。

25年間の闘いー奪われた恋、奪い返す命ー

しらかわからし
恋愛
(あらすじ) 戦乱の時代を経て誕生した新生ドイツ共和国。 かつて屑屋としてまた勉強を重ねて薬局や化粧品屋さらには酒場を営み生きていた男のグレッグは、民衆の支持と仲間たちの信頼を得て、大統領として国家の舵を取ることになる。 外交、財政、医療、軍事、そして諜報――共和国の未来を左右する決断が次々と迫る中、グレッグは人間味あふれる言葉と行動で、国と人々を導いていく。 妻ダクマーとの絆、側近たちとの信頼、そして諸外国との緊張と対話。 これは、一人の男が「国家」と「家族」の両方を守り抜こうとする、壮大な政治叙事詩です。 ※グレッグが社会に出た17歳から42歳までの25年間の記録です。 物語は、彼の価値観を形づくった幼少期から始まります。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

皇帝は虐げられた身代わり妃の瞳に溺れる

えくれあ
恋愛
丞相の娘として生まれながら、蔡 重華は生まれ持った髪の色によりそれを認められず使用人のような扱いを受けて育った。 一方、母違いの妹である蔡 鈴麗は父親の愛情を一身に受け、何不自由なく育った。そんな鈴麗は、破格の待遇での皇帝への輿入れが決まる。 しかし、わがまま放題で育った鈴麗は輿入れ当日、後先を考えることなく逃げ出してしまった。困った父は、こんな時だけ重華を娘扱いし、鈴麗が見つかるまで身代わりを務めるように命じる。 皇帝である李 晧月は、後宮の妃嬪たちに全く興味を示さないことで有名だ。きっと重華にも興味は示さず、身代わりだと気づかれることなくやり過ごせると思っていたのだが……

処理中です...