診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ

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第18章 回復と未来を目指して

373話 ファッションショー本番

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 莉子がシャトルバスで行くんだって。俺も人数に入っているそうだ。

集合時間はショーの2時間前。午後3時からショーが始まる。

到着すると、舞台の前には折り畳み椅子がずらっと並んでいた。150席くらいあるだろうか。

カーテンの中に入ると、加納君達に声をかけた。
「みんな頑張ってね」

加納「えっ?院長だって出るんじゃないですか?目玉なんですから、院長こそお願いしますよ」

「えっ……そうなの?」

小林「そうですよ。菜の花主体のモデルなんだから、院長が出てくれないと困りますよ。華なんですから」

びっくりだな。急いで莉子たちに伝えた。

莉子「あれ?春ちゃん、出ないつもりだったの?信じられない。私は出ると思ってたよ。ねえ!」と桃香に言う。
桃香「パパ、カッコよくやって来てねえ~」

加納君に手順を聞いた。
「院長は着替えが3回ですよ。登場は1番ですからね。コースとターンはこの図面で確認してください。歩く速さは
普通の街歩き程度にしてください。前の時と同じですよ」

前を?……思い出さなきゃまずいな。

すぐにメイクとヘアーをされた。スタイリストが3人ほど来ていた。
先日美容院に行っておいてよかった。

プロダクションの社長やメーカーの部長さんなどから挨拶を受けた。

「何人が出るの?」と加納君に聞くと、

「24人ですね。初めての人もいますから、最初にお手本を見せてくださいね」

ええ?誰だよ、初めての人って?奥の方へ行くと青山先生がいた!
目が合うとニヤッと笑った。

「練習はしたの?」
青山「しましたよ。めちゃめちゃシゴかれましたよ」

「じゃあ、ちょっと3メートルくらい歩いて見せて。俺スピードを忘れちゃったんだよ」
青山先生がププと笑った。
「じゃあ、ちょっとですよ」

颯爽とカッコよく歩いてくれた。
「すごいじゃん!」

「俺どうしよう、忘れたなあ。練習もしてないしなあ。どうしよう」

青山「加納君に声を掛けて端っこの方でちょっと歩く練習すればいいじゃないですか。すぐ思い出しますよ」
「そうするよ」

ビルの端っこで加納君にモデル歩きを教えてもらった。
何回も往復して歩き、テンポを忘れないようにした。

昔はうちの4階の長い廊下で、トレーナーと莉子たちと必死で練習したものだ。
歩いているうちに、トレーナーに言われたことをどんどん思い出した。
何とかセーフか。重要ポイントは目線だった。

いよいよMC登場。そして主催者の挨拶。
音楽が鳴り出し、ショーが始まった。
俺が1番なんて心臓に悪い!

でも4階の廊下で歩いたことを思い出して、颯爽と歩いた。
中央では左右にも前にもポーズを取った。よし、戻るぞ。

2番手の加納君が微笑みながらすれ違った。

裏に戻ると、みんなが緊張しながらもニコニコして並んでいた。
「院長、さすがですよ。カッコ良かったですよ」
ふっ、褒められた。

「山野さん、カッコいいですよ」
「ええ?そうですか?もうドキドキですよ」
照れまくっていた。

モデルクラブメンバーは全員揃っているそうだ。

三枝君、仁科先生、湯川先生、バーンズ先生、青山先生、朝井先生、ナースの岡本君、竹野君、臨床の三坂君。
2号館救命科の高原先生、沖田先生、高田先生も初参加。

目が合うと皆ニコッと笑った。楽しんでくれてうれしい。

音楽事務所からは桐生さん、村瀬さん、佐伯さん、レオさん、ステラビートの面々。
へえ~クラブ活動をしていたんだ。知らなかった。カッコいいよ。

加納「院長、もう次を着替えないと駄目ですよ」
「了解」スタイリストが俺を待っていた。やばい。

3回着替えるのはどうも俺だけらしい。俺が最後なんだ。

モニターで皆の出番を見ながら楽しんだ。

2回目はフォーマルウェア。
三枝君、加納君、小林君、仁科先生、湯川先生、青山先生、桐生さん、村瀬さん、佐伯さんが華やかなパーティーウェアで登場。

そして最後に俺の順番。光沢のあるシルバーのタキシードを着て登場した。

MCが再び出て、主催者の挨拶。全員が再登場して終了。

最後は皆で手を振ってはけた。ああ、終わった。

「皆すごくカッコ良かったねえ!」と声をかけると、照れ笑いをしていた。

加納君達に「本当にお疲れ様でした。すごく楽しかったよ。でも俺が出るとは思わなかったよ」

小林君「もう~困りますねえ~、院長がいないと始まらないですよ」

「ふふ__わかったよ」

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