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第18章 回復と未来を目指して
378話 コンサート本番前
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今朝は早起きして2台のシャトルバスでスタッフと共に会場へ向かった。
午前は設営、準備、リハーサル。
俺は産業医として、アーティストやスタッフの健康を管理しているから、今日も仕事だ。
アニメプラスやグランド・ステージ・ワークスでも全体の産業医を引き受けている。
今日は本番だから酸素ボンベが必須。残量も十分にある。
前回に引き続き、ゲストとして莉子と木内さんが舞台に出てトークする予定。
今回は木内さんの作詞の曲を3曲ほど夏が歌う。
衣装はエリナさんが用意していた。
MCも前回と同じ。
舞台の設営や照明などの監督に、この前紹介されたスタッフの面々が指示をインカムで飛ばしまくっていた。
頼もしいねえ。未来が見えるようだ。舞台裏の空気が熱を帯びていった。
俺も桐生さんにインカムを渡された。俺にいるか? でもしょうがない。
舞台裏ではいつもと同じ、スクラブに菜の花病院の白衣姿。
でもこの格好は舞台裏では浮くんだよねえ。
販売の方も覗いてみた。
今日も菜の花の荷物持ち隊と受付事務のスタッフが休日出勤している。
物流部が採用した販売のバイトが大勢。
それから写真部も来ていた。これはクラブ活動だから自由にやるだろう。
コンサートそのものはスタッフが全部録画するから問題ない。
山科看護部長と川瀬師長がいたので声を掛けた。
皆、Natsuの文字が入ったお揃いのライムグリーンのTシャツを着ていた。
「お疲れ様。もし急病人が出たらインカムで言うから、すぐ裏にヘルプに来てくれますか?」
山科「はい、わかりました。でも多分大丈夫ですよね?」
「わかんないよ。何があるか分からないからさ」
緊急以外はグッズの販売を手伝うそうだ。
莉子のリトグラフはついたてに掛けられていた。
それはまるで小さな美術館のようにロビーを彩っていた
この場所に似つかわしくないくらい、そこだけが穏やかだった。
どれも高級感があって、下に番号が振ってあった。
ちょっと気になったのが、俺と夏がじゃれているデッサン。
俺は関係ないだろう?なんで俺を出すんだよ。
それに「菜の花病院院長」というタイトルで、俺だけのリトグラフが堂々と出ていた。
絶対違和感がある。勘弁してほしい。
ロビーを歩けないじゃん。莉子に文句を言おう。
夏のリトグラフは、小さなものはA5くらいの額で、大きなものはA3くらい。
どれも限定数。デッサンだけなら2万円~5万円。額付きだからね。莉子にしたら格安だ。
色付けしたものは3万~10万。5万以上は見本のみで、あとは追加注文を受ける。
莉子にしたら格安だ。さすがに10万のものは見栄えが良い。
そうだ、桐生さんが木内さんの名刺を作ってくれたんだって。
<詩人&画家>の肩書になった。泣きそうな顔をしていたらしい。
前回と違って、今度のコンサートは比べ物にならないくらいプロの手がかかっていた。
レジもキャッシュレスの精算機がずらりと並んでいた。
俺の心配は不要だな。楽屋に戻った。
「春ちゃん。エリナさんが探してたよ。メイクとヘヤーをしたいんだって」
「は?なんで俺をメイクするんだよ?」
「知らないよ。でも探していたもん。エリナさんに聞いてよ」
インカムでエリナさんを探すと、すぐ楽屋に来てくれた。
「エリナさん、お疲れ様。どうして俺をメイクするの?」
「さあ、私には分からないんですけど、桐生さんの指示なんですよ。とにかくやらせてもらえますか?」
エリナさんを困らせるわけにはいかない。
しょうがない。黙ってやってもらった。
もうイヤな予感しかないが、この場が今日の仕事だから隠れるわけにもいかない。
あーやだ。
舞台裏ではステラビート、ナツ・サウンドクルー、ナツ・アンサンブルのフルメンバーが出演するからごった返していた。
莉子がいる楽屋に戻ると、夏もいて、みんなでお弁当を食べていた。
「パパー、お弁当の時間だよ。パパの分もあるよ」
「桃香はやさしいねえ~」
頭をよしよしして一緒に食べ始めた。
「莉子、なんで俺のリトグラフが出てるんだよ?」
「だってしょうがないでしょう?今までで一番売れたのは春ちゃんなんだから、桐生さんが出してって言ったんだもん」
「そうか、売上重視なんだな」全く‥‥‥。
「夏、調子はどうなんだ?」
「うん、珍しくばっちりだよ」
でもその笑顔には、緊張よりも期待の光が宿っていた。
まあ確かに調子がいいんだろう。
随分慣れてきた。前回とは大違いだ。
夏「お兄さん、聞いてくれた?客席が満席なんだよ。メグちゃんが言ってたけど、切符を買えない人がいっぱいいたんだって。どうしよう、申し訳ないよね?」
「じゃあ、なんかイベントでもやったら?」
「うん。桐生さんに聞いてみるよ。俺の一存じゃ駄目だからさ」
「で、今日は何曲歌うんだっけ?」
「今日はね、18曲かな?後はダンスだけもあるよ」
「へえ~すごく増えたね」
「うん。今回は木内さんの作詞でまあちゃんが作曲したのが3曲あるし、莉子の作詞した曲もあるんだよ」
ふ~ん。信じられない。
俺はまだどれも聞いてないからな。
午前は設営、準備、リハーサル。
俺は産業医として、アーティストやスタッフの健康を管理しているから、今日も仕事だ。
アニメプラスやグランド・ステージ・ワークスでも全体の産業医を引き受けている。
今日は本番だから酸素ボンベが必須。残量も十分にある。
前回に引き続き、ゲストとして莉子と木内さんが舞台に出てトークする予定。
今回は木内さんの作詞の曲を3曲ほど夏が歌う。
衣装はエリナさんが用意していた。
MCも前回と同じ。
舞台の設営や照明などの監督に、この前紹介されたスタッフの面々が指示をインカムで飛ばしまくっていた。
頼もしいねえ。未来が見えるようだ。舞台裏の空気が熱を帯びていった。
俺も桐生さんにインカムを渡された。俺にいるか? でもしょうがない。
舞台裏ではいつもと同じ、スクラブに菜の花病院の白衣姿。
でもこの格好は舞台裏では浮くんだよねえ。
販売の方も覗いてみた。
今日も菜の花の荷物持ち隊と受付事務のスタッフが休日出勤している。
物流部が採用した販売のバイトが大勢。
それから写真部も来ていた。これはクラブ活動だから自由にやるだろう。
コンサートそのものはスタッフが全部録画するから問題ない。
山科看護部長と川瀬師長がいたので声を掛けた。
皆、Natsuの文字が入ったお揃いのライムグリーンのTシャツを着ていた。
「お疲れ様。もし急病人が出たらインカムで言うから、すぐ裏にヘルプに来てくれますか?」
山科「はい、わかりました。でも多分大丈夫ですよね?」
「わかんないよ。何があるか分からないからさ」
緊急以外はグッズの販売を手伝うそうだ。
莉子のリトグラフはついたてに掛けられていた。
それはまるで小さな美術館のようにロビーを彩っていた
この場所に似つかわしくないくらい、そこだけが穏やかだった。
どれも高級感があって、下に番号が振ってあった。
ちょっと気になったのが、俺と夏がじゃれているデッサン。
俺は関係ないだろう?なんで俺を出すんだよ。
それに「菜の花病院院長」というタイトルで、俺だけのリトグラフが堂々と出ていた。
絶対違和感がある。勘弁してほしい。
ロビーを歩けないじゃん。莉子に文句を言おう。
夏のリトグラフは、小さなものはA5くらいの額で、大きなものはA3くらい。
どれも限定数。デッサンだけなら2万円~5万円。額付きだからね。莉子にしたら格安だ。
色付けしたものは3万~10万。5万以上は見本のみで、あとは追加注文を受ける。
莉子にしたら格安だ。さすがに10万のものは見栄えが良い。
そうだ、桐生さんが木内さんの名刺を作ってくれたんだって。
<詩人&画家>の肩書になった。泣きそうな顔をしていたらしい。
前回と違って、今度のコンサートは比べ物にならないくらいプロの手がかかっていた。
レジもキャッシュレスの精算機がずらりと並んでいた。
俺の心配は不要だな。楽屋に戻った。
「春ちゃん。エリナさんが探してたよ。メイクとヘヤーをしたいんだって」
「は?なんで俺をメイクするんだよ?」
「知らないよ。でも探していたもん。エリナさんに聞いてよ」
インカムでエリナさんを探すと、すぐ楽屋に来てくれた。
「エリナさん、お疲れ様。どうして俺をメイクするの?」
「さあ、私には分からないんですけど、桐生さんの指示なんですよ。とにかくやらせてもらえますか?」
エリナさんを困らせるわけにはいかない。
しょうがない。黙ってやってもらった。
もうイヤな予感しかないが、この場が今日の仕事だから隠れるわけにもいかない。
あーやだ。
舞台裏ではステラビート、ナツ・サウンドクルー、ナツ・アンサンブルのフルメンバーが出演するからごった返していた。
莉子がいる楽屋に戻ると、夏もいて、みんなでお弁当を食べていた。
「パパー、お弁当の時間だよ。パパの分もあるよ」
「桃香はやさしいねえ~」
頭をよしよしして一緒に食べ始めた。
「莉子、なんで俺のリトグラフが出てるんだよ?」
「だってしょうがないでしょう?今までで一番売れたのは春ちゃんなんだから、桐生さんが出してって言ったんだもん」
「そうか、売上重視なんだな」全く‥‥‥。
「夏、調子はどうなんだ?」
「うん、珍しくばっちりだよ」
でもその笑顔には、緊張よりも期待の光が宿っていた。
まあ確かに調子がいいんだろう。
随分慣れてきた。前回とは大違いだ。
夏「お兄さん、聞いてくれた?客席が満席なんだよ。メグちゃんが言ってたけど、切符を買えない人がいっぱいいたんだって。どうしよう、申し訳ないよね?」
「じゃあ、なんかイベントでもやったら?」
「うん。桐生さんに聞いてみるよ。俺の一存じゃ駄目だからさ」
「で、今日は何曲歌うんだっけ?」
「今日はね、18曲かな?後はダンスだけもあるよ」
「へえ~すごく増えたね」
「うん。今回は木内さんの作詞でまあちゃんが作曲したのが3曲あるし、莉子の作詞した曲もあるんだよ」
ふ~ん。信じられない。
俺はまだどれも聞いてないからな。
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