医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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15話 生理痛・2(詩音と裕司サイド)

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莉子を乗せた車が出ていくのを見送ると、二人でふうっと息をついた。

「駄目……もう無理。ねっ、絵画部室に行って二人でちょっと休まない?」と詩音が誘った。
「そうだな、俺もなんだかもう疲れた。息苦しいよ。部室で休もうぜ」

と二人でドリンクを買って、絵画部の部室に行った。
ドアを開けると、絵画部の部長の山本 聡がいた。

「あれ?なんだよ、二人揃って?」
「はあーっ、もう無理です。休ませてください」と二人揃って机に突っ伏した。

「はー?? なんだよ、お前ら何かあったの??」

「莉子が倒れたんです」と詩音が説明する。
「えっ? マジか? ついこの間、莉子のお兄さんから病弱だからという話を聞いたばかりだけど」

「朝から莉子の様子が変で、そのうちにお腹が痛いって言って動けなくなったんです」
「で、前に言われていたから、莉子のお兄さんに電話して、迎えをお願いしたんですよ」

「でも待ってる間に莉子がだんだん苦しんできて、息もハアハア言うし、
お腹を押さえて脂汗をかいてるしで、私もどうしていいかわからないから、
怖くて心臓がバクバクしちゃって……」

「で、一人じゃ怖いから、裕司に電話してきてもらったんです。」
「とりあえず、トイレ近くの小さな部室にソファがあったから、そこに寝かせたんですよ」と裕司が言う。

「医務室まで遠いけど連れて行こうか?」って莉子に聞いたんだけど、
「動けない」と本人が言ったんで、そのままソファにいてもらうことにしたんです。

「で、俺が駐車場までお兄さんを迎えに行って、部屋まで案内したんです」

「イケメンのお兄さんでびっくりしたんだけど・・、あっ、関係ないか、
とりあえずお兄さんがお医者さんだって詩音から聞いてたから、
一刻も早く診てもらおうと思って焦りました!!」

ぶんぶんと二人で頷く。

「ほほーー、それは大変だったな。で、莉子はどうだったの?」

ここからは詩音の独壇場。

「莉子がハアハアすごく苦しんでいたのに、さすがお医者さん!! 慌てず冷静にカバンを広げて
慣れた手つきで、さっさと血圧測ったり、聴診器で胸の音を聴いたりで、
静脈注射をするから、私に手を貸してほしいと言われて、
莉子の左腕を抑えてたんですよ! もう私の胸がすんごく痛かった!!」

「あああ…俺も俺も!人が注射されるのって、マジ無理……。
もうかわいそうで見てられなかったっす」と裕司も同調する。

「ほっほーー、まあ、それはそれはご苦労さんだったねえ。二人とも偉かったよ!(笑)」
なぜか、二人の頭を交互になでなでする部長。

「で、結局、診断はどうだったの?」と部長が聞くと、
「生理痛だそうです」と詩音。

「はあ?生理痛でそんなになるのか??」と驚く部長。
「ええ――?? やっぱり病弱ってお兄さんが言ってたから、
生理一つとっても、そんなにひどくなるのかねえ………?男にはわからねえなあ」

「でも私はそんなことないですよ。ちょっとお腹が張ったり、痛い時もあるけど、
莉子ほどひどくはならないです。やっぱり、人によって違うのかもしれないですね」

「しかし、今日僕は自分の無力さを知りました」と裕司がうつむいたまま言うと、
詩音と部長がどっと笑った。

「なんですか?そこは笑うとこじゃないでしょう?」
「裕司は莉子狙いで絵画部に入ったのか?」 部長と詩音がくすくす笑う。

「やっぱり、医者ってそれだけでカッコいいんだよなあ~。
莉子のお兄さんを見て、めちゃめちゃカッコいいって思ったんですよ」と裕司。

「本当だよねえ、莉子のお兄さんってどうしてあんなにイケメンでスマートなの?
背は高いしさ、大人っぽいのに優しくて、笑顔がまた素敵なんだよねえ」と、うっとりする詩音。

「はいはい、もう十分に聞きましたからね。
これ以上聞いていると僕も一緒に落ち込みそうだから、この辺でお開きにしてくださいよ」

ふふふ、部長を疲れさせちゃったかな?

さっ、裕司君、次の授業に行きましょう。なんだか元気になってきたわ。
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