医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

文字の大きさ
43 / 996

42話 私を泣かせて

しおりを挟む
病院から帰ってくると、莉子は自分の部屋のベッドで横になった。

俺はそのまま、夕飯を支度した。
エビピラフを炊き込みで作った。他にサラダとスープだ。

背中を向けて横になっている莉子に、夕飯だよと声を掛けると、あんまり食べたくないという。
俺は莉子のベッドの脇に腰かけて、髪を何回も撫でた。

じゃあ、スープだけでも飲むか?

「後でいい」じゃあ、お腹が空いたら食べてね。

莉子がこうなるのは予想していた。しばらく時間が必要のようだ。
まだまだ18歳だ。無理もない。
でも今は一食でも抜くと身体が余計に弱るから、それが気になった。

きつい生理や喘息の発作が治まったばかりで、身体のダメージからまだまだ復活してはいない。

先に夕飯を済ませ、お風呂を沸かした。
莉子、一緒にお風呂に入ろう。身体を洗ってあげるから。

「イヤだ、入らない」そう言うと思ったがしょうがない。先に風呂に入ることにした。

莉子は意固地になっているようだ。気持ちをぶつけるところがないんだね。
今日の今日じゃ、しょうがないか。あとでゆっくり話そう。

お風呂に入ったあとで、莉子の部屋に行った。

莉子、寝る前に少し診察させて。まだ体力が完全に回復しているわけではないし、
大学に行けるかどうかを判断したいから。

そう言うと莉子は諦めて仰向けになってくれた。
朝の診察と同じように一通りしている間はじっと目をつぶったままだった。

莉子、少し話をしよう。

莉子の頭を支えて上半身を起こし、背中側に俺が座り胸にもたれ掛けさせて、両腕で抱きしめた。

莉子、今日はよく頑張ったね。
内診はやはりまだ痛かったんじゃないの?

「うん」 ちょっとまだ辛かったね。

でも莉子の頑張りで、川瀬も正しい診断をしてくれたね?

莉子、今日の診断結果をどう思ったの? 俺は莉子がこの世で一番大切だ。
一番愛しているから、なるべく元気でいて欲しいんだ。でも元気が出ない時は無理をしなくていいんだよ。
ありのままの莉子でいいんだよ。そんな莉子だって大好きだ。

俺がもし、病気になったら莉子は心配してくれるだろう? 同じなんだよ。
お父さんもお母さんも莉子に幸せになって欲しいと思っているんだ。
莉子の身体は一人だけのものじゃないよ。

妊娠の可能性を今日言われたね。
莉子がいいなら、今からだって子作りに励んだっていいんだぞ!
俺たちは結婚しているんだ。何の問題もない。
もし妊娠したら、大学を休学してもいいし、退学してもいい。

なんなら、俺が子育てをしてもいいんだ。試してみる?
でも子供がいるだけが幸せじゃないよ。

子供がいなくたってなんの問題もない。
莉子が卒業したら、やりたいことがいっぱいあるだろうから、思いどおりにしていいんだよ。
なんにも縛られなくてもいいんだ。

俺は二人でいることが一番幸せなんだ。いつも莉子が最優先だ。

この前、莉子が喘息発作を起こして呼吸困難になっていたうえに、
さらに生理痛で気絶した時は、俺は本当にパニックになったよ。医者なのに。
莉子を失うことが怖くて涙が出たよ。

卵巣を取るのは何も問題ないよ。怖がらなくていいんだ。俺がついているから。
頼りにならない医者だけど、莉子には頼って欲しいと思っているんだ。
どうかな?

そう言いながら、俺はなぜか涙が流れていた。莉子もボロボロと涙を流して泣いていた。

それから莉子の向きを変えて俺は力いっぱい抱きしめた。

莉子、愛しているよ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

『続・聖パラダイス病院』

菊池昭仁
現代文学
『聖パラダイス病院』の続編です。こんな病院なら入院生活も悪くはありません。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...