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85話 離れて・8(発作)
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昨日、詩音ちゃんに、莉子のことをよろしく頼むとメールをしておいた。
朝、莉子を車で教室に一番近い駐車場まで送って行った。大丈夫かなあ? 予想だと最後までは無理だと思う。
昼食も学生食堂まで歩けないだろうと思って、スープとサンドイッチを持たせた。
そしてダウンのコートを着せて行かせた。冷えるのが大敵だからね。あとは貼るカイロも2個持たせた。
それと、手袋とマフラーもね。過保護かな? もう心配でしょうがないんだよ。
莉子はなんとか歩いて行ったけど、どうなんだろう? 俺はひやひやして一日中落ち着けないだろうなあ。
午前の診療が終わって、スマホをチェックした。幸いなことになにも連絡は来ていなかった。
よしよし、なんとか無事でやっているみたいだなあ。ふふ。
午後の診療に入る前あたりで電話が来た。
詩音ちゃんからだ。やっぱり!!
「莉子ちゃんが午後の授業中におなかが痛いって言って、トイレに行ったんだけど、帰ってこないから見に行ったら、トイレの中で倒れていたんです。おまけに呼吸が変なんです。顔色も悪いし、ハーハー言っていて、息が苦しそうです」
まずい!喘息の発作だ。詩音ちゃん、すぐ救急車をそっちに向かわせるから待っててね。大学病院の救急に俺から連絡するから。それから医務室の人に酸素ボンベを持ってきてもらって、酸素を吸わせてほしい。救急車が行くまで吸わせてと言ってくれますか?俺は救命の先生に莉子が喘息の発作で倒れたことを連絡しておくから、頼んだね!!俺は午後の診療があるから行けないけどお願いします。
俺はすぐ救命に連絡して大学の3号館まで救急車に行って欲しいことと、妹が喘息の発作で呼吸困難になっている可能性があること、婦人科の術後で直前に腹痛を訴えたらしいということも伝えた。
それから、すぐ医局に電話して、妹が救急搬送されて来るから、誰か1時間くらい診療を代わってもらえないか?とお願いした。幸いにして、部長が来てくれることになった。良かった。この前、救命の助っ人に行って夜勤までしたからな。
すぐに部長が来てくれたから、俺は救命に行ってスタッフに挨拶してから、妹の病歴・持病と今朝の体調や今朝の診察結果を伝えた。
救命スタッフとはこの前一緒に仕事したから、あらまあ~と歓迎された。(いや~また呼ばないで欲しいんだけどね)
やっぱり救命が合っているんじゃないですか?なんてナースたちに言われた。ふふ(冗談じゃないよ)
救急車の搬入口で俺は待った。そのうちにサイレンを鳴らして運ばれてきた。
まさに莉子は呼吸困難になっていた。まずい!なんでここまで悪くなるんだ???
すぐ初期治療室に入れて、酸素マスクを付けて俺はラインを確保した。意識がもうろうとしていた。胸の音は他の救命の医師が診てくれている。血圧、心拍数、酸素飽和度、呼吸状態もチェック。
救命はスタッフが協力しあって分業で進めてくれるから、そういうところが良いよね。
声を掛け合い情報を共有する。こういう時、病院はいいと思う。機械が揃っているからスムーズにチェックできる。
術後ということと、腹痛を訴えたことでエコーもすぐかけられた。呼吸が落ち着いたらレントゲンとCTだ。川瀬にも連絡したが手術中とのことだった。あとで見に来てくれるだろう。
結局、自宅だと治療や検査がはかどらない。大きな病院に行った方が二度手間にならないで済む。
それから、大学の医務室の人が救急車に一緒に乗って来てくれていた。
前日に診断書と状況をメールで伝えておいたから、スムーズに運んだようだ。良かったよ。本当に。莉子の荷物を受け取り、お世話になったお礼を伝えた。それと、事務局にも連絡をしていただけるようにお願いした。
とりあえず全身状態があまり良くないということで入院になった。良かった。これでひとまず安心だ。
でもまさか、ここで喘息が出るかという感じだった。今朝は胸の音は悪くなかったんだよな。
虚弱だから、いつこんな病状が出るかわからないところが本当に怖いよ。油断が出来ない。
しかも場所が大学だったから良かったようなものの。自宅で独りだったらどうなっていたのか?
俺は怖くて怖くて仕方ないよ。もう退院したら絶対実家に帰そう。
寂しいなんて言っていられないよな。そうだ、父にも報告をしておかないといけない。
明日、莉子が落ち着いたら小川先生にも状況を伝えておこう。実家送りにするなら、週末の補習はキャンセルするしかないからな。また申し訳ないことになってしまった。
ああ~とにかく今回は助かった。神に感謝するよ。それと詩音ちゃんにもだな。あとでお礼の電話をしておこう。
詩音ちゃんはもう懲りたかもしれないな。きっと怖がらせたと思う。あとでなんと言おうか?
半端な状態で大学に行くと、他の人の迷惑になるからな。しかも呼吸困難じゃ誰も対処できないだろうから、驚かせてしまって本当に申し訳なかったなあと思った。
それと、明日は大学の事務局と医務室にも状況の連絡をしておかないといけないな。入院とその後の自宅療養でまた欠席せざる終えないからなあ。 落ち着いたら、莉子はなんというかなあ? もう心配事は尽きない。
でも、とりあえず莉子が無事なら、俺はそれでいいんだ。本当に今日は助かったよ。皆さんに感謝したい。
朝、莉子を車で教室に一番近い駐車場まで送って行った。大丈夫かなあ? 予想だと最後までは無理だと思う。
昼食も学生食堂まで歩けないだろうと思って、スープとサンドイッチを持たせた。
そしてダウンのコートを着せて行かせた。冷えるのが大敵だからね。あとは貼るカイロも2個持たせた。
それと、手袋とマフラーもね。過保護かな? もう心配でしょうがないんだよ。
莉子はなんとか歩いて行ったけど、どうなんだろう? 俺はひやひやして一日中落ち着けないだろうなあ。
午前の診療が終わって、スマホをチェックした。幸いなことになにも連絡は来ていなかった。
よしよし、なんとか無事でやっているみたいだなあ。ふふ。
午後の診療に入る前あたりで電話が来た。
詩音ちゃんからだ。やっぱり!!
「莉子ちゃんが午後の授業中におなかが痛いって言って、トイレに行ったんだけど、帰ってこないから見に行ったら、トイレの中で倒れていたんです。おまけに呼吸が変なんです。顔色も悪いし、ハーハー言っていて、息が苦しそうです」
まずい!喘息の発作だ。詩音ちゃん、すぐ救急車をそっちに向かわせるから待っててね。大学病院の救急に俺から連絡するから。それから医務室の人に酸素ボンベを持ってきてもらって、酸素を吸わせてほしい。救急車が行くまで吸わせてと言ってくれますか?俺は救命の先生に莉子が喘息の発作で倒れたことを連絡しておくから、頼んだね!!俺は午後の診療があるから行けないけどお願いします。
俺はすぐ救命に連絡して大学の3号館まで救急車に行って欲しいことと、妹が喘息の発作で呼吸困難になっている可能性があること、婦人科の術後で直前に腹痛を訴えたらしいということも伝えた。
それから、すぐ医局に電話して、妹が救急搬送されて来るから、誰か1時間くらい診療を代わってもらえないか?とお願いした。幸いにして、部長が来てくれることになった。良かった。この前、救命の助っ人に行って夜勤までしたからな。
すぐに部長が来てくれたから、俺は救命に行ってスタッフに挨拶してから、妹の病歴・持病と今朝の体調や今朝の診察結果を伝えた。
救命スタッフとはこの前一緒に仕事したから、あらまあ~と歓迎された。(いや~また呼ばないで欲しいんだけどね)
やっぱり救命が合っているんじゃないですか?なんてナースたちに言われた。ふふ(冗談じゃないよ)
救急車の搬入口で俺は待った。そのうちにサイレンを鳴らして運ばれてきた。
まさに莉子は呼吸困難になっていた。まずい!なんでここまで悪くなるんだ???
すぐ初期治療室に入れて、酸素マスクを付けて俺はラインを確保した。意識がもうろうとしていた。胸の音は他の救命の医師が診てくれている。血圧、心拍数、酸素飽和度、呼吸状態もチェック。
救命はスタッフが協力しあって分業で進めてくれるから、そういうところが良いよね。
声を掛け合い情報を共有する。こういう時、病院はいいと思う。機械が揃っているからスムーズにチェックできる。
術後ということと、腹痛を訴えたことでエコーもすぐかけられた。呼吸が落ち着いたらレントゲンとCTだ。川瀬にも連絡したが手術中とのことだった。あとで見に来てくれるだろう。
結局、自宅だと治療や検査がはかどらない。大きな病院に行った方が二度手間にならないで済む。
それから、大学の医務室の人が救急車に一緒に乗って来てくれていた。
前日に診断書と状況をメールで伝えておいたから、スムーズに運んだようだ。良かったよ。本当に。莉子の荷物を受け取り、お世話になったお礼を伝えた。それと、事務局にも連絡をしていただけるようにお願いした。
とりあえず全身状態があまり良くないということで入院になった。良かった。これでひとまず安心だ。
でもまさか、ここで喘息が出るかという感じだった。今朝は胸の音は悪くなかったんだよな。
虚弱だから、いつこんな病状が出るかわからないところが本当に怖いよ。油断が出来ない。
しかも場所が大学だったから良かったようなものの。自宅で独りだったらどうなっていたのか?
俺は怖くて怖くて仕方ないよ。もう退院したら絶対実家に帰そう。
寂しいなんて言っていられないよな。そうだ、父にも報告をしておかないといけない。
明日、莉子が落ち着いたら小川先生にも状況を伝えておこう。実家送りにするなら、週末の補習はキャンセルするしかないからな。また申し訳ないことになってしまった。
ああ~とにかく今回は助かった。神に感謝するよ。それと詩音ちゃんにもだな。あとでお礼の電話をしておこう。
詩音ちゃんはもう懲りたかもしれないな。きっと怖がらせたと思う。あとでなんと言おうか?
半端な状態で大学に行くと、他の人の迷惑になるからな。しかも呼吸困難じゃ誰も対処できないだろうから、驚かせてしまって本当に申し訳なかったなあと思った。
それと、明日は大学の事務局と医務室にも状況の連絡をしておかないといけないな。入院とその後の自宅療養でまた欠席せざる終えないからなあ。 落ち着いたら、莉子はなんというかなあ? もう心配事は尽きない。
でも、とりあえず莉子が無事なら、俺はそれでいいんだ。本当に今日は助かったよ。皆さんに感謝したい。
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