医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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141話 生理再び

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 患者が少なくなって、そろそろ診療が終わるなあと思った時だった。ふと見ると夏君からメールが来ていた。
莉子がおなかが痛いと言って動けないそうだ。しかも服を汚しているので、自宅まで送ると言ってきた。ええ~?今回は珍しく1週間ほど生理が遅れていたんだよね。まさか~??という気持ちはあったよ。

テニスをしていて、ちょっと休むというから休ませていたら、そのうちに動けなくなっていたらしい。
で、ウェアに血がにじんでいたので、自分のパーカーで腰に巻いてから、抱いて車に運んだそうだ。詩音ちゃんも一緒に来てくれたから、お兄さんの帰りを自宅で待つそうだ。

俺は仕事を終わらせて急いで帰宅した。莉子は俺の部屋のベッドに寝かされていた。医療器具がいっぱいあるので、ここに運んでくれたんだろう。夏君はよくやってくれた。

夏君も詩音ちゃんも世話を掛けてしまってすまないね。と言いながらも、莉子がぐったりしていたので、莉子、大丈夫か?帰ってきたよと声を掛けて、脈と血圧と聴診をした。うん、他は大丈夫だな。

二人とも心配そうに莉子を見つめていた。
ごめんね。莉子はもう大丈夫だからね。多分、疲れがたまっていたのかもしれないね。
莉子はあとで着替えさせるよ。で、夏君、パーカーは洗濯して返すから、もうちょっと貸しててね
「はい、いつでもいいですから」と夏君が言ってくれた。

莉子は体力がないからね。でも最近は大分元気になっていたんだよね。まあ、こういうこともあるさ。
とりあえず、これ飲んでねと冷蔵庫から冷えた珈琲缶を二人に渡した。
「あっ、すみません。ありがとうございます」と遠慮がちに受け取ってくれた。

今日はありがとうね。わざわざ送ってくれて助かったよ。夏君も詩音ちゃんも本当にありがとう。
莉子はしばらく休むからあとは頼みます。ちょうど春休みだから良かったよ。そうお礼を言うと「じゃあ、失礼します」と言って二人は帰って行った。

莉子の着替えやタオルを取ってきた。あとはナプキンを入れているバスケットだな。
テニスのやりかけだったんだね。蒸しタオルがいるな。莉子の服を脱がせて蒸しタオルで身体を拭きながら、乾燥したタオルを掛けていく。
あっ、腰の下にバスタオルが敷いてあった。きっと詩音ちゃんがしてくれたんだね。うれしいなあ。

湿気が取れたところでパジャマを着せていく。こういう時は前開きが良いんだよね。ズボンを脱がせると、出血がにじんでいて確かに外からもわかるね。下着にナプキンは付けていたんだけど、出血が多いから外に出ちゃったんだな。なんでこんなに出血したんだろう? いつもはここまでは多くはないんだけどね。

莉子、聞こえるか? おなかが痛いの? どの辺が痛いのか教えて。「うう、ん......」眉間にしわを寄せて辛そうにしているけど、はっきり言えないのかな?両手で下腹を押さえている。うん、そこが痛いのね?と言うとうんと頷く。
おしっこは出るか?と聞くと頷く、トイレに行ける?連れて行こうか?というとちょっとだけ顔を左右に振る。

・・とりあえずおむつを敷いて、そこにナプキンを重ねた。それから陰部を消毒して導尿をすることにした。すぐ検査しよう。いったんおむつを戻して、上からバスタオルを掛けてトイレに行った。

で、をした。あと、ついでに細菌検査もした。生理だけじゃないもんな。尿路感染もあるかもしれないし、でも......まさか......と思うけどね。どうだろう? 

残念、妊娠じゃないし、とりあえず細菌検査もOKだ。じゃあ生理だな。出血はもう一日様子を見ることにした。
もっとどんどん出血量が増えて来るようなら病院行きだね。川瀬に診てもらった方がいいな。そうでなくても莉子は貧血だから心配だ。
 
膀胱にバルーンを入れた。それから点滴に繋いで動かないように台で留めた。痛み止めも点滴に入れた。お湯を用意して莉子に飲ませよう。
莉子の頭を少し上げて、お湯だよ、飲めるか?とコップを当てても口を開けないよ。こうなると無理。
俺が口に含んで莉子の口を少し開けさせて飲ませる。ゴクンと飲んだ。もっと飲むんだよと言って、また口移しで飲ませた。あともう一回だよ。またゴクンと飲んだ。よしよし良い子だ。

点滴はスマホにタイマーを掛けた。俺も莉子と一緒に少し休もう。莉子、おいでと言って腕枕をした。莉子の髪を撫でてキスをした。ゆっくり休んでね。お休み。
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