医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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303話 春樹と莉子のティータイム

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 春樹は桃香と遊んでやったあと、ベビーベッドに寝かせた。

莉子はスケッチブックにいっぱい桃香をデッサンしていた。

「莉子、お茶にしようか?」

「うん、そうだね。お菓子なんかあったっけ?」 

「う~ん冷凍のロールケーキがあるよ。美味しいヤツだ」

「いえ~い!食べたいでしゅ」

「じゃあ、紅茶を淹れるね。俺も紅茶にしようかなあ。マルコポーロがあるよ」

莉子はデッサンの手を止めてダイニングテーブルの席に着いた。ロールケーキを切っている春樹の手元を眺めていた。

「絵は皆、頑張って書いているのかな? 写真を撮ったものの、その後が分からないからさ」

「そうだよねえ・・。詩音は書いていると思うよ。だって莉子兄だもんねえ。一生の宝にするって言ってたんだもん」
「ふっ、大げさだよ。でも書いてくれるのはすごくうれしいよ。宝になるかどうかは知らないけどさ」

春ちゃんはニコニコして言っているね。「私は夏を描くからねえ~。思いっきりハンサムに描くよ」

ふふふ「そうか、喜ぶよ~絶対。莉子が書いたものならそれこそ宝だよ」

「そういえばさ、夏は今頃医大でしっかり勉強しているかなあ?」 

うん、必死に勉強していると思うよ。でないとついていけないはずだからな。

「ええ~かわいそうだねえ。それでよかったのかなあ?文学部にいればトップだったのにさあ」

いいんだよ。世の中は広いんだから、早めに知った方が良いんだよ。夏の為だ。

「春ちゃんは、夏にやたらに甘い時と厳しい時があって両極端だよねえ?」ぷっ、気が付かなかったよ。

莉子はどうなの?「ん?私はいつも夏にやさしいよ。だって大好きだもん」

「あっ、このケーキはすっごく美味しいね。夏にも食べさせたいよ」大丈夫だよ。取ってあるからさ。

「なんかねえ、守る会のみんなが写真を見ながら必死でデッサンしていたよ。だけど初めてだから中々進まないみたいだよ。すぐ上向いてふーっと息をついてるもん」

ふっ、笑える。5人とも同じ題材にするなんてありえないよな。思い出すと笑えるよ。あははは。

見比べられるからすごく不利じゃないのかな? ところで、莉子はもう夏の絵は出来たの?

「ん?へへへ、まだだよ。夏が来たら、書こうかあな?デッサンも少ししてから書きたいんだよね。

どの方向からが一番イケメンなのかを研究したいんだよね」ふ~ん。なるほどね。

美容師さんが言っていたよね。イケメン2だって。横顔から見たら最高のイケメンカットだって言ってたよ。

横からの顔を描いたらどう? 

「あっ、そうだね!うっかり忘れていたよ。そうしよう。閃いた」ふふふ

「そうそう、今度ね、絵画部の部長に詩音がなったんだよ。山本部長は就職活動で忙しいからなんだって」

へえ~大変そうだね。頑張って欲しいよ。俺をカッコよく描いて欲しいしさ。

ところで、あの写真のどっちを描くのか聞いた? 白衣姿を描くのかなあ? あー聞いとくよ。
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