医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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507話 新聞記事

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 山科さんが朝一で新聞を持ってきた。「先生が載ってる!」って言うんだよね。

何のこと?と思ったら、この前の交通事故の患者さんが退院して、お礼の言葉を新聞に投稿したようだ。

うわ~、もう忘れていたよ。ふふふ、まあ治って退院できたなら本当に良かったよ。なんだかくすぐったい。

夏にも教えてやらないといけないな。

そしたら、患者さんから、次から次に「読みましたよ!」と言われる羽目になった。

だんだん面倒になって来た。わかったわかった、もういいから。

俺はあの後、筋肉痛でえらい目に遭ったんだよとは言えないしな。(笑)

その日の午前の終わりごろに、その患者さん夫婦がお礼にみえた。わざわざ来てくれたんだ。

命の恩人と言われたよ。それは医者冥利に尽きるね。そのために医者がいるわけだからさ。

旦那さんも奥さんも泣くしさ、俺もついもらい泣きをするところだったよ。

スタッフも皆集まってさ。誰かがインカムで言ったんだよ。こういう時に使うか?

パチパチと拍手をくれた。照れ臭いよ。

さて、ご夫婦に帰ってもらったところで上に上がろうとしたら、お掃除の友井さんと三輪さんが揃って来た。

「うん?どうしたの?」

「新聞を読みました。あの夫婦の奥さんは私たちの友人です。本当にうれしく思いました。新聞に載ることは昨日メールで知らせてくれたので、これを作ってきました。これは私達から、ほんの感謝の気持ちです。良かったら召し上がってください」と言ってくれて、友井さんは煮物と和え物、三輪さんはサラダとドレッシング2種類を持ってきてくれた。

「えー?いいの?めちゃめちゃうれしいよ!おかずは最高だよ!ありがとう!!」

そういうわけで、喜んで部屋に戻った。おかずって最高にうれしいんだよ~。

「莉子、もらったよ!」と言って二人で蓋を開けた。

煮物にはたっぷりと鶏肉と里芋や根菜類が入っていた。

「うわ~すごい!おいしそうだねえ」と莉子も感激していた。

早速食べた!「何てうまいんだ?!すごすぎるよ」大感激した!

はあ、久しぶりだよ。こんなにうまい煮物は。鶏肉が最高だった。

そうだ、夏にも取っておかないと怒るぞ。 すぐ分けておいた。喜ぶぞ~。

次はサラダだ。普通の野菜サラダじゃないよ。

根菜やカボチャやナッツにリンゴに干しブドウまで入っていた。

彩りにミニトマトやゆで卵もたっぷり入っていた。

凄いねえ~。ドレッシングは2種類あって、両方とも食べたことのないうまさだった。

うわ~どうする?こんなのを毎日食べられたらねえ!

幸せだよねえと莉子と二人でがっついた。

「いや~なんて料理上手なんだよ」

莉子も「すごいねえ。同じ材料だとは思えないよね。私、毎日食べたいよ!」ふふふ、そうだよねえ。俺だってさ。

夜に夏が帰って来た「早く夕飯食べろよ。すごいんだから!」

「え?何事ですか?」とニコッと笑ってる。で、早速出して食べさせた!

「うま~い!!ナニコレ?凄すぎる!おいしいねえ~」俺も莉子も笑って夏を眺めていた。

「誰が作ったと思う?」「ええ~・・わかんない」「友井さんと三輪さんだよ」

「もう~お掃除よりも料理をやってほしい。毎日食べたいよ」夏も感激の味だよ。

「やっぱりねえ!」俺と莉子が声を揃えた。

「本当だよね。毎日食べられたら俺も幸せだよ」

「本当にそうしてもらおうか?」「賛成!」って莉子と夏が声を揃えた。笑いが止まらない。

「じゃあ、早速二人にお願いしてみようよ。なんというか分からないけど、お掃除のスケジュールを見てよ。11時から12時まで料理する時間があるかなあ?もし余裕がなければ、もう一人採用しようよ」

「病院の日は毎日作ってほしいよ。俺も俄然仕事のやる気が出てきた!」

クスクスと、夏と二人で笑ってしまった。

莉子はもう一つピンと来ていないと思うけどね。笑える。
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