医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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621話 披露宴・岩城の涙

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 もう修学旅行並みだよ。この人数が一斉にマイクロバスに乗るんだからすごいよね。

岩城や川瀬は洋子さんや中村と一緒に先に行っているそうだ。

また岩城はボーイをやってくれるのかな?

じっとしていられない性格だからさ。多分やるよ。(笑)

俺も莉子と桃香と金沢さんを乗せてレストランに向かった。

着いたら、皆うわ~すごく素敵!!と喜んでいた。

洋子さんが入口の門からして花の飾りがあって、ウェディングの雰囲気を盛り上げている。

素敵だ。さすがだよ。

岡本君もずっと外観や皆の様子を撮っていた。

中に入ると、あちこちに飾られた花がすごく素敵だった。

スタッフたちもうわ~と見まわしていた。

良かったね。洋子さんがきれいにしてくれてありがたいよ。

各テーブルにも盛り花や、グラスに入った花が飾ってあった。

奥の正面は新郎新婦の席だ。もうウェディングケーキが2個、テーブルの上に置かれていた。

チョコレート版に莉子が書いた二人の似顔絵があった。可愛いよ。

洋子さんが新郎にコサージュを付けてあげていた。新婦にはブーケだ。

あとで入場から始めるそうだ。ふ~ん、それは誰のアイデアなんだろう?

俺は知らないなあ。夏かな? 席順があったから皆が席についた。

俺と岩城、川瀬、莉子と桃香は一番後ろだ。

本物の披露宴みたいだね。

皆が席に着いたらワーグナーの結婚行進曲が流れてきた。

そこへ「新郎新婦の入場です」アナウンスは夏だ。

皆拍手して迎える。二組の新郎新婦がゆっくりと入場してきた。

多分、夏だね。この音楽をセッティングしたのは。

いつの間に用意したんだろう。寝ていないのか?

本当に義理堅いね。仲間というよりも友達の為だね。

その間も岡本君は忠実に録画をしていた。ありがとうね。


岩城も洋子さんも中村も、脇から立ったまま見つめていた。

川瀬は俺達の席に隣に座っていた。

「金沢さんは幸せそうだろう?」うんとうなずいたよ。

感慨深いよ。なんていい出会いをしたんだろうね。

本居君は本当にやさしい良い男だよ。

岩城も宮本君のことをいつも気にかけていたもんね。

柚木さんまで推薦してくれてありがとうね。今日の柚木さんはきれいだよ。

金沢さんもきれいだ。男二人が嬉しそうにしている。

宮本君は年齢差をものともせずに、よく決心してくれたなあ。

やっぱり男気があると思っていたが、その通りだったね。

この二人が運命の出会いだったなんてね。誰にもわからなかったよね。

俺のクリニックも捨てたもんじゃないだろう?とこっそり自画自賛した。

曲が終わり、BGMに変わった。二組のメッセージがそれぞれに読まれた。

これにはみんな泣かされていたよ。本人たちもね。

終わったところで夏が「院長、乾杯の音頭をお願いします」と急に俺に振ってきた。

えっ、俺か?皆が俺を見たからしょうがないか。

「ご結婚おめでとうございます。お二人の健康と幸せを願って乾杯!」

ふふふ、簡単なんだけどさ。これ以上は無理さ。

この後はウェディングケーキに入刀だ。写真タイムだよ。

他のスタッフも新郎新婦と一緒に、みんなで集まって写真を撮っていた。

無事に終わったら、それを合図に食事が始まった。

このケーキは切り分けてもらって、後で皆にお土産に渡してもらうことになっているんだ。

それとRIKOカンパニーの、赤くて丸い缶入りのクッキーは太っ腹な莉子からだよ。

これはかわいい赤の紙の手提げ袋に入っている。

もちろん莉子の絵が入っているんだよ。

おいしい食事と岩城のボーイ姿を愛でつつ、楽しく会食をしたよ。

その間はスタッフから一人一人のお祝いの言葉が続いた。

最後に桃香にも順番が来たよ。

「おめでとうございます!幸せになってください」だって。莉子が教えたのかなあ?

でも「上手に言えたよ」頭を撫で撫でした。

岩城もなんか言えよと振ったんだけど、言えないんだって。

泣きそうでさ、言えないんだって。そうかい。いいよ。

途中でカメラは夏が撮り始めた。岡本君も食べさせてあげないといけないもんね。

おなかが空いただろう。でも夏も食べてないね。俺が代わろう。

こうやって大勢の人の協力があって、温かい披露宴だったね。

レストラン側にも中村や洋子さんにも感謝だよ。岩城も本当に良かったね。

宮本君が幸せそうにしているから、少しは胸のつかえが取れただろう?

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