医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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767話 中華でランチ

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 「今の電話、夏から?どうしたの?」莉子は不思議そうに尋ねる。

「うん、銀杏を6個食べちゃったけど大丈夫かなっていう相談だった」

「ええ?どういうこと?」さらに首をかしげる。

「銀杏にはアルカロイドっていう毒性の成分が入ってて、一日に10個以上食べるとお腹を壊すんだ」

「じゃあ、夏は今頃大変じゃない?」

「大丈夫だよ。6個くらいなら何ともないさ」

「それより、莉子。今夜は一緒に寝ようよ。なんだか今日は羽根を伸ばしたいんだ。頼むよ」

「ふーん…どうしようかなあ」

「じゃあ、ベッドで待ってるね。早く来ないと寝ちゃうから」

今日こそ、解放感を味わいたかった。

ずっと仕事と看病続きで疲れ果てていたし、緊張の連続で神経が擦り切れていた。

莉子が来なくてもいい。俺はさっさとベッドに入る。

明日は朝寝坊する予定だ。思う存分寝よう。

ウトウトしかけたそのとき、莉子がやって来た。

もう、寝ようとしていたのに…もうダメだ。

狸寝入りしかない。これは不可抗力だ。

そのまま、本当に眠ってしまった。

俺は相当疲れていたんだな。


なんとなく目が覚めたら、莉子の姿はもうなかった。

何時だ?時計を見ると、もう9時を過ぎている。今日はいいんだ、まだ寝よう……。

そう思って再び眠りに落ちた。次に目を覚ましたのは昼の12時過ぎだった。

それでもまだ身体が重い。仕方ない、起きるか……。

階下に降りると、莉子と桃香がいた。

桃香が「パパーっ!」と嬉しそうに飛びついてくる。ああ~、かわいい。思わず抱きしめた。

ふと莉子を見ると、ちょっと冷たい目をして俺を見つめている。

「莉子、なんか怒ってる?」

「別に~……」

「昨日はごめん。寝落ちしちゃってさ」

「知らない。何の話ですか?」 ……あっ、完全に怒ってるな。

「お昼ご飯、外に食べに行こうか?」

桃香が「行くー!」と元気よく返事をする。

「中華料理でも食べに行こうよ。最近、中華食べてないし」

「そうねぇ、じゃあ行きましょうか。桃香も着替えるから、おいで」

そう言って、莉子は桃香を連れて4階へと上がっていった。

俺も大急ぎで着替えよう。……待てよ、途中で夏が帰ってきたら、誰もいないと困惑するな。

そこで、すぐに夏へメールを送る。

「今からみんなで中華を食べに行くから、もし帰宅途中だったら、いつもの店に来てね。中華粥なら食べられるよ」

よし!これでOKだ。

久しぶりにエリナさんのコーディネートに着替えた。

莉子も桃香も同じくエリナさんのコーディネートで、めちゃくちゃ可愛い。

「さあ、行こう」

下の駐車場で車に乗り込んで出ようとしたところに、ちょうど夏の車が入ってきた。

あれ? 一旦車を止めて、降りる。

「夏、おかえり。今から中華を食べに行くんだけど、一緒にどう?」

「ああ……俺はいいです。行ってきてください」

「そうか? じゃあ、行ってくるね」

一瞬、モヤッとしたけど、そのまま出発することにした。

まあ、こちらが好きなものを食べている横で、中華粥だけっていうのも気の毒だ。

悪いけど、行くことにした。

莉子も桃香も中華モードに入っているし、今さら変更はできない。

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