医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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768話 山本夫妻に遭遇

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 いつもの中華レストランで、おいしい中華コースを堪能した。

莉子も上機嫌だ。よかった。

ずっと夏の看病ばかりで、なかなか構ってやれなかったことが気になっていた。

食事を楽しんだあと、莉子が「画材を買いに行きたい」と言うので、付き合うことにした。

いつもの画材屋さんの駐車場に車を停め、桃香の手を繋ぎながら、入り口あたりをぶらぶらしていた。

すると、後ろから——

「あーーーっ!」

突然の大声に驚き、思わず振り返る。そこにいたのは、詩音ちゃんと山本君だった。

懐かしい! 久しぶりだ。しかも、子供を二人連れている。

「こんにちは。お元気ですか?」

少し貫禄が出た山本君が、にこやかに挨拶をしてくれる。

「うん、元気だよ。そちらも変わりなく、皆さん元気そうだね」

「もしかして、莉子も来てるんですか?」

詩音ちゃんも、ずっと莉子と会う機会がなかっただろう。

「うん、中にいるよ。会ってくるといいよ」

そう伝えると、詩音ちゃんは顔をぱっと輝かせ、「じゃあ、行ってくる!」と言いながら、山本君に二人の子供を託し、店内へと駆け込んでいった。

「莉子の絵は、その後も描いていますか?」

山本君は絵画専門の雑誌社に勤めている。そのぶん、気になるのだろう。

「うーん、日中のことはあまりわからないんだよね。あとで本人に聞いてくれる?」

「あっ、そうですよね。すみません」

「ところで、浅田は元気にしてますか?」

「ああ……それが今は病気静養中なんだよね」

「ええ?いったいどうしたんですか?」

山本君の表情が急に曇る。

「うん、イレウスなんだ。専攻医の時に一度なったことがあるんだけど、今回で二度目なんだよね」

「ああ……かわいそうですね。あれってすごくつらいらしいじゃないですか?」

さらに眉をひそめながら心配そうな山本君。

ちょうどそのとき、店内からにぎやかな声が聞こえてきた。

莉子と詩音ちゃんだ。

「お待たせ~!」

莉子の声は弾んでいて、とても楽しそうだ。

「ねえ、春ちゃん、このままどこかでお茶しようよ。まだ時間あるでしょう?」

「うん、それは大丈夫だけど……いっそのこと、うちに来てもらったら?子供が3人いるし、家で遊んだほうが気楽なんじゃない?」

「そうだね!それ、いい考えだね。そうしようよ!いいでしょう?」

莉子はノリノリだ。

しかし、山本君が少し気まずそうに言う。

「でも……詩音、浅田が今、病気療養中らしいんだよ。子供を連れていくと、うるさいんじゃないかなあ?」

「ええ?そうなの?」

詩音ちゃんは驚いて、目を丸くする。

慌てて「じゃあ、ちょっと待ってて。今、夏に聞いてみるから」と言い、少し離れて夏に電話をかける。

すると、OKだった。

「じゃあ、夏が大丈夫だって言ってるから、みんなでうちに来てよ。子供たちは桃香の部屋で遊べるから」

「いえ~い!!」莉子はノリノリだ。

山本夫妻も車で来ていたため、そのままうちへ向かうことになった。

しかし、山本君が「浅田にお見舞いの果物を買わせてください」と申し出てくれたため、途中でスーパーに寄ることに。

こちらも飲み物やおやつを買い、みんなで自宅へ戻った。

家に着くと、夏が笑顔で出迎えてくれた。

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