医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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784話 アニメ動画チェック

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 土曜日の撮影会はドタバタしたようだが、無事に終わったらしい。

夏はいろんな意味で完璧を目指す。優秀だからな。

どちらかというと、俺のほうが大雑把で面倒くさがり屋だ。

だから、俺が考えるよりも、全部任せたほうが早いし、うまくいく。

今回のクリニックの案内動画にアニメを取り入れるそうだが、具体的なことは、俺にはさっぱり分からない。

そもそもアニメには興味がないから、理解できない。

ただ、すべて任せるだけだ。

明日の水曜日には、またアニメスタッフが朝から来るらしい。

ある程度でき上がったアニメ動画のチェックや、ナレーションを入れる作業をするらしい。

それに、莉子も一緒にやるのだそうだ。ふ~ん。頑張ってね。

「明日は休診日だからさ、俺は出かけてもいいのかな?」

何をしようかなあ、と内心ワクワクしていたが、夏にじろっと睨まれてしまった。

「お兄さんも当然参加ですよ。案内動画の最終責任者は院長です。知らなかったじゃ困るでしょう?」

夏は、俺を休ませるつもりがないらしい。そうか、バレたか。

「俺が参加して何ができるんだ?」

夏が言った。「とりあえず全体を見て、最後にOKしてもらわないと出来上がらないんですよ。どこか間違っていたら、全部院長の責任になりますからね」

「はいはい、分かりました。最後のチェックをしますよ」

___俺は、夏のなすがままだな。

「それと、お兄さんのキャラクターがまだ決まっていないんですよ」――爆弾発言だ。

「はっ? 俺にまた騎士の格好でもさせるつもりか?」こっちも睨んだ。

「一人だけ騎士になっても浮きますから、それはないです。一応、莉子が描いたのがあるので、どれにするか決めてほしいんですよ。そういう細かいチェックが水曜日にあるんですよ。昼食をはさんで、丸一日かかる予定ですよ」

___小さな期待感が砕けて散った。

ああ~、また休みがなくなった‥‥‥。

__水曜日になった。

朝一で、前回のアニメ制作スタッフが3人来てくれた。

皆、パソコン片手に、資料もいっぱい持ってきた。

場所は6階の休憩室。フリードリンクで、自由に飲んでもらう。

夏は休憩室の大きなテレビをパソコンとつなぎ、モニターとして見られるようにセットしていた。

先にアニメスタッフが作った動画を見せてくれた。


動画全体の時間は、だいたい20分。

健康診断などの内容は、コース別にクリックして展開していく。

駅からクリニックまでは、早送りで徒歩の映像。全景を撮る地下の送迎バスのシーンは30秒。

バスの時刻やルートにはリンクを付けて案内する。

玄関から待合室、総合受付、会計、1階のカフェ・整形外科・リハビリセンター・外科までが約4分。

2階は、消化器内科・呼吸器内科・健康診断科・循環器内科・レントゲン室・臨床検査室で約4分。

3階は、代謝内科、消化器内科2&内視鏡内科、皮膚科(自由診療のリンク付き)、爪外来(リンク付き)で約4分。

4階は、各検査室と心療内科で約3分。

5階は、各個室5部屋に加え、スイートルーム、リビング、キッチン、シャワールームなどで約3分。

これで、最大でも20分以内。……ちょっと長いかもしれない。正直、10分でも長い気がする。

それぞれ、どうやって展開しているのかが気になる。

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