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第一章 こうして俺は少女を救い、魔王と戦うハメになった
救世主とは程遠い行動から始まる運命の日
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※
運命の日、アイシャは村長宅で婚儀の準備の真っ最中だった。
村の女性達に化粧を施され、儀礼用の民族衣装を着せられていた。
「終わったよ」
しばらくじっとしていると、声がかかる。
すっと顔を上げると、周囲の人々は優しげに笑っていた。
「綺麗だよ」
声を掛けてきたのは、村長婦人のカトリーヌだ。彼女はその皺の増えた顔にぎこちない笑顔を浮かべていた。それだけで、彼女が何を思っているか手に取るように分る。
「……ありがとう」
言外に告げられるカトリーヌの感情を無視し、彼女は内心を隠して平坦に礼を言う。
それを受けて、周囲の女性達は皆一様に俯き顔を曇らせる。
重苦しい雰囲気の中、カトリーヌがアイシャを抱きしめた。
「カトリーヌ叔母さん?」
「ごめんね、アイシャ」
戸惑うアイシャに、カトリーヌは涙混じりに告げた。
「何もしてやれなくてごめんね。アンタを魔人の嫁になんて出したくないけど、もうアタシラには何もしてやれない。無力なアタシラを許しとくれ」
その言葉には、何の嘘も感じなかった。彼女は心の底からアイシャに謝罪している。
でも、その言葉は今の彼女にとっては何の意味も無いモノだった。
「ううん。仕方ないよ。最初から、誰にもどうする事も出来ないよ」
だから、アイシャはすすり泣く老婆を宥める為に、心にも無い事を言う。
ソレを受けて、カトリーヌはどうにか彼女を解放してくれた。その泣き顔を見つめながら、彼女は冷静に考える。
こうなる事は、最初から分っていた。
どんなに足掻こうが、ただの人間が魔人に敵う筈が無い。訓練した兵士でさえ、魔人と一対一で戦えば、確実に負ける。そんなのは長い旅の中で何度も目にしてきた。
だから、誰にもどうする事も出来なかったのだ。
たとえソレが、異なる世界からやってきた人間であろうとも。
『お前、俺がここに来てああなるって、知ってたんじゃないのか?』
そんな事を考えたら、不意にあの少年に言われた事を思い出す。まさか気付くとは思っていなかった。
彼が言うとおり、彼女は知っていた。
彼女は時折、前触れもなく不思議な夢を見る。ソレは現実そのものであり、これから起こる未来の出来事だった。
その未来は決まって自分達や関わった人に降りかかる悪い出来事であり、夢の中で暴漢や野盗、魔獣などに襲われて命を落とす夢や、誰かが目の前で殺されたり、家を焼かれたりするような凄惨な未来ばかりだった。
物心ついた頃にあった力は、長い旅暮らしで苦しい思いをしてきた彼女と母の命を何度も助けてくれた。ただ、その度に彼女は恐怖に怯え、逃げ惑う日々を送っていた。
過去に不吉な未来を夢に見た時は、いずれもその地を離れる事でしか回避する事は出来ず、母以外の関わった人々は悉く夢の通りに死んでいった。ここ数年はなりを潜めていたが、二年前には母を予知夢通り失い、共に暮らす老狩人までも数日前に失ってしまった。
そして今回、見た事も無い少年の死を予見したのである。
誰かは分らなかったが、彼女が日課の礼拝をしていた時に、彼は姿を現した。
そこから先は全く彼に言われた通りだ。彼女は知り合った少年の死を回避しようと必死で行動した。が、それは悉く失敗してしまった。もうこれ以上、誰かが夢の通りに死んでいくのを見るのは、どうしようもなく辛かったから。
どうしようも無いのなら、自分が変わりに死ぬしかない。
そんな考えに至る程、彼女は壊れていた。そして、最初から彼女に願いなど無かった。ただ、苦しい事をやり過ごし、目の前の事から逃れる以外に目的も無かった。
それはさておき、今回は奇跡的に少年の死は回避された。彼女は心の底から安堵し、今度こそ自分の手ですべてを終わらせようと決めた。まだ誰も、母以外は誰も知らない手段が、彼女にはある。命と引き換えに、あの魔人を葬る。
同時に、苦しいばかりの生を終わらせるつもりだった。
だというのに、あの少年は再び魔人に挑むという。それも自分自身が納得する為に。
『もし今逃げたら、俺は俺じゃなくなる』
全く理解出来なかった。
彼は自分自身が死ぬことよりも、己が納得する結末を得る為に戦う気なのだ。
それがどれだけ無謀で愚かな事か、彼は分っているのだろうか?
同年代ぐらいの異性は殆ど知らないから分らないが、彼は変わっているんだろう。
(全然分らないよ、馬鹿)
内心で文句を言い、彼女は静かに村長宅を出た。
外では既にアルベール村長が、馬の手綱を握った待っていた。
彼に手を借りて馬の鞍に上がると、村長は静かに手綱を引いて馬を先導する。
「ちょっと待ったァァァァァァ~!!」
そこに、やけに威勢の良い声が響く。顔を上げると、予想通り黒髪黒瞳の少年が立っていた。黒い鎧に円型の盾を身に着けた彼は、腰から先の丸まった剣を抜く。
「その子は、俺が貰ってく。おとなしく渡しな!」
驚く間もなく、少年は村長を殴り倒して馬に飛び乗ってきた。
「蝙蝠野郎に伝えろ! コイツを返して欲しかったら、神殿まで来いってな!」
手綱を操り、アイシャを乗せたまま馬は神殿への道を駆け出した。
※
「あのガキが小娘を攫っていっただと!?」
村人からの報告された魔人は激怒し、事実を告げた村人を殴り飛ばした。苛立ちを隠そうともせず鋭く目を尖らせ、周囲を囲む村人達を睨みつける。
「あのクソガキ、やっぱり生きてやがったか。テメェら、かくまってやがったな!」
「そんな! 滅相もない」
「何処に隠れてたのかも知りませんでした」
血走った目で睨みつけられ、村人達は口々に反論する。彼らの顔に浮かんでいるのは、怒り狂う魔人への恐怖しかなく、本当か嘘かは分らない。
その怯えた態度に、内心舌打ちする。これだから劣等種は。
「小僧は神殿で待つと……」
「この俺に、ガキ一匹始末する為だけに山を登れってのか?」
「ですが、小僧は何処から持ってきたか分らぬ武器を持っていて。私達にはどうする事も……」
「けっ! 腰抜けの役立たずどもが!」
震える村人達に苛立ち恫喝し、外に繋いであった馬を奪って神殿へと向かった。
森と続く草原を駆け抜け、彼は神殿のある山の上へと瞬く間に駆け抜ける。そこから更に進み、獣道ばかりの森へと入っていく。
畦道を無理矢理走っていると、突如周囲を白い煙が覆った。
「何だ?」
慌てて馬を止まらせる。明らかに自然ではなく、意図的に起こしたものだと分る。
「くそッ!」
苛立ちと同時に周囲を警戒していると、今度はパシュンと空気を切る音が響く。
同時に馬が狂ったように嘶き猛烈に走り出した。
「なんだ? どうした! くそ、止まれ!」
手綱を握って馬を宥めようとするが、まるで言う事を聞かない。
暴走をする馬は、前足を天高く上げたり後ろ足を振り上げたりしながら、魔人を振り落とそうとする。懸命に彼がしがみつくが、やがて木の根に足を取られ、馬もろとも地面に投げ出された。
「ぐぁ!」
どうにか受身を取り痛みに耐えて立ち上がると、馬は打ち所が悪く息絶えていた。
「クソ! 舐めやがって」
彼が更なる怒りに燃え歩き出すと、右足に何かが噛み付いた。
「ぐっ! 今度はなんだ?」
見ると、彼の足に茂みの中に隠されていた鉄製の蟹挟みが深々と突き刺さっていた。
「ふざけた真似を!」
力を発揮して、すぐさま罠を粉々に砕く。と同時に、背後から鋭い風切り音が聞こえてきた。
反射的に身をかわすと、左肩を鋭い矢が抉っていった。
「がぁぁ!」
傷を負った肩を抑える。抉られた傷口を能力ですぐに塞いで再生し、彼は矢が飛来した方角に腕を振るった。すると、攻撃した茂みの奥で木製の弓の残骸が弾けた。
「己、あのクソガキ! 貴族種たるこの俺をコケにしやがって!」
彼の目は怒りに血走っていた。全身から血が沸騰しそうなくらいに高まり、自身の周囲に真赤なオーラが纏われる。
「良いだろう! 八つ裂きじゃ生温いぐらいバラバラにして、チリ一つ残さず殺してやるよ!!」
彼はオーラを纏い、神殿への道を猛然と駆け出した。
※
「どういうつもり?」
異世界で初めて落下した神殿内。崩れかけた柱の台座に腰掛けて最終確認をしていた俺に、それはそれは冷淡な声がかかった。顔を上げると、別の柱の台座に座るアイシャの鋭い視線とぶつかった。
煌びやかな民族衣装らしき服に身を包み、化粧を施された少女の姿は思わず見惚れてしまう程だったが、睨まれると恐ろしい事この上無い。彼女は今までに無いレベルでお怒りだった。
それも当然の話だ。
何しろ俺は彼女を誘拐してきたのだから。
何故こんな無茶をしたかと言えば、全ては蝙蝠野郎に勝つ為の作戦だった。
奴と有利な状況で戦う為に、俺は彼女を餌に奴を誘き出す事にしたのだ。他人を巻き込まずに戦う為には、アイツ一人を誘き出す必要があった。
それ以外にも、ある目的の為に地下室で見付けた大量の仕掛け罠をここに通じる道にを仕掛けてきた。
とは言え、誘拐されて何も思わない人間はいない。完全にアイシャを怒らせてしまった。
救い主とか言われて祭り上げられた人間のする事じゃないのは確実だ。
「なんだ?」
だから、少しでも場を和ませるべくあっけらかんと尋ね返した。
「ふざけないで!」
が、場は和むどころか余計相手を怒らせる結果にしかならなかった。
「どうしてこんな事を? まさかまだ本気で魔人と戦うつもりなの?」
「やるよ。前に言ったじゃねぇか。何を今更驚いてんだ?」
鋭く睨むアイシャの質問に軽い調子で答え、俺は手元の剣を鞘に収める。
「驚いてるんじゃなくて、呆れてるだけ」
そういうアイシャの顔には呆れなど微塵も無く、怒りだけだった。さっきも言ったが、こんなに不機嫌そうな顔は初めて見る。顔が整っているだけに凄い迫力だ。
「怖い顔すんなっての。仕方無かったんだよ。コレしか方法が無かったんだ」
肩を竦めてアイシャに笑いかける。が、彼女は一層顔を顰めて睨んできた。
ったく。可愛い顔の癖に可愛くないな。まぁ、怒らせたの俺だけどさ。
「アイツをおびき出す為に、ちょっと強引に着いてきてもらっただけなんだが」
「信じられない。何処がちょっとなの? 無理矢理連れて来た癖に」
「いや、そんなに怒らんでも」
尚も怒るアイシャを宥めようとするが、今度はそっぽを向けられてしまった。
滅茶苦茶やったのは確かだから、何も言い返しようも無い。俺も自分がここまでやらかす人間とはつい数日前まで思ってなかったし。人として相当問題ある気がする。
まぁ、こうしたのは化け物から彼女を匿う為でもあるが、余計怒りそうだから言わないでおく。
「どうしてここまでするの?」
と、俺が自分の人間性について考察していると、俯いたままのアイシャが消えそうな声で尋ねてきた。
「何度も言うけど、戦ったら今度こそ殺されてしまうのに」
「何度も言うが、何で負け確定なんだよ」
聞き捨てならない物言いにカチンと来て、即座に言い返す。
「負けたまま逃げたんじゃ、生きてても意味無いって言ったじゃねぇか」
「それでも無謀過ぎる。相手は、狼やスライムとは比べ物にならない化け物なんだから。貴方だって分ってる筈でしょ」
そこで一度言葉を切り、アイシャは眉を潜めて俺を嘗め回すように視線を滑らせる。
「大体、そんな剣や防具、何処から調達してきたのよ?」
「ああ。悪いけど、ソレは勝った後にしてもらうぜ」
都合の悪い事を尋ねられ、俺は早口で誤魔化した。
今身につけている武器と防具は、例の地下室で見付けたモノだ。
剣は片手で扱える重さのサーベルで、埃を被ってた割に刃こぼれ一つ無く、切れ味も抜群。
鎧と盾も動揺で、身につけている事も忘れてしまうぐらい軽くて快適なのに、あの錆びた長剣で殴りつけても傷一つつかないときた。
あの場所で見付けた、俺を勝利に導く最強のアイテムの一つ。それ以外にも、森に仕掛けた大量の罠やら多種多様なアイテムの数々があの地下室にはあった。
ただ、さすがに床板剥して地下室発見したとか、勝手に居座ってた癖に言い辛い事この上無い。ついでに、確実に怒られそうな事も仕出かしてたりもしているのだ。
せめて勝って彼女を自由にしてからじゃないと、口が裂けても言えない事があり過ぎる。今言ったら間違いなく、更に怒らせるだろう。
……終わったらマジで謝ろう。
「それはともかくだ。今回は準備も万全だし、修行もした。ぜってぇ勝つ!」
俺は力強く言う。そこには恐れも不安も欠片も無かった。
やると決めた事は何が何でもやり通り。我ながら肝が据わったなと思ったが、帰れないし逃げられないし、やるしかない。というか寧ろ、このまま帰れても一生後悔するから、アイツに勝つまでは帰らねぇぞ!
ついでに、俺は証明したいと思っている。出来ないと最初から言い続け、何もかもを諦めて否定するこの少女に、俺があの人から命がけで教えてもらった事を。何でそう思うのかは、自分でもよく分らなかったが。
「……やっぱり、全然分らない」
だというのに、彼女の言葉は相変わらず否定的だった。理解しづらいとは散々言われているが、彼女の場合は最初から理解するのさえ諦めているようにも思えてしまう。
「そりゃ、お互い様だろ」
俯くアイシャに俺は思ったまま言い返した。
「お前こそ、どうしたいのか全然わかんねぇよ」
「だから、大人しく魔人のところに行くって」
「なら、お前は心から魔人の花嫁になりたいと思ってるのか?」
「それはッ……」
俺が問い返すと、アイシャはぐっと言葉を詰まらせる。
「それは、なんだよ?」
「そんなのジローには関係ない」
「ああ、そうかい……」
肩を竦め、少し離れた柱の土台に腰を下ろす。
「でもさ。お前は自分の為に戦うなって言ったけど、最初からお前の為になんて戦えるわけ無いんだよ。お前がどうしたいのかもわからねぇのに、どうやってお前の為に戦えるんだよ?」
俺は村人に担がれて、”結果的にアイシャの為に”戦った。
でも、ソレは彼女が望んでいない事だった。相手が望んでない事を勝手にやっても、ソイツの為とは言わない。そんなのただの独り善がり、単なる自己満足だ。
「……そんなの、分るわけ無い」
とか思っていたら、アイシャが不意に消えそうな声で呟く。彼女は相変わらずそっぽを向いたままだったが、その声音はさっきよりも更に更に冷淡で背筋が凍りそうだ。
「私にはどうする事も出来ないのに、どうしたいとか言ってどうなるの? 叶わない願い事なんて、願ったって何の意味も無い。そんなの辛いだけじゃない」
「いや……まぁ、言いたい事は分らなくも無いんだけどさ……」
そんな冷たい声で言われると反論し辛いのだが、俺は言わずにはいれなかった。
「でも俺達子供だぜ? 少しぐらい主張しても罰なんて当たんねぇよ。最初から諦めるのはおかしいだろ」
「結局叶わないんだから、そんなの無い方が良い」
「俺はそんなの御免だ。叶わないからって最初から諦めてちゃ何も叶わねぇだろ! やりたい事があるなら、まず思い切り願うしか無い! 全てはそこからだ」
「……それでも無理だよ」
俺達はそれぞれ思った事を真っ向からぶつけ合う。
異様に疲れ果てた女の子相手ではあるんだが、ここだけは絶対に譲れない。
にしても、こうも意見が対照的じゃ、分かり合えるわけも無い。
とは言え、自分の考えをこうも真っ向から否定されるとは思わなかった。
なんだかこのままじゃ悔しいな。
「よ~し。そこまで言うなら……」
だから、自然とそんな言葉が口をついた。
「証明してやるよ! 願い続ければ、夢は叶うって。全力でやりゃ、不可能なんて無いんだってことをな!」
「……ッ」
などとやりとりしている間に、生温い風が頬を撫でる。同時に、視界を赤く透けたオーラが流れていくのが見えた。
「どうやら、お出ましみたいだな」
呟き、俺は神殿の出口へと歩み寄る。
「ジロー!」
「そんじゃ行って来るわ。きっちり勝って証明する。だから、今度こそ自由になれるって信じて待っててくれよ」
最後にそう言い残し、俺は剣と盾を準備して外へ出た。
ここからは、他人を気にしてる余裕は無い。アイシャが言う通りにしてくれる事を祈るしかない。
風は次第に勢いを増し、やがて突風に変わる。風に煽られて飛んでくる小石や土埃を盾で防ぎつつ、近付いてくる気配を待ち受けた。
「見つけたぞ、クソガキィィ!」
一際強い風を従えて、真赤に光る蝙蝠野郎が白煙が充満する広場に飛び込んできた。途端、風は止んだが、今度は痛いくらいの殺気が俺の全身という全身を刺してくる。
「よぉ。待ってたぜ、蝙蝠野郎」
運命の日、アイシャは村長宅で婚儀の準備の真っ最中だった。
村の女性達に化粧を施され、儀礼用の民族衣装を着せられていた。
「終わったよ」
しばらくじっとしていると、声がかかる。
すっと顔を上げると、周囲の人々は優しげに笑っていた。
「綺麗だよ」
声を掛けてきたのは、村長婦人のカトリーヌだ。彼女はその皺の増えた顔にぎこちない笑顔を浮かべていた。それだけで、彼女が何を思っているか手に取るように分る。
「……ありがとう」
言外に告げられるカトリーヌの感情を無視し、彼女は内心を隠して平坦に礼を言う。
それを受けて、周囲の女性達は皆一様に俯き顔を曇らせる。
重苦しい雰囲気の中、カトリーヌがアイシャを抱きしめた。
「カトリーヌ叔母さん?」
「ごめんね、アイシャ」
戸惑うアイシャに、カトリーヌは涙混じりに告げた。
「何もしてやれなくてごめんね。アンタを魔人の嫁になんて出したくないけど、もうアタシラには何もしてやれない。無力なアタシラを許しとくれ」
その言葉には、何の嘘も感じなかった。彼女は心の底からアイシャに謝罪している。
でも、その言葉は今の彼女にとっては何の意味も無いモノだった。
「ううん。仕方ないよ。最初から、誰にもどうする事も出来ないよ」
だから、アイシャはすすり泣く老婆を宥める為に、心にも無い事を言う。
ソレを受けて、カトリーヌはどうにか彼女を解放してくれた。その泣き顔を見つめながら、彼女は冷静に考える。
こうなる事は、最初から分っていた。
どんなに足掻こうが、ただの人間が魔人に敵う筈が無い。訓練した兵士でさえ、魔人と一対一で戦えば、確実に負ける。そんなのは長い旅の中で何度も目にしてきた。
だから、誰にもどうする事も出来なかったのだ。
たとえソレが、異なる世界からやってきた人間であろうとも。
『お前、俺がここに来てああなるって、知ってたんじゃないのか?』
そんな事を考えたら、不意にあの少年に言われた事を思い出す。まさか気付くとは思っていなかった。
彼が言うとおり、彼女は知っていた。
彼女は時折、前触れもなく不思議な夢を見る。ソレは現実そのものであり、これから起こる未来の出来事だった。
その未来は決まって自分達や関わった人に降りかかる悪い出来事であり、夢の中で暴漢や野盗、魔獣などに襲われて命を落とす夢や、誰かが目の前で殺されたり、家を焼かれたりするような凄惨な未来ばかりだった。
物心ついた頃にあった力は、長い旅暮らしで苦しい思いをしてきた彼女と母の命を何度も助けてくれた。ただ、その度に彼女は恐怖に怯え、逃げ惑う日々を送っていた。
過去に不吉な未来を夢に見た時は、いずれもその地を離れる事でしか回避する事は出来ず、母以外の関わった人々は悉く夢の通りに死んでいった。ここ数年はなりを潜めていたが、二年前には母を予知夢通り失い、共に暮らす老狩人までも数日前に失ってしまった。
そして今回、見た事も無い少年の死を予見したのである。
誰かは分らなかったが、彼女が日課の礼拝をしていた時に、彼は姿を現した。
そこから先は全く彼に言われた通りだ。彼女は知り合った少年の死を回避しようと必死で行動した。が、それは悉く失敗してしまった。もうこれ以上、誰かが夢の通りに死んでいくのを見るのは、どうしようもなく辛かったから。
どうしようも無いのなら、自分が変わりに死ぬしかない。
そんな考えに至る程、彼女は壊れていた。そして、最初から彼女に願いなど無かった。ただ、苦しい事をやり過ごし、目の前の事から逃れる以外に目的も無かった。
それはさておき、今回は奇跡的に少年の死は回避された。彼女は心の底から安堵し、今度こそ自分の手ですべてを終わらせようと決めた。まだ誰も、母以外は誰も知らない手段が、彼女にはある。命と引き換えに、あの魔人を葬る。
同時に、苦しいばかりの生を終わらせるつもりだった。
だというのに、あの少年は再び魔人に挑むという。それも自分自身が納得する為に。
『もし今逃げたら、俺は俺じゃなくなる』
全く理解出来なかった。
彼は自分自身が死ぬことよりも、己が納得する結末を得る為に戦う気なのだ。
それがどれだけ無謀で愚かな事か、彼は分っているのだろうか?
同年代ぐらいの異性は殆ど知らないから分らないが、彼は変わっているんだろう。
(全然分らないよ、馬鹿)
内心で文句を言い、彼女は静かに村長宅を出た。
外では既にアルベール村長が、馬の手綱を握った待っていた。
彼に手を借りて馬の鞍に上がると、村長は静かに手綱を引いて馬を先導する。
「ちょっと待ったァァァァァァ~!!」
そこに、やけに威勢の良い声が響く。顔を上げると、予想通り黒髪黒瞳の少年が立っていた。黒い鎧に円型の盾を身に着けた彼は、腰から先の丸まった剣を抜く。
「その子は、俺が貰ってく。おとなしく渡しな!」
驚く間もなく、少年は村長を殴り倒して馬に飛び乗ってきた。
「蝙蝠野郎に伝えろ! コイツを返して欲しかったら、神殿まで来いってな!」
手綱を操り、アイシャを乗せたまま馬は神殿への道を駆け出した。
※
「あのガキが小娘を攫っていっただと!?」
村人からの報告された魔人は激怒し、事実を告げた村人を殴り飛ばした。苛立ちを隠そうともせず鋭く目を尖らせ、周囲を囲む村人達を睨みつける。
「あのクソガキ、やっぱり生きてやがったか。テメェら、かくまってやがったな!」
「そんな! 滅相もない」
「何処に隠れてたのかも知りませんでした」
血走った目で睨みつけられ、村人達は口々に反論する。彼らの顔に浮かんでいるのは、怒り狂う魔人への恐怖しかなく、本当か嘘かは分らない。
その怯えた態度に、内心舌打ちする。これだから劣等種は。
「小僧は神殿で待つと……」
「この俺に、ガキ一匹始末する為だけに山を登れってのか?」
「ですが、小僧は何処から持ってきたか分らぬ武器を持っていて。私達にはどうする事も……」
「けっ! 腰抜けの役立たずどもが!」
震える村人達に苛立ち恫喝し、外に繋いであった馬を奪って神殿へと向かった。
森と続く草原を駆け抜け、彼は神殿のある山の上へと瞬く間に駆け抜ける。そこから更に進み、獣道ばかりの森へと入っていく。
畦道を無理矢理走っていると、突如周囲を白い煙が覆った。
「何だ?」
慌てて馬を止まらせる。明らかに自然ではなく、意図的に起こしたものだと分る。
「くそッ!」
苛立ちと同時に周囲を警戒していると、今度はパシュンと空気を切る音が響く。
同時に馬が狂ったように嘶き猛烈に走り出した。
「なんだ? どうした! くそ、止まれ!」
手綱を握って馬を宥めようとするが、まるで言う事を聞かない。
暴走をする馬は、前足を天高く上げたり後ろ足を振り上げたりしながら、魔人を振り落とそうとする。懸命に彼がしがみつくが、やがて木の根に足を取られ、馬もろとも地面に投げ出された。
「ぐぁ!」
どうにか受身を取り痛みに耐えて立ち上がると、馬は打ち所が悪く息絶えていた。
「クソ! 舐めやがって」
彼が更なる怒りに燃え歩き出すと、右足に何かが噛み付いた。
「ぐっ! 今度はなんだ?」
見ると、彼の足に茂みの中に隠されていた鉄製の蟹挟みが深々と突き刺さっていた。
「ふざけた真似を!」
力を発揮して、すぐさま罠を粉々に砕く。と同時に、背後から鋭い風切り音が聞こえてきた。
反射的に身をかわすと、左肩を鋭い矢が抉っていった。
「がぁぁ!」
傷を負った肩を抑える。抉られた傷口を能力ですぐに塞いで再生し、彼は矢が飛来した方角に腕を振るった。すると、攻撃した茂みの奥で木製の弓の残骸が弾けた。
「己、あのクソガキ! 貴族種たるこの俺をコケにしやがって!」
彼の目は怒りに血走っていた。全身から血が沸騰しそうなくらいに高まり、自身の周囲に真赤なオーラが纏われる。
「良いだろう! 八つ裂きじゃ生温いぐらいバラバラにして、チリ一つ残さず殺してやるよ!!」
彼はオーラを纏い、神殿への道を猛然と駆け出した。
※
「どういうつもり?」
異世界で初めて落下した神殿内。崩れかけた柱の台座に腰掛けて最終確認をしていた俺に、それはそれは冷淡な声がかかった。顔を上げると、別の柱の台座に座るアイシャの鋭い視線とぶつかった。
煌びやかな民族衣装らしき服に身を包み、化粧を施された少女の姿は思わず見惚れてしまう程だったが、睨まれると恐ろしい事この上無い。彼女は今までに無いレベルでお怒りだった。
それも当然の話だ。
何しろ俺は彼女を誘拐してきたのだから。
何故こんな無茶をしたかと言えば、全ては蝙蝠野郎に勝つ為の作戦だった。
奴と有利な状況で戦う為に、俺は彼女を餌に奴を誘き出す事にしたのだ。他人を巻き込まずに戦う為には、アイツ一人を誘き出す必要があった。
それ以外にも、ある目的の為に地下室で見付けた大量の仕掛け罠をここに通じる道にを仕掛けてきた。
とは言え、誘拐されて何も思わない人間はいない。完全にアイシャを怒らせてしまった。
救い主とか言われて祭り上げられた人間のする事じゃないのは確実だ。
「なんだ?」
だから、少しでも場を和ませるべくあっけらかんと尋ね返した。
「ふざけないで!」
が、場は和むどころか余計相手を怒らせる結果にしかならなかった。
「どうしてこんな事を? まさかまだ本気で魔人と戦うつもりなの?」
「やるよ。前に言ったじゃねぇか。何を今更驚いてんだ?」
鋭く睨むアイシャの質問に軽い調子で答え、俺は手元の剣を鞘に収める。
「驚いてるんじゃなくて、呆れてるだけ」
そういうアイシャの顔には呆れなど微塵も無く、怒りだけだった。さっきも言ったが、こんなに不機嫌そうな顔は初めて見る。顔が整っているだけに凄い迫力だ。
「怖い顔すんなっての。仕方無かったんだよ。コレしか方法が無かったんだ」
肩を竦めてアイシャに笑いかける。が、彼女は一層顔を顰めて睨んできた。
ったく。可愛い顔の癖に可愛くないな。まぁ、怒らせたの俺だけどさ。
「アイツをおびき出す為に、ちょっと強引に着いてきてもらっただけなんだが」
「信じられない。何処がちょっとなの? 無理矢理連れて来た癖に」
「いや、そんなに怒らんでも」
尚も怒るアイシャを宥めようとするが、今度はそっぽを向けられてしまった。
滅茶苦茶やったのは確かだから、何も言い返しようも無い。俺も自分がここまでやらかす人間とはつい数日前まで思ってなかったし。人として相当問題ある気がする。
まぁ、こうしたのは化け物から彼女を匿う為でもあるが、余計怒りそうだから言わないでおく。
「どうしてここまでするの?」
と、俺が自分の人間性について考察していると、俯いたままのアイシャが消えそうな声で尋ねてきた。
「何度も言うけど、戦ったら今度こそ殺されてしまうのに」
「何度も言うが、何で負け確定なんだよ」
聞き捨てならない物言いにカチンと来て、即座に言い返す。
「負けたまま逃げたんじゃ、生きてても意味無いって言ったじゃねぇか」
「それでも無謀過ぎる。相手は、狼やスライムとは比べ物にならない化け物なんだから。貴方だって分ってる筈でしょ」
そこで一度言葉を切り、アイシャは眉を潜めて俺を嘗め回すように視線を滑らせる。
「大体、そんな剣や防具、何処から調達してきたのよ?」
「ああ。悪いけど、ソレは勝った後にしてもらうぜ」
都合の悪い事を尋ねられ、俺は早口で誤魔化した。
今身につけている武器と防具は、例の地下室で見付けたモノだ。
剣は片手で扱える重さのサーベルで、埃を被ってた割に刃こぼれ一つ無く、切れ味も抜群。
鎧と盾も動揺で、身につけている事も忘れてしまうぐらい軽くて快適なのに、あの錆びた長剣で殴りつけても傷一つつかないときた。
あの場所で見付けた、俺を勝利に導く最強のアイテムの一つ。それ以外にも、森に仕掛けた大量の罠やら多種多様なアイテムの数々があの地下室にはあった。
ただ、さすがに床板剥して地下室発見したとか、勝手に居座ってた癖に言い辛い事この上無い。ついでに、確実に怒られそうな事も仕出かしてたりもしているのだ。
せめて勝って彼女を自由にしてからじゃないと、口が裂けても言えない事があり過ぎる。今言ったら間違いなく、更に怒らせるだろう。
……終わったらマジで謝ろう。
「それはともかくだ。今回は準備も万全だし、修行もした。ぜってぇ勝つ!」
俺は力強く言う。そこには恐れも不安も欠片も無かった。
やると決めた事は何が何でもやり通り。我ながら肝が据わったなと思ったが、帰れないし逃げられないし、やるしかない。というか寧ろ、このまま帰れても一生後悔するから、アイツに勝つまでは帰らねぇぞ!
ついでに、俺は証明したいと思っている。出来ないと最初から言い続け、何もかもを諦めて否定するこの少女に、俺があの人から命がけで教えてもらった事を。何でそう思うのかは、自分でもよく分らなかったが。
「……やっぱり、全然分らない」
だというのに、彼女の言葉は相変わらず否定的だった。理解しづらいとは散々言われているが、彼女の場合は最初から理解するのさえ諦めているようにも思えてしまう。
「そりゃ、お互い様だろ」
俯くアイシャに俺は思ったまま言い返した。
「お前こそ、どうしたいのか全然わかんねぇよ」
「だから、大人しく魔人のところに行くって」
「なら、お前は心から魔人の花嫁になりたいと思ってるのか?」
「それはッ……」
俺が問い返すと、アイシャはぐっと言葉を詰まらせる。
「それは、なんだよ?」
「そんなのジローには関係ない」
「ああ、そうかい……」
肩を竦め、少し離れた柱の土台に腰を下ろす。
「でもさ。お前は自分の為に戦うなって言ったけど、最初からお前の為になんて戦えるわけ無いんだよ。お前がどうしたいのかもわからねぇのに、どうやってお前の為に戦えるんだよ?」
俺は村人に担がれて、”結果的にアイシャの為に”戦った。
でも、ソレは彼女が望んでいない事だった。相手が望んでない事を勝手にやっても、ソイツの為とは言わない。そんなのただの独り善がり、単なる自己満足だ。
「……そんなの、分るわけ無い」
とか思っていたら、アイシャが不意に消えそうな声で呟く。彼女は相変わらずそっぽを向いたままだったが、その声音はさっきよりも更に更に冷淡で背筋が凍りそうだ。
「私にはどうする事も出来ないのに、どうしたいとか言ってどうなるの? 叶わない願い事なんて、願ったって何の意味も無い。そんなの辛いだけじゃない」
「いや……まぁ、言いたい事は分らなくも無いんだけどさ……」
そんな冷たい声で言われると反論し辛いのだが、俺は言わずにはいれなかった。
「でも俺達子供だぜ? 少しぐらい主張しても罰なんて当たんねぇよ。最初から諦めるのはおかしいだろ」
「結局叶わないんだから、そんなの無い方が良い」
「俺はそんなの御免だ。叶わないからって最初から諦めてちゃ何も叶わねぇだろ! やりたい事があるなら、まず思い切り願うしか無い! 全てはそこからだ」
「……それでも無理だよ」
俺達はそれぞれ思った事を真っ向からぶつけ合う。
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にしても、こうも意見が対照的じゃ、分かり合えるわけも無い。
とは言え、自分の考えをこうも真っ向から否定されるとは思わなかった。
なんだかこのままじゃ悔しいな。
「よ~し。そこまで言うなら……」
だから、自然とそんな言葉が口をついた。
「証明してやるよ! 願い続ければ、夢は叶うって。全力でやりゃ、不可能なんて無いんだってことをな!」
「……ッ」
などとやりとりしている間に、生温い風が頬を撫でる。同時に、視界を赤く透けたオーラが流れていくのが見えた。
「どうやら、お出ましみたいだな」
呟き、俺は神殿の出口へと歩み寄る。
「ジロー!」
「そんじゃ行って来るわ。きっちり勝って証明する。だから、今度こそ自由になれるって信じて待っててくれよ」
最後にそう言い残し、俺は剣と盾を準備して外へ出た。
ここからは、他人を気にしてる余裕は無い。アイシャが言う通りにしてくれる事を祈るしかない。
風は次第に勢いを増し、やがて突風に変わる。風に煽られて飛んでくる小石や土埃を盾で防ぎつつ、近付いてくる気配を待ち受けた。
「見つけたぞ、クソガキィィ!」
一際強い風を従えて、真赤に光る蝙蝠野郎が白煙が充満する広場に飛び込んできた。途端、風は止んだが、今度は痛いくらいの殺気が俺の全身という全身を刺してくる。
「よぉ。待ってたぜ、蝙蝠野郎」
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