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第一章 こうして俺は少女を救い、魔王と戦うハメになった
そして、唐突に始まる不思議な出来事
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「ふぅ~」
勉強が一段落して、俺は深い溜息を吐く。
あの後、少年を送り届け急いで帰宅した時には、相当の時間が経っていた。大分遅くなってしまったが、親に少年の事を話すと特に咎められずに済んだ。
そして今、夕食後の勉強で試験の復習が丁度終わったところだ。
俺はそのままベットへ歩み寄り、仰向けに倒れこむ。大の字に手を広げると、見慣れた天井の木目を何とはなしに眺めた。そうしていると、全身から急速に力が抜ける。
また駄目だった。通過点である学年一位にもなれなかった。
「はぁ~」
もう一度、深々と溜息が漏れる。
今日で何度目か分らないが、結果が出せなかった日は溜息の回数も自然増えたし、気分も落ち込む。こんな事をしている暇に何かやった方が良いのだが、今は何もやる気が起こらなかった。
「……ちくしょう」
思わずそんな声が漏れて出た。
こうして世界一を目指し始めてからというもの、俺はこつこつと目の前の小さな目標から積み上げてきた。それですぐ結果が出なくても、今度こそはと何度でも挑戦し続けてきた。それこそ勉強だけじゃなく、運動も、雑学やらボランティアやら出来る事は何もかも試し、ただひたすら努力を続けてきた。
だから、上手くいかなければ凹みもする。自分で言うのもなんだが、相当の時間を費やしているからこそ、結果が出せなかった時の悔しさ、精神的にダメージは相当だ。
『お前は上昇志向型のスーパー器用貧乏だよな』
いつか慶太郎に言われた事場。
ソレは言い得て妙で、まさしく今の俺を形容していた。幼い頃からの努力の結果、勉強でも運動でも、大抵の事はそれ程苦も無くやってのけられるようになっていた。
でも、その程度じゃ世界一になるなんて不可能だ。絶対的な一位になるには、器用貧乏ではなく器用でなければならないと思っている。
その事がたまらなく恨めしくて、腹立たしかった。
「ちくしょう!」
今度は強く、怒りと共に悔しさが漏れて出る。同時にベットへ拳を叩き付ける。
すると、手の先に何かが触れた。
なんだ?と首をめぐらすと、そこには一冊の文庫本があった。
「あッ!」
いけねッ!
慌てて手を伸ばし、文庫本を手に取って状態を確認する。幸い本には特に異常は無く、綺麗なままだった。
「良かった」
胸を撫で下ろし、俺は本を天井に向けて掲げる。
それはアニメ調のカラーイラスト表紙の文庫本だった。薄く笑う筋肉質な巨漢の黒髪青年と赤い短髪の不機嫌そうな女性警官が背中を合わせで立った画が描かれている。
そういえば、昨日の夜は試験結果が振るわなかった傷心を癒すべく、寝る前に読んでいたんだった。どうやらそのまま眠ってしまったらしく、ベットの上に置き去りだったのだ。こんな大事なものなのに、自分はなんて事をしてしまったのか。
その本は、主に十代の中高生などを対象とした、漫画と小説の中間的―かなり漫画に寄ってるが―小説。
特にこうしたモノを愛好してはいない自分の本棚に、唯一納まっている文庫本だ。
「また、駄目だったよ」
ここには既にいない誰か、俺にとっては家族と同じぐらいに大事な、二度と会えない恩人に呟く。
その人なら、今の俺を見て何と言うだろうか。
「いや、分りきってるな」
ほんの僅かな時間を共に過ごしただけだったが、あの人が言う事は決まっている。
「やりたい事があるなら、才能の有無関係ない。やりたいならやらないなんて嘘か。たとえ命を賭けてでも、手に入れたいモノがあるならやるべきだ」
言われた事は大体こんなモノだ。
「夢叶えるのって……大変だよ。ホント」
誰にも届かない言葉が自然と口をついて出た。
「叶うまでやれとか、俺そんなに強くなれるのかな?」
あの人のように俺もなれればと思っていたが、自分の事は俺が一番よく知っている。
俺は何処にでもいる普通の人間で、卑屈だったり悔しがるのだけは一丁前でも、自分の為にただ只管努力だけし続けられるような強さは持ち合わせてはいない。
結果が出るか分らないのに、叶うまで動力を続けるなんて普通じゃ出来ない。
いつまで続けば、成りたい自分になれるんだろう?
もしかしたら、一生そんなの無理なんじゃないか?
あるかどうかも分らない可能性に縋るのは、本当にきつい。
「……誰か、俺の夢を叶えてくれないかね~……」
と、弱気になってつい心にも無い事を呟く。
「って、そんな事出来るわけ無いだろうが」
自分の馬鹿な呟きにすぐツッコミを入れる。夢は自分で叶えるべきものだ。あの人も言ってたいたし、俺もそう思う。
「弱気になって諦めそうになるとか、らしくねぇ事してる場合じゃねぇだろうが」
わざと自分の嫌いな『諦める』という単語を入れて己を鼓舞する。この手の単語は俺にとって地雷だが、自分自身に活を入れるにはこれぐらいで丁度良いだろう。
世界一になるまで、それこそ死ぬまでやってやるってあの人の前で約束した筈だ。例えこの先死にそうになっても、俺は絶対にやってやる! 夢が叶わないなら死んだ方がマシだ。負けたまま終わらせるとか悔しいじゃねぇか。
「さ。馬鹿な事言ってないでやる事やろう……」
起き上がろうとした瞬間、力が抜けた。それどころか、目の前の景色がボケ、ゆっくり視界が暗くなっていく。
あ、ヤバイ!
そう思った時点で、時すでに遅しだった。どうやら思った以上に参っていたらしい。
どうにか耐えようとしたが、俺の意識は暗闇の中に沈んでいった。
それからどれくらいの時間が経ったか。気がつくと、何も見えない暗闇の中をゆらゆら漂っていた。まるで海の中にいるような不思議な浮遊感が俺の全身を包んでいる。
それが夢だと理解出来たが、意識だけは妙にはっきりしていた。ついでに真っ暗な割に何故か自分の体だけははっきりと見える。それどころか、白く光って無いか?
《……ボ……》
と、急に何か聞こえてきた。
《お……そこ……ボ……》
耳を澄ますと、音が段々と近付いてくるのが分った。
なんだ? ってか、誰?
《おい、そこの坊や! 聞こえてたら返事をおし!》
首を傾げる俺に、今度ははっきりと言葉が聞こえてきた。その声は大人と子供と老人、男と女、色んなモノが何重にも重なっていた。ついでに、目の前の闇の中に確かな気配を感じた。
「誰?」
《おお、ようやく反応したかい。どうやら上手く行ったみたいだね》
半ば反射的に尋ねると、何故かその気配の持ち主は満足げに言う。
「いや、だからアンタ誰だよ? 何か用か?」
自分の夢に突如乱入した聞き覚えのない奇妙な声の持ち主に、俺は率直に尋ね返した。これが夢なら、知らないモノが出てくるなんて事は考えにくいんだけど、こんな誰の声かも分らないような人間知っている筈も無いんだが。
《おやおや。随分と生意気な坊やが釣れたものだね~。活きが良いというか、粋がってるガキってところかい?》
しかし、声の主はまともに答える気すら無さそうに、楽しげな声を発した。
人を食ったような物言いをしてくる奴だな。もしかして俺、馬鹿にされてる?
「勝手に人の夢に乱入してきてひでぇ事言うな。誰なんだよ? 説明してくれ」
《ははは。そう怒りなさんな》
若干イラッと反論するが、またしてもはぐらかされた。
《まぁ、困惑するのは当然だわ。でも、順を追って説明している余裕はないんだ》
「はぁ? どういう意味だよ?」
《ともかく、黙って話を聞きな》
首を傾げる俺だったが、声の主は取り付く島もなく強引に話を始めてしまう。
《ここに来たのは他でもない。アンタの夢を叶えてやるよ》
「は? 夢を叶える?」
不躾に言われて、俺はまたしても首を傾げる羽目になった。
いきなり人の夢に乱入して時間が無いとか言い出したと思ったら、今度はコレである。意味不明過ぎるぞ、ホント。
「どういう事だよ?」
《言葉通りの意味しか無いだろ。アンタの夢をアタシが叶えてやる》
状況が飲み込めず混乱してる俺をよそに、相手は自信満々な感じで言ってきた。
何を言ってるんだ、コイツは? もしかしてコレ、寝落ちする前に変な事言ったせいなのか? ついつい弱音が漏れただけなんだけど、自分で思ってる以上に参ってたのかな、俺。
《どうだい? 悪い話じゃないだろ?》
「いや、ちょっと待てよ。そりゃ無理だろ」
怪訝そうな声に思ったまま反論する。
「俺の夢が他人にどうこうできるわけ無ぇだろ」
《なんでだい?》
「俺は、自力で世界一になりたいんだよ。他人にどうこうできるわけないだろ」
最初から前提条件に無理がある。魔が挿したとは言え、我ながらアホな事を言ったモノだ。お陰でこんな夢に付き合わされる羽目になった。まぁ、これも自業自得か。
《なるほどねぇ~》
「って事だから、お引取り願って良いか? 俺も忙しいんだ」
うっかり寝落ちをブチかましたが、さっさと風呂入って明日に備えないと。
《ははっ。痛いところをついてくるじゃないか、坊や》
だというのに、声の主ときたら、軽く笑い飛ばしてきやがった。
《言いたい事は最もだ。ただ、アンタの夢が叶えば、同時にもう一人夢を叶えられる人間がいるんでね。引き下がるわけにはいかないよ》
「いや。引き下がれよ」
相手の物言いに間髪入れずにツッコミ返す。話聞いてねぇだろ、この人。
「ってか、俺が世界一になって、他の人の夢が叶うって何だよ?」
《文字通りの意味さ。アンタが世界一になれば救われる人間が出るってことさ》
「いや。意味が分らないんだけど……分るように説明してくれよ」
噛み合わない会話に疲れてきた。夢の中なのに頭痛がする。いい加減にしてくれ!
《まぁまぁ、そうカッカしなさんな。ソレにアンタが”ハイ”と言うだけで、ずっと叶えたかった夢が叶うんだよ? 悪い話じゃないだろ?》
「いや、だからどうやって他人がソレを実行するんだよ。俺が頑張らなきゃ達成のしようが無いじゃん。『自力で』なんだからさ」
声の主との会話は完全な堂々巡りだった。主張が真っ向から対立しているというか、こんな簡単な前提条件を理解出来ないってどうなの? 本当欠片も話聞く気ねぇな。
《ええい、やかましいね。つべこべ言ってんじゃないよ》
と、急に相手は声を荒げてきた。もしかしたら、この噛み合わない問答に相手も苛立っていたのかもしれない。
《アンタは夢を叶えたいのかい? それとも叶えたくないのかい?》
「そりゃ、叶えたいけどさ……」
《だろう? だったら黙って言うとおりにしな》
二の句を告げる前に無理矢理話を打ち切ろうとする姿も見えない相手。
「いや、だから。そんなの無理だっ……て、おい?」
更に反論しようとすると、急に何かに吸い込まれるような感覚に陥った。
《残念ながら時間切れみたいだね。さぁ、こっちに来てもらうよ》
「ちょっと待てよ! 何なんだよ、一体!」
急速に吸い込まれながら、俺は必死に声の主に向けて叫んだ。
が、返答が来るよりも先に、暗闇の中に突如現れた真っ白な光に包まれてしまった。
次に気が着くと、俺の体は落下していていた。
「……はぁ?」
驚いたのも束の間、背中が何かに触れ、次の瞬間には水の中にいた。
突然の事に、ブクブクと口に勢いよく酸素が口から漏れていく。
え! 何これ?
手足をバタつかせ、俺はどうにか水面に戻ろうともがく。すると、すぐに水底に足がつき、力いっぱい地面を蹴った。
「ブハッ!」
思い切り水柱を立てながら水面へ飛び出すと、酸素が一気に口の中へ流れ込む。
「ゲホッ! ゲホッ! ゲホッ!」
激しく咳き込みながら、なんとか呼吸を整えた。
どうにか落ち着くと、周囲の状況が何となく分ってくる。
そこは人口のプールのような場所だった。小さな銭湯ぐらいのサイズで、水深は大体膝下ぐらい。何処からか水が注がれているのか、緩やかな流れが波紋を作っていた。
なんだ、ここ?
「ん?」
と、ふと間近に視線を感じて顔を上げる。
次の瞬間、時が止まった。
「あッ……」
そこには裸の少女がいた。
淡い茶色の長髪。上質なシルクみたいに真白な肌に、華奢ながらもしっかりと女性的な曲線の体型。そして、宝石みたいに透き通った碧い瞳と彫りが深く幼いながらも端正な顔立ちの美しい少女。
腕を胸元で組んでいるので大事な場所を隠し、彼女は唖然とした様子で俺を凝視していた。
「なぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~!!!!!!!!」
状況認識した瞬間、俺は慌てて背を向ける。頭に血が上り、顔が真赤になっている。
ナンダイマノナンダイマノナンダイマノナンダイマノナンダイマノ!!??
部屋で寝落ちしただけの筈なのに、何でいきなりこの状況だよ?
そうだ!
今のは夢だ!
幻だ!
俺の潜在意識が生み出した幻だ! 昼間にとんでも無いモノを見せられたせいで、おかしくなったんだ! きっと振り返れば消えているに違いない!
そう考え、恐る恐る振り返る。
――裸の少女と目が合った。
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ~~~~!!!!」
自分でも信じられない程の悲鳴を上げ、振り返ると同時に全力ダッシュで池から上がった。肩で息をしつつ、混乱する頭で必死で考える。
馬鹿な……。幻じゃない……だと!!?
頭は混乱し、それに拍車を掛けるように先程の少女の姿が脳裏を駆け巡る。
ヤバイ!と思った瞬間、頭が猛烈に熱くなった。ヤバイ勢いで汗がダラダラと流れていき、完全に茹蛸状態だ。
不味いぞ、不味いぞ! どうにかしなきゃ、この熱さでぶっ倒れかねない。
何も見て無い! 何も見て無い! 何も見て無い!
目を固く瞑り、必死で先ほど見たモノを記憶から消去すべく心の中で念じる。はっきりと目に焼きついてしまったが、ああいうのは記憶しちゃ駄目だ! その代わりに公式の一つでも覚えるべきだ! 異性の裸とか、絶対駄目だ!
「ぐぅわぁぁ、目に焼きついて離れぇぇ~ん!」
錯乱した状態で目を開くと、その視界の先にまたしても見慣れないものが映った。
ソレは、奈良の大仏くらいのサイズの灰色の石像だった。
石像は三体で、真ん中に筋肉質でサンタクロースみたいな立派な髭のオッサンが剣を掲げ、右側に長髪の女性が膝立ちで手を組み何かを祈ってて、背中から羽を生やした短髪の女性が天秤を空に翳している。素人目で見ても、見事な彫刻だった。
「え?」
慌てて周囲を見回すと、そこは西洋風の神殿だった。
感じとしてはギリシャの神殿みたいなもので、円柱に壁、床や天井まで全て石造りだ。ただ、痛みが酷い感じで、そこいら中に崩れて壊れた跡が見える。天井にいたっては、半分丸々なくなって吹き抜け状態だ。
そして、その抜けた天井の先には、青過ぎる程に青く眩しい空が見えた。
「ど、何処だ、ここ……」
青空を眺めながら、俺は呆然と呟いた。
変な夢を見たと思ったら、いきなりこんな場所にいるとか、どうなってんだ?
もしかして、俺まだ寝てるのか?
「ぁんッ?」
などと思った瞬間、俺の視界にありえないモノが映った。
雲ひとつ無いその空には、何故か『太陽が二つ』にあるように見える。
「え!!?」
思わず声が漏れる。
太陽が二つに見えるとか……おかしいな。俺、疲れてるのか?
慌てて目をこすり、もう一度よ~く空を見つめた。
やはり、『太陽は二つ』あった。
「……ッ」
困惑していると、ふと一つ思い出す。
『こっちに来てもらうよ』
夢の中で言われた言葉。こっちって何処だよって思ったけど。
もしかして……アレ、別の世界って事なの?
「嘘だろぉぉぉぉぉぉ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!」
俺の叫びは神殿全体に反響していった。
勉強が一段落して、俺は深い溜息を吐く。
あの後、少年を送り届け急いで帰宅した時には、相当の時間が経っていた。大分遅くなってしまったが、親に少年の事を話すと特に咎められずに済んだ。
そして今、夕食後の勉強で試験の復習が丁度終わったところだ。
俺はそのままベットへ歩み寄り、仰向けに倒れこむ。大の字に手を広げると、見慣れた天井の木目を何とはなしに眺めた。そうしていると、全身から急速に力が抜ける。
また駄目だった。通過点である学年一位にもなれなかった。
「はぁ~」
もう一度、深々と溜息が漏れる。
今日で何度目か分らないが、結果が出せなかった日は溜息の回数も自然増えたし、気分も落ち込む。こんな事をしている暇に何かやった方が良いのだが、今は何もやる気が起こらなかった。
「……ちくしょう」
思わずそんな声が漏れて出た。
こうして世界一を目指し始めてからというもの、俺はこつこつと目の前の小さな目標から積み上げてきた。それですぐ結果が出なくても、今度こそはと何度でも挑戦し続けてきた。それこそ勉強だけじゃなく、運動も、雑学やらボランティアやら出来る事は何もかも試し、ただひたすら努力を続けてきた。
だから、上手くいかなければ凹みもする。自分で言うのもなんだが、相当の時間を費やしているからこそ、結果が出せなかった時の悔しさ、精神的にダメージは相当だ。
『お前は上昇志向型のスーパー器用貧乏だよな』
いつか慶太郎に言われた事場。
ソレは言い得て妙で、まさしく今の俺を形容していた。幼い頃からの努力の結果、勉強でも運動でも、大抵の事はそれ程苦も無くやってのけられるようになっていた。
でも、その程度じゃ世界一になるなんて不可能だ。絶対的な一位になるには、器用貧乏ではなく器用でなければならないと思っている。
その事がたまらなく恨めしくて、腹立たしかった。
「ちくしょう!」
今度は強く、怒りと共に悔しさが漏れて出る。同時にベットへ拳を叩き付ける。
すると、手の先に何かが触れた。
なんだ?と首をめぐらすと、そこには一冊の文庫本があった。
「あッ!」
いけねッ!
慌てて手を伸ばし、文庫本を手に取って状態を確認する。幸い本には特に異常は無く、綺麗なままだった。
「良かった」
胸を撫で下ろし、俺は本を天井に向けて掲げる。
それはアニメ調のカラーイラスト表紙の文庫本だった。薄く笑う筋肉質な巨漢の黒髪青年と赤い短髪の不機嫌そうな女性警官が背中を合わせで立った画が描かれている。
そういえば、昨日の夜は試験結果が振るわなかった傷心を癒すべく、寝る前に読んでいたんだった。どうやらそのまま眠ってしまったらしく、ベットの上に置き去りだったのだ。こんな大事なものなのに、自分はなんて事をしてしまったのか。
その本は、主に十代の中高生などを対象とした、漫画と小説の中間的―かなり漫画に寄ってるが―小説。
特にこうしたモノを愛好してはいない自分の本棚に、唯一納まっている文庫本だ。
「また、駄目だったよ」
ここには既にいない誰か、俺にとっては家族と同じぐらいに大事な、二度と会えない恩人に呟く。
その人なら、今の俺を見て何と言うだろうか。
「いや、分りきってるな」
ほんの僅かな時間を共に過ごしただけだったが、あの人が言う事は決まっている。
「やりたい事があるなら、才能の有無関係ない。やりたいならやらないなんて嘘か。たとえ命を賭けてでも、手に入れたいモノがあるならやるべきだ」
言われた事は大体こんなモノだ。
「夢叶えるのって……大変だよ。ホント」
誰にも届かない言葉が自然と口をついて出た。
「叶うまでやれとか、俺そんなに強くなれるのかな?」
あの人のように俺もなれればと思っていたが、自分の事は俺が一番よく知っている。
俺は何処にでもいる普通の人間で、卑屈だったり悔しがるのだけは一丁前でも、自分の為にただ只管努力だけし続けられるような強さは持ち合わせてはいない。
結果が出るか分らないのに、叶うまで動力を続けるなんて普通じゃ出来ない。
いつまで続けば、成りたい自分になれるんだろう?
もしかしたら、一生そんなの無理なんじゃないか?
あるかどうかも分らない可能性に縋るのは、本当にきつい。
「……誰か、俺の夢を叶えてくれないかね~……」
と、弱気になってつい心にも無い事を呟く。
「って、そんな事出来るわけ無いだろうが」
自分の馬鹿な呟きにすぐツッコミを入れる。夢は自分で叶えるべきものだ。あの人も言ってたいたし、俺もそう思う。
「弱気になって諦めそうになるとか、らしくねぇ事してる場合じゃねぇだろうが」
わざと自分の嫌いな『諦める』という単語を入れて己を鼓舞する。この手の単語は俺にとって地雷だが、自分自身に活を入れるにはこれぐらいで丁度良いだろう。
世界一になるまで、それこそ死ぬまでやってやるってあの人の前で約束した筈だ。例えこの先死にそうになっても、俺は絶対にやってやる! 夢が叶わないなら死んだ方がマシだ。負けたまま終わらせるとか悔しいじゃねぇか。
「さ。馬鹿な事言ってないでやる事やろう……」
起き上がろうとした瞬間、力が抜けた。それどころか、目の前の景色がボケ、ゆっくり視界が暗くなっていく。
あ、ヤバイ!
そう思った時点で、時すでに遅しだった。どうやら思った以上に参っていたらしい。
どうにか耐えようとしたが、俺の意識は暗闇の中に沈んでいった。
それからどれくらいの時間が経ったか。気がつくと、何も見えない暗闇の中をゆらゆら漂っていた。まるで海の中にいるような不思議な浮遊感が俺の全身を包んでいる。
それが夢だと理解出来たが、意識だけは妙にはっきりしていた。ついでに真っ暗な割に何故か自分の体だけははっきりと見える。それどころか、白く光って無いか?
《……ボ……》
と、急に何か聞こえてきた。
《お……そこ……ボ……》
耳を澄ますと、音が段々と近付いてくるのが分った。
なんだ? ってか、誰?
《おい、そこの坊や! 聞こえてたら返事をおし!》
首を傾げる俺に、今度ははっきりと言葉が聞こえてきた。その声は大人と子供と老人、男と女、色んなモノが何重にも重なっていた。ついでに、目の前の闇の中に確かな気配を感じた。
「誰?」
《おお、ようやく反応したかい。どうやら上手く行ったみたいだね》
半ば反射的に尋ねると、何故かその気配の持ち主は満足げに言う。
「いや、だからアンタ誰だよ? 何か用か?」
自分の夢に突如乱入した聞き覚えのない奇妙な声の持ち主に、俺は率直に尋ね返した。これが夢なら、知らないモノが出てくるなんて事は考えにくいんだけど、こんな誰の声かも分らないような人間知っている筈も無いんだが。
《おやおや。随分と生意気な坊やが釣れたものだね~。活きが良いというか、粋がってるガキってところかい?》
しかし、声の主はまともに答える気すら無さそうに、楽しげな声を発した。
人を食ったような物言いをしてくる奴だな。もしかして俺、馬鹿にされてる?
「勝手に人の夢に乱入してきてひでぇ事言うな。誰なんだよ? 説明してくれ」
《ははは。そう怒りなさんな》
若干イラッと反論するが、またしてもはぐらかされた。
《まぁ、困惑するのは当然だわ。でも、順を追って説明している余裕はないんだ》
「はぁ? どういう意味だよ?」
《ともかく、黙って話を聞きな》
首を傾げる俺だったが、声の主は取り付く島もなく強引に話を始めてしまう。
《ここに来たのは他でもない。アンタの夢を叶えてやるよ》
「は? 夢を叶える?」
不躾に言われて、俺はまたしても首を傾げる羽目になった。
いきなり人の夢に乱入して時間が無いとか言い出したと思ったら、今度はコレである。意味不明過ぎるぞ、ホント。
「どういう事だよ?」
《言葉通りの意味しか無いだろ。アンタの夢をアタシが叶えてやる》
状況が飲み込めず混乱してる俺をよそに、相手は自信満々な感じで言ってきた。
何を言ってるんだ、コイツは? もしかしてコレ、寝落ちする前に変な事言ったせいなのか? ついつい弱音が漏れただけなんだけど、自分で思ってる以上に参ってたのかな、俺。
《どうだい? 悪い話じゃないだろ?》
「いや、ちょっと待てよ。そりゃ無理だろ」
怪訝そうな声に思ったまま反論する。
「俺の夢が他人にどうこうできるわけ無ぇだろ」
《なんでだい?》
「俺は、自力で世界一になりたいんだよ。他人にどうこうできるわけないだろ」
最初から前提条件に無理がある。魔が挿したとは言え、我ながらアホな事を言ったモノだ。お陰でこんな夢に付き合わされる羽目になった。まぁ、これも自業自得か。
《なるほどねぇ~》
「って事だから、お引取り願って良いか? 俺も忙しいんだ」
うっかり寝落ちをブチかましたが、さっさと風呂入って明日に備えないと。
《ははっ。痛いところをついてくるじゃないか、坊や》
だというのに、声の主ときたら、軽く笑い飛ばしてきやがった。
《言いたい事は最もだ。ただ、アンタの夢が叶えば、同時にもう一人夢を叶えられる人間がいるんでね。引き下がるわけにはいかないよ》
「いや。引き下がれよ」
相手の物言いに間髪入れずにツッコミ返す。話聞いてねぇだろ、この人。
「ってか、俺が世界一になって、他の人の夢が叶うって何だよ?」
《文字通りの意味さ。アンタが世界一になれば救われる人間が出るってことさ》
「いや。意味が分らないんだけど……分るように説明してくれよ」
噛み合わない会話に疲れてきた。夢の中なのに頭痛がする。いい加減にしてくれ!
《まぁまぁ、そうカッカしなさんな。ソレにアンタが”ハイ”と言うだけで、ずっと叶えたかった夢が叶うんだよ? 悪い話じゃないだろ?》
「いや、だからどうやって他人がソレを実行するんだよ。俺が頑張らなきゃ達成のしようが無いじゃん。『自力で』なんだからさ」
声の主との会話は完全な堂々巡りだった。主張が真っ向から対立しているというか、こんな簡単な前提条件を理解出来ないってどうなの? 本当欠片も話聞く気ねぇな。
《ええい、やかましいね。つべこべ言ってんじゃないよ》
と、急に相手は声を荒げてきた。もしかしたら、この噛み合わない問答に相手も苛立っていたのかもしれない。
《アンタは夢を叶えたいのかい? それとも叶えたくないのかい?》
「そりゃ、叶えたいけどさ……」
《だろう? だったら黙って言うとおりにしな》
二の句を告げる前に無理矢理話を打ち切ろうとする姿も見えない相手。
「いや、だから。そんなの無理だっ……て、おい?」
更に反論しようとすると、急に何かに吸い込まれるような感覚に陥った。
《残念ながら時間切れみたいだね。さぁ、こっちに来てもらうよ》
「ちょっと待てよ! 何なんだよ、一体!」
急速に吸い込まれながら、俺は必死に声の主に向けて叫んだ。
が、返答が来るよりも先に、暗闇の中に突如現れた真っ白な光に包まれてしまった。
次に気が着くと、俺の体は落下していていた。
「……はぁ?」
驚いたのも束の間、背中が何かに触れ、次の瞬間には水の中にいた。
突然の事に、ブクブクと口に勢いよく酸素が口から漏れていく。
え! 何これ?
手足をバタつかせ、俺はどうにか水面に戻ろうともがく。すると、すぐに水底に足がつき、力いっぱい地面を蹴った。
「ブハッ!」
思い切り水柱を立てながら水面へ飛び出すと、酸素が一気に口の中へ流れ込む。
「ゲホッ! ゲホッ! ゲホッ!」
激しく咳き込みながら、なんとか呼吸を整えた。
どうにか落ち着くと、周囲の状況が何となく分ってくる。
そこは人口のプールのような場所だった。小さな銭湯ぐらいのサイズで、水深は大体膝下ぐらい。何処からか水が注がれているのか、緩やかな流れが波紋を作っていた。
なんだ、ここ?
「ん?」
と、ふと間近に視線を感じて顔を上げる。
次の瞬間、時が止まった。
「あッ……」
そこには裸の少女がいた。
淡い茶色の長髪。上質なシルクみたいに真白な肌に、華奢ながらもしっかりと女性的な曲線の体型。そして、宝石みたいに透き通った碧い瞳と彫りが深く幼いながらも端正な顔立ちの美しい少女。
腕を胸元で組んでいるので大事な場所を隠し、彼女は唖然とした様子で俺を凝視していた。
「なぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~!!!!!!!!」
状況認識した瞬間、俺は慌てて背を向ける。頭に血が上り、顔が真赤になっている。
ナンダイマノナンダイマノナンダイマノナンダイマノナンダイマノ!!??
部屋で寝落ちしただけの筈なのに、何でいきなりこの状況だよ?
そうだ!
今のは夢だ!
幻だ!
俺の潜在意識が生み出した幻だ! 昼間にとんでも無いモノを見せられたせいで、おかしくなったんだ! きっと振り返れば消えているに違いない!
そう考え、恐る恐る振り返る。
――裸の少女と目が合った。
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ~~~~!!!!」
自分でも信じられない程の悲鳴を上げ、振り返ると同時に全力ダッシュで池から上がった。肩で息をしつつ、混乱する頭で必死で考える。
馬鹿な……。幻じゃない……だと!!?
頭は混乱し、それに拍車を掛けるように先程の少女の姿が脳裏を駆け巡る。
ヤバイ!と思った瞬間、頭が猛烈に熱くなった。ヤバイ勢いで汗がダラダラと流れていき、完全に茹蛸状態だ。
不味いぞ、不味いぞ! どうにかしなきゃ、この熱さでぶっ倒れかねない。
何も見て無い! 何も見て無い! 何も見て無い!
目を固く瞑り、必死で先ほど見たモノを記憶から消去すべく心の中で念じる。はっきりと目に焼きついてしまったが、ああいうのは記憶しちゃ駄目だ! その代わりに公式の一つでも覚えるべきだ! 異性の裸とか、絶対駄目だ!
「ぐぅわぁぁ、目に焼きついて離れぇぇ~ん!」
錯乱した状態で目を開くと、その視界の先にまたしても見慣れないものが映った。
ソレは、奈良の大仏くらいのサイズの灰色の石像だった。
石像は三体で、真ん中に筋肉質でサンタクロースみたいな立派な髭のオッサンが剣を掲げ、右側に長髪の女性が膝立ちで手を組み何かを祈ってて、背中から羽を生やした短髪の女性が天秤を空に翳している。素人目で見ても、見事な彫刻だった。
「え?」
慌てて周囲を見回すと、そこは西洋風の神殿だった。
感じとしてはギリシャの神殿みたいなもので、円柱に壁、床や天井まで全て石造りだ。ただ、痛みが酷い感じで、そこいら中に崩れて壊れた跡が見える。天井にいたっては、半分丸々なくなって吹き抜け状態だ。
そして、その抜けた天井の先には、青過ぎる程に青く眩しい空が見えた。
「ど、何処だ、ここ……」
青空を眺めながら、俺は呆然と呟いた。
変な夢を見たと思ったら、いきなりこんな場所にいるとか、どうなってんだ?
もしかして、俺まだ寝てるのか?
「ぁんッ?」
などと思った瞬間、俺の視界にありえないモノが映った。
雲ひとつ無いその空には、何故か『太陽が二つ』にあるように見える。
「え!!?」
思わず声が漏れる。
太陽が二つに見えるとか……おかしいな。俺、疲れてるのか?
慌てて目をこすり、もう一度よ~く空を見つめた。
やはり、『太陽は二つ』あった。
「……ッ」
困惑していると、ふと一つ思い出す。
『こっちに来てもらうよ』
夢の中で言われた言葉。こっちって何処だよって思ったけど。
もしかして……アレ、別の世界って事なの?
「嘘だろぉぉぉぉぉぉ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!」
俺の叫びは神殿全体に反響していった。
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