3 / 3
結婚のお申込みでした
しおりを挟む
「あの、グレイさん。どうして私と結婚したいですか?」
「一目見たときからあなたしかいないと思っていました。そして、この気持ちに間違いはなかったようです」
グレイはそのあと「スカーレットさんは尊敬に値する人です」とか「あなた以上に結婚相手にふさわしい相手はいない」と口説き落とされそうになる。
婚約者の存在がいなかったら絶対に付き合っていただろう。絶対に。
私のことを好きになってくれる時点でスカイよりも断然グレイさんの方が良い男なんだけど、それでも婚約者は婚約者だ。
裏切るわけにはいかない。
「どうしても私と結婚していただけないのでしょうか?」
「……えっと、別にあなたのことは嫌いじゃないんです。好きでもないですけど、婚約者がいるので」
まあ、婚約者は私と裏切ってアンジェリカと仲良くしているんだから私だけが裏切るわけにはいかないと思っているのはおかしな話だ。
だけど、筋は通したい。
男が愛人を作っても良いけど、女はダメ。
そんな風潮がまかり通っているこの国では、私が浮気したら確実に立場が無くなる。
最悪の場合は貴族位をはく奪されるかもしれない。
そんな危険を冒してまでスカーレットは皇太子殿下と結婚する約束を結ぶわけにはいかなかった。
「そうですか。私は好みではないと」
「いえ、そういうわけでは。ただ婚約者がいるので婚約破棄にでもならない限りあなたと結婚するなんてあり得ません」
「いえ、婚約者がいるのにあなたを口説いてしまった私が悪いのです。どうか自分を責めないでください」
「ありがとうございます」
ああ、もったいない。
こんなにイケメンで私のことを思ってくれている人がプロポーズしてくれているのに断らないといけないなんて、とっても悔しい。
ああ、私のイケメンがいなくなってしまう。
「そういえば、最期にあなたの婚約者の名前を教えてくれますか?」
グレイさんは「あなたをそこまで虜にする男の名前を知っておきたいのです」と優しく微笑んでくれる。
違うの。
私はあんな男の虜になってなってないの。
まったくどうせなら婚約破棄をして欲しい。
そうしたら私はこんなにいい人と結婚できるのに。
「スカイです」
「スカイ? 分かりました」
そう言ってグレイは店からでて帰ろうとした。
「あの!」
「どうされましたか?」
帰ろうとしていた皇太子殿下を呼び止める。
こんなことをしていったい何になるのか。スカーレットは自分でも理解できない。
だけど、この人を逃してはいけない。
スカーレットの勘がそんなことを言っていた。
「もし、私が婚約破棄をされたら結婚してくれますか」
「いいんですか!」
皇太子殿下は嬉しそうな顔をした。
「その時は私のところに来てください」
住所の書かれた紙を受け取り、その場は解散となった。
「一目見たときからあなたしかいないと思っていました。そして、この気持ちに間違いはなかったようです」
グレイはそのあと「スカーレットさんは尊敬に値する人です」とか「あなた以上に結婚相手にふさわしい相手はいない」と口説き落とされそうになる。
婚約者の存在がいなかったら絶対に付き合っていただろう。絶対に。
私のことを好きになってくれる時点でスカイよりも断然グレイさんの方が良い男なんだけど、それでも婚約者は婚約者だ。
裏切るわけにはいかない。
「どうしても私と結婚していただけないのでしょうか?」
「……えっと、別にあなたのことは嫌いじゃないんです。好きでもないですけど、婚約者がいるので」
まあ、婚約者は私と裏切ってアンジェリカと仲良くしているんだから私だけが裏切るわけにはいかないと思っているのはおかしな話だ。
だけど、筋は通したい。
男が愛人を作っても良いけど、女はダメ。
そんな風潮がまかり通っているこの国では、私が浮気したら確実に立場が無くなる。
最悪の場合は貴族位をはく奪されるかもしれない。
そんな危険を冒してまでスカーレットは皇太子殿下と結婚する約束を結ぶわけにはいかなかった。
「そうですか。私は好みではないと」
「いえ、そういうわけでは。ただ婚約者がいるので婚約破棄にでもならない限りあなたと結婚するなんてあり得ません」
「いえ、婚約者がいるのにあなたを口説いてしまった私が悪いのです。どうか自分を責めないでください」
「ありがとうございます」
ああ、もったいない。
こんなにイケメンで私のことを思ってくれている人がプロポーズしてくれているのに断らないといけないなんて、とっても悔しい。
ああ、私のイケメンがいなくなってしまう。
「そういえば、最期にあなたの婚約者の名前を教えてくれますか?」
グレイさんは「あなたをそこまで虜にする男の名前を知っておきたいのです」と優しく微笑んでくれる。
違うの。
私はあんな男の虜になってなってないの。
まったくどうせなら婚約破棄をして欲しい。
そうしたら私はこんなにいい人と結婚できるのに。
「スカイです」
「スカイ? 分かりました」
そう言ってグレイは店からでて帰ろうとした。
「あの!」
「どうされましたか?」
帰ろうとしていた皇太子殿下を呼び止める。
こんなことをしていったい何になるのか。スカーレットは自分でも理解できない。
だけど、この人を逃してはいけない。
スカーレットの勘がそんなことを言っていた。
「もし、私が婚約破棄をされたら結婚してくれますか」
「いいんですか!」
皇太子殿下は嬉しそうな顔をした。
「その時は私のところに来てください」
住所の書かれた紙を受け取り、その場は解散となった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
冤罪で婚約破棄したくせに……今さらもう遅いです。
水垣するめ
恋愛
主人公サラ・ゴーマン公爵令嬢は第一王子のマイケル・フェネルと婚約していた。
しかしある日突然、サラはマイケルから婚約破棄される。
マイケルの隣には男爵家のララがくっついていて、「サラに脅された!」とマイケルに訴えていた。
当然冤罪だった。
以前ララに対して「あまり婚約しているマイケルに近づくのはやめたほうがいい」と忠告したのを、ララは「脅された!」と改変していた。
証拠は無い。
しかしマイケルはララの言葉を信じた。
マイケルは学園でサラを罪人として晒しあげる。
そしてサラの言い分を聞かずに一方的に婚約破棄を宣言した。
もちろん、ララの言い分は全て嘘だったため、後に冤罪が発覚することになりマイケルは周囲から非難される……。
婚約破棄したので、元の自分に戻ります
しあ
恋愛
この国の王子の誕生日パーティで、私の婚約者であるショーン=ブリガルドは見知らぬ女の子をパートナーにしていた。
そして、ショーンはこう言った。
「可愛げのないお前が悪いんだから!お前みたいな地味で不細工なやつと結婚なんて悪夢だ!今すぐ婚約を破棄してくれ!」
王子の誕生日パーティで何してるんだ…。と呆れるけど、こんな大勢の前で婚約破棄を要求してくれてありがとうございます。
今すぐ婚約破棄して本来の自分の姿に戻ります!
婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです
藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。
家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。
その“褒賞”として押しつけられたのは――
魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。
けれど私は、絶望しなかった。
むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。
そして、予想外の出来事が起きる。
――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。
「君をひとりで行かせるわけがない」
そう言って微笑む勇者レオン。
村を守るため剣を抜く騎士。
魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。
物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。
彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。
気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き――
いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。
もう、誰にも振り回されない。
ここが私の新しい居場所。
そして、隣には――かつての仲間たちがいる。
捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。
これは、そんな私の第二の人生の物語。
あなたが「消えてくれたらいいのに」と言ったから
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
「消えてくれたらいいのに」
結婚式を終えたばかりの新郎の呟きに妻となった王女は……
短いお話です。
新郎→のち王女に視点を変えての数話予定。
4/16 一話目訂正しました。『一人娘』→『第一王女』
【完結】真実の愛のキスで呪い解いたの私ですけど、婚約破棄の上断罪されて処刑されました。時間が戻ったので全力で逃げます。
かのん
恋愛
真実の愛のキスで、婚約者の王子の呪いを解いたエレナ。
けれど、何故か王子は別の女性が呪いを解いたと勘違い。そしてあれよあれよという間にエレナは見知らぬ罪を着せられて処刑されてしまう。
「ぎゃあぁぁぁぁ!」 これは。処刑台にて首チョンパされた瞬間、王子にキスした時間が巻き戻った少女が、全力で王子から逃げた物語。
ゆるふわ設定です。ご容赦ください。全16話。本日より毎日更新です。短めのお話ですので、気楽に頭ふわっと読んでもらえると嬉しいです。※王子とは結ばれません。 作者かのん
.+:。 ヾ(◎´∀`◎)ノ 。:+.ホットランキング8位→3位にあがりました!ひゃっほーー!!!ありがとうございます!
跡継ぎが産めなければ私は用なし!? でしたらあなたの前から消えて差し上げます。どうぞ愛妾とお幸せに。
Kouei
恋愛
私リサーリア・ウォルトマンは、父の命令でグリフォンド伯爵令息であるモートンの妻になった。
政略結婚だったけれど、お互いに思い合い、幸せに暮らしていた。
しかし結婚して1年経っても子宝に恵まれなかった事で、義父母に愛妾を薦められた夫。
「承知致しました」
夫は二つ返事で承諾した。
私を裏切らないと言ったのに、こんな簡単に受け入れるなんて…!
貴方がそのつもりなら、私は喜んで消えて差し上げますわ。
私は切岸に立って、夕日を見ながら夫に別れを告げた―――…
※この作品は、他サイトにも投稿しています。
P.S. 推し活に夢中ですので、返信は不要ですわ
汐瀬うに
恋愛
アルカナ学院に通う伯爵令嬢クラリスは、幼い頃から婚約者である第一王子アルベルトと共に過ごしてきた。しかし彼は言葉を尽くさず、想いはすれ違っていく。噂、距離、役割に心を閉ざしながらも、クラリスは自分の居場所を見つけて前へ進む。迎えたプロムの夜、ようやく言葉を選び、追いかけてきたアルベルトが告げたのは――遅すぎる本心だった。
※こちらの作品はカクヨム・アルファポリス・小説家になろうに並行掲載しています。
婚約破棄を伝えられて居るのは帝国の皇女様ですが…国は大丈夫でしょうか【完結】
繭
恋愛
卒業式の最中、王子が隣国皇帝陛下の娘で有る皇女に婚約破棄を突き付けると言う、前代未聞の所業が行われ阿鼻叫喚の事態に陥り、卒業式どころでは無くなる事から物語は始まる。
果たして王子の国は無事に国を維持できるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる