ヴァルドとローゼの長い冬

はやしかわともえ

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「ローゼ、お願いがあるんだ」
真剣な表情のヴァルドにローゼは気圧された。
「どうしたんだい?」
もしかして別れ話かとローゼは1人不安になっている。最近、今までの自分のわがままぶりを後悔する日々だったからだ。
「ローゼの手を測らせてほしいんだ」
「僕の手かい?」
ローゼはホッとしながら、なんでだろうと首を傾げた。だが、ヴァルドは構わずぐい、と迫ってくる。
「ローゼの手袋を作りたいんだ」
「え?でも、手袋ならこの間君からもらったよ?」
「あれは既製品だったんだ。だからローゼの手にしっかり合ってないんだよ。ローゼの指は細くて長いから特に。それにあれじゃ、物を持った時に滑るでしょう?」
「…ありがとう、ヴァルド」
ローゼは一気に嬉しくなってくすりと笑った。ヴァルドが作ってくれる手袋だ、性能に間違いはないだろう。
「あとね、ローゼ」
ヴァルドが来て、とローゼの手を引く。この屋敷には使っていない部屋がいくつかあった。その一つに入る。
「これは?」
ローゼは驚いてしまった。部屋中にプレゼントの包みが置かれていたからだ。
「ローゼにって、みんなから。この間誕生日だったのにバタバタしてたからって」
「そういえばそうだったよ」
「俺からもあるんだ」
ヴァルドが渡してくれたのはピンク色の包みだった。ローゼはそれをそっと開けてみる。中身はピンク色の革で出来たブーツだった。季節はいつの間にか秋から冬に変わってきている。
「ありがとう、ヴァルド」
「今夜はご馳走にするね」
ローゼは嬉しくなってブーツを抱きしめた。

「♪~、ほら、ハヤテ号、ゼロワン号ご飯だよ」
夕方、ローゼはいつものように動物たちの世話をしている。ローゼが馬たちを撫でると、もっと撫でろとばかりに顔を擦り付けてくる。ローゼはよしよしと気の済むまで馬たちを撫でた。
「うぉんっ!」
「クーフ、君もご飯にしようね」
ローゼが屈むと犬のクーフが右前脚をローゼの脚に置いた。何か伝えたいのかとローゼはクーフの頭を撫でた。
「どうしたんだい?」
クーフはもう一度鳴いて走り出した。ローゼもそれを追いかける。クーフが向こうで何度も鳴いている。
「これは…」
ローゼはそれのそばに近寄った。

「ご協力、ありがとうございます!」
「いつもご苦労さまです」
あの後、ローゼはすぐにヴァルドに声を掛けた。クーフが見つけたのは大きなボストンバッグだった。ローゼが中を見てみると大量の宝石が入っていたのだ。最近街で宝石商の店に強盗事件が起きた、と随分な騒ぎになっていた。まだ犯人は見つかっていない。
「クーフ、待て」
ローゼがそう指示するとクーフはしっかりと待つ。
「いいよ」
クーフは皿のフードを食べ始めた。
「びっくりしたね、ローゼ」
ヴァルドが料理を運びながら言う。ローゼもカトラリーを出してそれぞれ並べた。
「あぁ。だがこれで被害はなくなったんだろう?」
「それがね」
「何かあったのかい?」
「犯人は一番価値のある宝石はしっかり持ち去っていたみたいなんだ」
「じゃあ…?」
「その宝石はこの辺りに隠されているのかもしれないね」
「危ないじゃないか」
「うん。警察も今夜から捜査を始めるみたいだよ。それに、ここから遠くに逃げるっていうのはあまり現実的じゃないからね」
「なら犯人も?」
「うん。この辺りのどこかに身を潜めているんじゃないかな」
ローゼは背筋が寒くなってきた。
「大丈夫だよ、ローゼ。この辺りは警察が警備してくれているからね」
「あぁ、それなら安心したよ」
今日の夕飯は肉厚なサーモンをたっぷりのバターで焼いたソテーだった。付け合わせに蒸したさつまいもが添えられている。ローゼは今日も美味しく食べた。
「ローゼ、お茶淹れるね」
「ありがとう」

「うぅ、冷えるね…」
夜、寝る前にローゼはクーフを連れて手洗いに立った。クーフに待つよう指示してから用を足して手を洗う。するとパンッという大きな音が聞こえた。
「今のは…銃声?」
「ローゼ!ここにいたんだ!」
ヴァルドが慌てた様子でやってくる。
「何かあったのかな?」
「多分ね。危ないから俺と一緒にいて」
「あぁ。クーフもおいで」
「うぉんっ!」
ヴァルドが熱くて甘いココアを作ってくれた。
「美味しい」
「よかった。上手く犯人が捕まればいいんだけど」
「そうだね」
どんどん、と誰かが玄関の扉を叩いている。ヴァルドとローゼはお互いを見て頷いた。
二人は玄関に向かい、扉を開けた。どうやら警察の人間らしい。
「騒がしくしてすみませんね、ヴァルド様。今、犯人を取り押さえましたのでご報告を」
「よかった」
「またなにか不審なことがありましたら署にご連絡ください。では」
「はい、ご苦労さまです」
ローゼはほっと息を吐いた。急に眠気がやってくる。
「ローゼ、歯磨きして寝てね」
「分かっているよ。クーフ、おいで」
「くぅん」
ローゼはしっかり歯磨きをしてベッドに潜り込もうとして柔らかなものがあることに気が付いた。
「ノーラ、君はここにいたのかい」
「にゃあ」
猫のノーラをローゼは抱えてベッドの脇に置いた。
寝転がるとクーフがローゼの足元で丸くなる。
「おやすみ」
ローゼは眠りに落ちていた。

ローゼは朝が弱い。鳴っている目覚まし時計を全て止めてなんとか起き上がった。傍に置いてあったカーディガンを羽織り階下に向かう。下なら暖炉がついているので暖かい。
「おはよう、ローゼ」
「おはよう、ヴァルド」
「後で昨日のことで会合があるからちょっと行ってくるね」
「あぁ」
ローゼはいただきますをしてフォークを手にとりオムレツを切り分けた。柔らかいのでまるで抵抗がない。
「ん…君の作るオムレツは本当に美味しいね」
「そう?ならよかった。ゆっくり食べてて。そろそろ行ってくるね」
ヴァルドに口づけを落とされてローゼの顔はカッと熱くなった。
「い、いってらっしゃい」
なんとかヴァルドにそう返すと、彼は笑って手を振ってくる。ローゼも小さく振り返した。
「…ヴァルドは時々、ずるいと思わないかい?」
そばに座っていたクーフにそう愚痴ってみるがクーフは尻尾を振ったきり応えてくれなかった。ゆっくり朝食を摂り終えたローゼはいつもの通り、作業着に着替えた。長い髪の毛は頭頂で結う。
これから動物たちの世話の仕事が待っている。最近は、その合間にヴァルドの書類仕事も手伝っていた。
「メリア、お腹が空いたね」
「ンメェェェ」
ローゼがヤギのメリアに小さく切った野菜を渡すともしゃもしゃと食べている。
メリアは夏場、畑の草を食べて除草をしてくれているのだ。彼女がいるだけでずいぶん助かる。
「メリア、ゆっくりお食べ。そばにいるから何かあったら呼ぶんだよ」
メリアは食べるのに夢中なようだ。ローゼがメリアの背筋を撫でてから隣にある鶏小屋に向かった。鶏小屋に入ると鶏たちがバササと翼をはためかせる。
「ご飯だよ。たまごはもらうからね」
はじめは羽音が怖かったローゼだったが、すっかり慣れてきた。割らないよう慎重にたまごを集める。
「ありがとう。後で掃除に来るよ」
ローゼは一度メリアの元に戻った。メリアの寝床を掃除する必要がある。
「メリア、中に入っていいかい?」
「ンメェェェ」
ローゼはメリアを撫でて、柵の中に入った。
古い藁をどかして新しい藁を敷き詰めてやる。トイレの掃除ももちろんした。
「そういえばメリア。もうすぐ新しい子がここに来るよ」
ヴァルドが少し前に子ヤギを買ったのだ。メリアは分かっているのかいないのか、もぐもぐと口を動かしている。ローゼはそんなメリアの頭を撫でた。
鶏小屋の掃除も終えた次は馬たちの世話だ。
厩舎に向かうと、ゼロワン号とハヤテ号はローゼを見て鼻先を突きだしてきた。撫でろということらしい。ローゼはよしよしと2頭を撫でた。
「まずはブラッシングをしようね。ヴァルドが帰ってきたら少し走ろうか」
「ブルル」
馬たちは賢い。ローゼの言葉に嬉しそうに尾を揺らしている。
ローゼは丁寧に馬たちのブラッシングをした。
「ローゼ!お疲れ様」
ヴァルドが駆け寄ってくる。
「ヴァルド、会合は終わったのかい?」
「なんだか妙な話になってきてる」
ローゼは意味が分からず首を傾げた。だが、今は馬たちの世話が先だ。
「手伝うよ」
「ありがとう、ヴァルド」
厩舎の掃除を終えて、ローゼとヴァルドは2頭の馬を散歩に連れ出した。散歩が大好きな2頭だ。るんるんしている。
「何があったか教えてくれるかい?」
「うん。ローゼが見つけた宝石は全部偽物だったんだ」
「なんだって?」
「つまり、宝石商は偽物を売っていたってこと」
「それは犯罪じゃ…」
「そう。詐欺だよ。ただ、犯人が持ち去った宝石だけは本物だったみたい」
「その人は捕まったんだろう?」
「うん。でも何も話さないみたいなんだ。宝石は隠したってそれきり」
「そうだったのかい。何か事情がありそうだね」
「そうなんだよねぇ…でも俺は警察じゃないからあまり踏み込んだことは聞けないじゃない?」
「その通りだね」
2人はどちらからともなくため息をついていた。
「ブル…」
ゼロワン号がローゼに甘えてくる。どうやら、沈んだ空気を察知したらしい。ハヤテ号もヴァルドの手に鼻をこすりつけてきた。
ローゼとヴァルドはお互いを見て頷いた。
「僕たちが落ち込んでも何にもならないようだね」
「そうだね。俺、宝石を探してみるよ。もしかしたら山の何処かに埋めたかもしれないし」
「ヴァルド、無茶はしないでおくれよ?」
「大丈夫」

2人は再び厩舎に戻り、ハヤテ号とゼロワン号を中に繋いだ。
2頭に餌を与えるとモリモリ食べている。
「あ…あのっ!!!」
ローゼはくるり、と振り返った。ヴァルドもだ。
「君は?」
そこにいたのは少女だった。10代前半に見える。
「あ、あの、勝手に中に入ってしまってごめんなさい。その、宝石のことで話があって…」
「宝石?」
「父が盗んだものです」
「寒いし中に入って話そうか。ローゼ、いいよね?」
「もちろん。か弱い乙女が風邪を引いたら困るからね」
ローゼは真面目に言ったのだが、ヴァルドは吹き出している。
「なんで笑うんだい?」
「ごめん、ローゼも十分か弱く見えるからさ」
「僕は男だ。そんな心配は不要だよ」
「ローゼは逞しいよね」
「今更気が付いたのかい?」
二人のやり取りを少女はぽかんと見ていた。ローゼは彼女に声を掛ける。
「あ、すまなかったね。君の名は?」
「私はアンジェといいます。アンって呼んでください」
「僕はローゼだ」
「俺はヴァルドだよ。で、君は宝石についてどこまで知っているの?」
ヴァルドの質問にアンジェは少し考えた。
「実はほとんど何も知らないんです。でもこの辺りの山に埋めたって」
「よし、とりあえず中に入ろう」
一行は屋敷の中に入った。

「わぁ、美味しい」
「ヴァルドの淹れるお茶は美味しいことで有名なのさ」
「なんでローゼが自慢げなの?」
ヴァルドがマグカップとポットを運びながら吹き出している。
「ヴァルド、このお嬢さんから話を聞かなくては」
「そうだね」
ヴァルドはアンジェの対面に座った。
「えーと、アンさんって言ったよね?君はどこから来たの?この辺りの子じゃないよね?」
「はい。王都から来ました。父が急にいなくなって、私、心配になって」
アンジェの話によればアンジェの父は有名な宝石商らしい。
「父は本当に宝石が好きな人で、自分の仕事に誇りを持っていました。ただ…」
アンジェの話は約3ヶ月前に遡る。

アンジェの父、トランジッタは王都に店を構える大商人だ。目利きの腕は確かで、王家御用達の店としても有名だった。だが、ある日事件が起きる。トランジッタが偽物の宝石を見破れなかったのだ。
その日は商人たちが目利きの腕を試すテストの日だった。トランジッタの存在は他の商人からすれば目の上のたんこぶのようなものだ。後から考えれば仕組まれた出来事だったと分かる。だが、そのことは伏せられ、トランジッタが失敗したということだけ吹聴された。トランジッタは自分の地位や名誉を失墜させられた。
「なんてひどい話だい!」
「ローゼ、落ち着いて」
ローゼは腕を組み、アンジェを見つめた。
「アン、君はどうするつもりだい?」
アンジェはきゅ、と唇を噛み、こう呟いた。
「父は目利きを失敗していないんです」
「うん、そうなんだよね」
「どうゆうことだい?」
「アンさん、俺から話していい?」
ヴァルドの言葉にアンジェは頷いた。彼女の目には涙が溜まっている。
「アン」
ローゼはすかさず花柄のハンカチーフをアンジェに手渡していた。
「ありがとうございます…」
「ヴァルド、僕にちゃんと説明してくれるかい?」
「うん。今回、ローゼが宝石を見つけたでしょう?俺はあれを偽物だって言ったよね?」
「あぁ…」
「それはかなり細かく成分を調査しないと分からない範囲なんだ。でも成分上は偽物になる」
「なるほど…でも、トランジッタさんはなんでわざわざ偽物の宝石なんかを盗んだんだい?」
「テストに使った宝石について詳しく知りたかったんじゃないかな?あれは他の国から輸入されたものらしいし。そして、隠した一つは自分の店のものだった。きっと本当に大事なものなんだよ」
ローゼはアンジェを見つめた。
「君、もう恋人が?」
「はい。婚約者がいます。なんで分かったんですか?」
「簡単なことさ。婚約指輪を嵌めているからね」
「あ…」
アンジェが自分の左手を触る。
「トランジッタさんが気に食わないという気持ちは分からないことはないよ。宝石の類に興味のない僕ですら聞いたことがある名だしね。
たださすがにやり過ぎじゃないかい?」
「ローゼ、御伽話みたいに仕返しは出来ないよ?」
ヴァルドの言葉にローゼは笑った。
「僕たちに出来ることが一つあるじゃないか」
「?」

「うぉんっ!!」
「クーフ、お手柄だよ。ありがとう」
夕日が傾きかける中、ローゼとヴァルドはクーフと共に山中にいた。クーフはある場所を示す様に吠えている。
「ローゼ…いつの間にクーフにそんなワザ仕込んだの?」
「クーフは賢い子だ。とりあえずは、僕の知的好奇心の結果というわけさ」
ローゼはアンジェの匂いをクーフに嗅がせて山中を歩かせた。クーフはあっという間にその場所を突き止めてしまった。そこは最近掘り返されたような跡がある。
「警察を呼ぼう。俺たちはここまで」
「あぁ、そうだね」
二人は近くの木に傷をつけて場所を知らせることにした。
「さ、帰ろうか」
ローゼたちが踵を返そうとした瞬間、クワやスコップを持った男たちに取り囲まれている。ローゼは不敵に笑った。
「おや、商人の皆さんかい?」
「く…宝石は渡さねぇ!」
「アンさんから聞いたけれどあの石、相当珍しい物みたいですね。あれが狙いで皆さんは手を組んだ」
「うるせえ!!」
男たちが持っていた得物を振り上げる。だが、ヴァルドは早かった。あっという間に男たちを気絶させる。
「ローゼ、大丈夫?」
「あぁ。さすがヴァルドだね」
男たちを木に縛り付け、ローゼたちは屋敷に戻ってきた。すぐさま警察を呼ぶ。
それから事件解決まではあっという間だった。

「ヴァルド、久しぶりに王都でお茶しないかい?」
「用事が済んだらね」
「もちろんだとも」
2人は王都の警察署に話をしに来た。アンジェも来るらしい。久しぶりの再会を2人は待ち望んでいた。2人はここまで馬車で来た。もちろんヴァルドが操っている。警察署の傍に馬車を停めて、2人は署内に入った。ゼロワン号とハヤテ号は近くの厩舎に預けている。
「ヴァルド殿下!お久しぶりです!」
「署長、俺はもう殿下じゃないよ」
やって来た恰幅のいい男にヴァルドは困ったように訂正した。
「そうでしたな。申し訳ありません。まだお話したいですが、こちらへ」
「署長…敬語じゃなくていいから」
まあまあと署長にいなされ、ヴァルドとローゼは会議室に案内された。中には女性の警官とアンジェがいる。
「ヴァルド様、ローゼ様…!」
2人の姿を見てアンジェは立ち上がった。
ローゼは彼女の目線まで屈んだ。
「久しぶりだね、アン。息災だったかい?」
「はい。お2人のお陰で、父も帰ってこられたんです」
「それはよかった」
「では、本題といきますかな」
署長がヴァルドたちを促し椅子に座らせた。
「署長、結局何が起こっていたんですか?」
「一言で言えばトランジッタの失脚ということになります。彼の店の人気ぶりは凄まじかったですからな。周りからしたら目障りだったのでしょう」
「ひどいものだね。それで彼らはトランジッタさんを陥れるため結託した、と?」
「はい、その通りです。まさか、トランジッタさんが盗みを働くとは思わなかったみたいですが」
「例の、偽物だけど本物のような宝石か…」
「トランジッタさんはあの石を売っている宝石商全てに侵入し、例の宝石を持ち去っていました。彼の目利きが確かな証拠です。彼は外国の機関にその石を持ち込もうとしたようです」
「そうすれば偽物を彼等が売っていたことが判明するね」
「その通りです。そして今日は…」
署長がアンジェを目線で促した。アンジェは頷き立ち上がる。
「ヴァルド様とローゼ様に預かっていただきたいんです」
アンジェが取り出したもの、それは巨大なピンクダイヤだった。
「父は私の婚姻時にこれを私に渡してくれるつもりだったようなんです」
ローゼとヴァルドはお互いを見て頷きあった。
「アン、それは僕たちを結婚式に参列させてくれるということかな?」
アンが笑った。
「はい!是非お2人に来て頂きたいです!」
「分かった。ちゃんとしまっておくね」
「はい!!」

「ふう。なんだか草臥れたよ」
ローゼたちは屋敷に戻ってきている。
「そうそう、ローゼ。これ」
「これは…!」
ヴァルドから手渡されたのは革製の手袋だった。
「やっと仕上がったんだ。時間がかかっちゃってごめんね」
ローゼは早速手袋を嵌めてみた。ぴったりとして手が動かしやすい。
「ありがとう、ヴァルド」
ローゼはヴァルドに抱き着いていた。ヴァルドにそのまま抱き上げられている。
「ローゼ、君が欲しいんだ。いいかな?」
「あぁ、あげるとも」
2人の長い冬は始まったばかりだ。

おわり
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