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「どうした?ソータ」
ソータが一体何事だろうと首を捻っていると、キメルがやってきた。今日はサーレ河で砂を集めていたのだ。砂とはいっても、もちろんただの砂ではない。魔力の籠もった特殊な物だ。サーレ河では時々見かけることの出来る物質である。ザルに砂をのせて少しずつ探る。なかなか根気のいる作業だ。
「皆さん、そろそろ帰ります!砂集めは次回やりましょう」
「はーい」
子どもたちが勢揃いする。パペもやって来た。子どもたちが集めた砂を持ってくれているらしい。子どもたちも随分クエストに慣れてきた。明らかに手際が良くなってきている。
「ソータナレア様、何かありましたか?」
歩きながらパペにそっと聞かれて、ソータは分からないと首を振った。
「フレン兄様から思念伝播されることなんて滅多にないから、多分、すごく大変なことだと思う」
「それは…参りましたね」
「うん、でも諦めてる感じではなかったから大丈夫だよ」
子どもたちを無事学校に送り届け、他の教師に託したソータたちは教会に急いだ。そこにはロニもいる。彼はひとまずフレンの元に身を寄せることになった。ロニはすっかりフレンに懐いている。
「フレン兄様!ロニ!」
ソータが声を掛けると二人が振り返る。リヒの姿もあった。
「何があったのですか?」
「大変だよ!ソータ!この星に隕石がぶつかるかもしれないって!」
「え?」
ロニの言葉にソータたちは固まった。しばらくしてようやく理解が追い付いてくる。
「い、隕石?」
「それに星時計の兵器をぶつけて壊すんだって!」
「えええ!!!」
「確かにそれなら可能かもしれませんね」
パペは至って冷静だ。顎に手を当てて考えている。キメルが鼻を鳴らした。
「からくりを解かないと兵器の鍵が取り出せないんだぞ?それはどうするんだ?」
「…」
キメルの言葉に場が沈黙した。
「えーと、それ俺がやってみてもいい…ですか?」
ロニがおずおずと手を挙げる。
「ロニは機械いじりが得意ですもんね!」
「頑張るよ」
ソータは胸ポケットにしまってあった星時計をロニに渡した。
「あれ?ソータも星時計、持ってるの?」
ロニが星時計を取り出す。
「あれ、俺のと全然違う…ソータのすごい!めちゃくちゃ精巧じゃん!」
2つを見比べてロニが呟いた。目利きの出来るソータにすらその違いは分からないのにだ。
「そっくりにコピーしてみたつもりなのですが」
パペが困惑気味に言う。
「ううん、もちろんそっくりだよ。ただなんて言うんだろう、重み?っていうか」
「重たさも同じなのですが…」
「うーん、言葉で表すのは難しい」
「ガキ、なんでもいいから、からくりを解け。時間がねえんだ」
キメルがどすどすその場で足踏みする。
「うん、すぐやるよ!任せて!」
ロニは自分の星時計を左側の胸ポケットにしまい直して、サッと工具をどこからともなく取り出した。
「なんか僕たち不要みたいだね」
「ロニはしっかり者だからな」
大人組がそんなことを呟いていると、キメルが前足で二人の背中をどついた。
「おい、兵器の場所を確認しておかなくていいのか?ぶつけるならタイミングよくやらないと、この星の連中、皆お陀仏だぞ」
「それは確かに」
「ここから近いの?」
キメルが角から映像を出した。
「おぉ、そんなことが出来るんだ」
リヒが感心したように言う。
「これは…アオナか?って、ここ聖域じゃねーか!!今から移動しても間に合わないぞ!」
フレンが叫んだ。
「大丈夫だ。俺の足なら聖域まですぐだ。ソータとガキを連れて行く。ソータいいか?」
「承知」
「キメル様、現在の宇宙空間の様子を映し出せますか?私が今からデータを送ります」
「頼む」
パペがキメルに手を翳すと、キメルの角から映像が映し出された。便利なものである。
「こいつか」
隕石と思しき塊がこちらに向かって近付いて来ている。キメルは画面を睨んだ。
「意外と小さいな?」
「いや、そんなことはない。俺は宇宙に浮いている衛星くらいなら壊せるが、こいつは無理だ。でかすぎるし動きが速すぎる」
「は?お前、衛星壊したのか?」
フレンに問われてキメルはぷい、と顔を背けながら言った。
「不可抗力だったんだから仕方がないだろう」
「ま、まぁお前が理由もなくそんなことはしないよな?」
「しないぞ」
キリッとキメルがキメ顔をする。ソータはそれを黙って聞いていた。
「キメル、あとで詳しくお話聞かせてね」
にっこり笑いながらソータは怒っていた。キメルもそれに勘付く。
「そ、ソータ、違うんだ、その…」
「ソータの前だとあんなにしおらしいのにね」
「言ってやるな」
リヒがププと噴き出している。それをフレンが宥めていた。キメルはもちろん面白くないが、ソータの手前、我慢する。隕石はこうしている今も近付いて来ているのだ。
「この兵器の威力はどれくらいなのですか?」
パペがキメルに手を翳しながら聞く。
「あぁ、惑星一つくらいなら簡単に消滅させられるらしいぞ。フクロウが言っていた」
「それなら大気圏手前でこの兵器をぶつけられれば、隕石の欠片による地上への被害も防げそうですね」
「そうだな。パペ、お前なかなか優秀だな」
「お褒めに預かり光栄です」
口で言うのは簡単だが、タイミングを合わせるのはなかなか難しそうだ。キメルは内心焦っていた。からくりをまず解けるかどうか、それはロニの手にかかっているのだから。
ソータが一体何事だろうと首を捻っていると、キメルがやってきた。今日はサーレ河で砂を集めていたのだ。砂とはいっても、もちろんただの砂ではない。魔力の籠もった特殊な物だ。サーレ河では時々見かけることの出来る物質である。ザルに砂をのせて少しずつ探る。なかなか根気のいる作業だ。
「皆さん、そろそろ帰ります!砂集めは次回やりましょう」
「はーい」
子どもたちが勢揃いする。パペもやって来た。子どもたちが集めた砂を持ってくれているらしい。子どもたちも随分クエストに慣れてきた。明らかに手際が良くなってきている。
「ソータナレア様、何かありましたか?」
歩きながらパペにそっと聞かれて、ソータは分からないと首を振った。
「フレン兄様から思念伝播されることなんて滅多にないから、多分、すごく大変なことだと思う」
「それは…参りましたね」
「うん、でも諦めてる感じではなかったから大丈夫だよ」
子どもたちを無事学校に送り届け、他の教師に託したソータたちは教会に急いだ。そこにはロニもいる。彼はひとまずフレンの元に身を寄せることになった。ロニはすっかりフレンに懐いている。
「フレン兄様!ロニ!」
ソータが声を掛けると二人が振り返る。リヒの姿もあった。
「何があったのですか?」
「大変だよ!ソータ!この星に隕石がぶつかるかもしれないって!」
「え?」
ロニの言葉にソータたちは固まった。しばらくしてようやく理解が追い付いてくる。
「い、隕石?」
「それに星時計の兵器をぶつけて壊すんだって!」
「えええ!!!」
「確かにそれなら可能かもしれませんね」
パペは至って冷静だ。顎に手を当てて考えている。キメルが鼻を鳴らした。
「からくりを解かないと兵器の鍵が取り出せないんだぞ?それはどうするんだ?」
「…」
キメルの言葉に場が沈黙した。
「えーと、それ俺がやってみてもいい…ですか?」
ロニがおずおずと手を挙げる。
「ロニは機械いじりが得意ですもんね!」
「頑張るよ」
ソータは胸ポケットにしまってあった星時計をロニに渡した。
「あれ?ソータも星時計、持ってるの?」
ロニが星時計を取り出す。
「あれ、俺のと全然違う…ソータのすごい!めちゃくちゃ精巧じゃん!」
2つを見比べてロニが呟いた。目利きの出来るソータにすらその違いは分からないのにだ。
「そっくりにコピーしてみたつもりなのですが」
パペが困惑気味に言う。
「ううん、もちろんそっくりだよ。ただなんて言うんだろう、重み?っていうか」
「重たさも同じなのですが…」
「うーん、言葉で表すのは難しい」
「ガキ、なんでもいいから、からくりを解け。時間がねえんだ」
キメルがどすどすその場で足踏みする。
「うん、すぐやるよ!任せて!」
ロニは自分の星時計を左側の胸ポケットにしまい直して、サッと工具をどこからともなく取り出した。
「なんか僕たち不要みたいだね」
「ロニはしっかり者だからな」
大人組がそんなことを呟いていると、キメルが前足で二人の背中をどついた。
「おい、兵器の場所を確認しておかなくていいのか?ぶつけるならタイミングよくやらないと、この星の連中、皆お陀仏だぞ」
「それは確かに」
「ここから近いの?」
キメルが角から映像を出した。
「おぉ、そんなことが出来るんだ」
リヒが感心したように言う。
「これは…アオナか?って、ここ聖域じゃねーか!!今から移動しても間に合わないぞ!」
フレンが叫んだ。
「大丈夫だ。俺の足なら聖域まですぐだ。ソータとガキを連れて行く。ソータいいか?」
「承知」
「キメル様、現在の宇宙空間の様子を映し出せますか?私が今からデータを送ります」
「頼む」
パペがキメルに手を翳すと、キメルの角から映像が映し出された。便利なものである。
「こいつか」
隕石と思しき塊がこちらに向かって近付いて来ている。キメルは画面を睨んだ。
「意外と小さいな?」
「いや、そんなことはない。俺は宇宙に浮いている衛星くらいなら壊せるが、こいつは無理だ。でかすぎるし動きが速すぎる」
「は?お前、衛星壊したのか?」
フレンに問われてキメルはぷい、と顔を背けながら言った。
「不可抗力だったんだから仕方がないだろう」
「ま、まぁお前が理由もなくそんなことはしないよな?」
「しないぞ」
キリッとキメルがキメ顔をする。ソータはそれを黙って聞いていた。
「キメル、あとで詳しくお話聞かせてね」
にっこり笑いながらソータは怒っていた。キメルもそれに勘付く。
「そ、ソータ、違うんだ、その…」
「ソータの前だとあんなにしおらしいのにね」
「言ってやるな」
リヒがププと噴き出している。それをフレンが宥めていた。キメルはもちろん面白くないが、ソータの手前、我慢する。隕石はこうしている今も近付いて来ているのだ。
「この兵器の威力はどれくらいなのですか?」
パペがキメルに手を翳しながら聞く。
「あぁ、惑星一つくらいなら簡単に消滅させられるらしいぞ。フクロウが言っていた」
「それなら大気圏手前でこの兵器をぶつけられれば、隕石の欠片による地上への被害も防げそうですね」
「そうだな。パペ、お前なかなか優秀だな」
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