引きこもり不憫聖女でしたが、逆ハーレム状態になっていました!

はやしかわともえ

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「タイタンは不滅だ!私がいなくとも動き続ける!!」

ここは中央都市警察署の取調べ室である。基本的にこの世界の警察は明らかな犯罪者を拘置、刑務させる役割を持つ。スイレイは座ったまま足を組みふんぞり返っていた。取調べをしているのはリヒと強面の刑事二人だ。

「星時計のことをもっと詳しく聞かせてもらっても?」

「あれは至宝だ。私が持っているのが相応しいんだ!この世界を一新するためにな!」

「世界を一新…ね。もしかして、星時計は最強の兵器なのかな?」

にこやかに問うリヒにスイレイはサッと表情を曇らせた。

「あ、正解みたいだね!そんな危ないもの使ったら自分たちも死んじゃうじゃない。どうするつもりだったの?」

「…」

スイレイは黙った。もちろん黙秘権はある。ソータ、ロニ、パペはその様子を隣の部屋から見ていた。

「兵器って本当なの?」

ロニが真っ青になりながら言う。ソータも生きた心地がしなかった。キメルは今、眠っている。きっと今までの疲れが溜まっていたのだろう。

彼が起きたらしっかり話をしなければならない。

「とりあえず私たちは寮に戻りましょうか。子どもたちも心配ですし」

「そうだね、ずっと会ってないものね」

ソータもそう言うのでロニも頷いた。

「そうだ、ロニ様。学校に通われてはいかがですか?魔力がせっかく宿ったのですから使い方を学ぶというのは」

「それ、楽しい?」

ソータに誘われて嬉しい気持ちになったが、どうも勉強となると二の足を踏んでしまう。

「ソータナレア様も通われていますよ」

「え?ソータも?」

「うん、私は講師も兼ねているから時々だけど」

「講師?って先生ってこと?」

ロニが身を乗り出してきたのでソータは笑った。

「うん」

ロニが姿勢を正す。ずっと言いたいことがあった。

「ねえ、ソータ、パペ?
その、俺と友達になってくれる?」

「もう友達だよ?」

「私もそう認識しておりました」

二人の言葉にロニは顔が熱くなった。

✢✢✢

「…!」

「キメル、大丈夫?」

キメルは目を開けて慌てて臨戦態勢を取ったが、その必要はなかったと知り、その場に座った。慌てた自分がちょっぴり恥ずかしい。

「ソータ、その…ここはどこだ?」

隠れられるところ、とキメルはここを選んだのだが、眠すぎてどこかまでは把握していなかった。

「学校の裏にある納屋だよ。キメル、相当疲れてたんだね」

よしよし、とソータに首を撫でられてほっこりしてしまうキメルである。ソータはそんなキメルに寄りかかるように座った。

「ねえキメル?星時計って本当に兵器なの?」

「…あぁ。俺の祖父さんが酔狂で作ったもんらしい。大丈夫だ、簡単には起動出来ないからな」

「そうなんだ。よかった」

「あ!ソータナレア様ここにいたー!」

ガラリと引き戸を引かれて子どもたちが顔をひょっこり覗かせる。

「ね!早く、シヴァ様に言われたアイテム取りに行こ!はーやーくー!!」

ソータは子どもたちの様子に笑った。

「うん、行こうか。キメル、ここで待ってる?」

「一緒に行く」

✢✢✢

「うーん…」

「どうした?リヒ。おやつ食べないのか?」

フレンがリヒの前に置いてあった菓子を取ろうとするのを妨害しながらリヒは言った。

「もしかしたらこの星に隕石が近付いてきてるかも」

「は?」

フレンは固まる。隕石がぶつかってきたりしたらただでは済まないどころか、この星自体が消滅する可能性がある。

「予知夢なのか?」

「多分…」

リヒの予知夢は必ず当たる。フレンはガタリ、と立ち上がった。

「どうするんだ?俺たち死ぬぞ?」

「うーん」

リヒがまた唸りだす。

「もしかしたらなんとかなっちゃうかも…しんないんだよねぇ」

「はあ?」

「ただ、ある人の力を借りなくちゃいけなくて…。僕はその人に随分嫌われているんだ。なんでかは分からないんだけど」

「リヒ、行動を改めろ。今すぐにだ。で、隕石はいつ来る?」

「32時間後くらい」

「全然時間がないじゃないか?!どうするんだ!!」

「フレン、一緒にお願いするの手伝って」

フレンは頭を抱えた。都合がいいと我ながら思う。

「分かった。で、お願いするそいつは誰なんだ?」

「…キメル」

「おま…お前、本当に行動を改めろよ?」

「はーい」

「とりあえず行くぞ!!」

二人は隣の敷地にある学校へ向かった。校内に入り、教師に事情を話すとクエストに向かったと言われる。フレンはソータに思念伝播の魔法で、呼び掛けた。こんなことは滅多にない。

「ソータ、聞こえるか?」

「フレン兄様?どうされましたか?」

「ちょっとヤバいことが起きてる。速やかに戻ってきて欲しい」

「承知しました。今サーレ河にいるので、半刻ほどかかります」

サーレ河はここより少し離れた森に流れる河である。広いゆるやかな流れの河だ。その河の水はそのまま海に流れ込んでいる。出産を控えた魚の遡上なども見られるため、よく学生の社会見学などにも使われる河でもあるのだ。

「分かった。帰ってきたら教会に来てくれ」

「承知しました」

ソータと思念伝播を切り、フレンはリヒを見た。

「お前、何しようとしてる?」

リヒはニヤリと笑ってみせた。
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