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「いやいやいや、確かここにあっただろ」
ソータ、キメル、ドラゴはパぺ、ロニと別れ、アオナの聖域に戻ってきている。
アオナの聖域にある礼拝堂でキメルはなにか探し物があるらしかった。人型になって、礼拝堂の屋根裏を探っている。
「あぎゃあ?」
ドラゴがお腹が空いたとソータに告げて来る。さすがにドラゴに野草は食べさせられない。どうしようとソータが困っていると、キメルが埃まみれで戻って来た。どうやら一旦休憩らしい。
「キメル、ドラゴがお腹空いたって」
「同感だ」
キメルも腹が減っているらしい。ソータは思わず笑ってしまった。
「ホホー」
ふくろうが飛んでくる。そしてソータの肩に留まった。
「ホホ」
ふくろうの報告によるとアオナはエンジたちが来て、随分賑わっているらしい。新しいリーダーという存在は大きいようだ。
しかも皆、若いということもあって、期待されている。ソータはエンジたちが頑張っていけるよう陰から応援するつもりでいる。
「あいつら頑張ってるみたいじゃねーか。よし、町に行って飯でも食おう」
「うん」
聖域のある森に入るのは今まで禁忌とされていたが今は少し制限を緩めている。必要であれは入ることを許されているのだ。
「聖女様!」
森から出たソータを人々が取り囲む。ソータの存在は前から知られていたが、どこにいるかまでは明らかにされていなかった。だが、キメルが聖域に入ることを緩めたことと新しいリーダーを聖女であるソータが探してきたということが広まり、ソータがここにいるということがあちらこちらで知れ渡ったらしい。
「聖女様、俺たちのためにいつも祈ってくださってたんですね」
「聖女様のお陰で新しいアオナのリーダーも決まって」
ソータは急なことに驚いたが、笑って答えた。
「皆さんのためになっているのなら嬉しいのです」
「聖女様」
おおと歓声が上がる。その瞬間ぐぐーという間抜けな音が響いた。
「あぎゃ」
ドラゴの腹の虫がついに鳴きだしたのである。ドラゴは照れたように頭を掻いた。
「まあまあ小さい龍。お腹が空いてるのね」
「そこのレストラン、なかなかうまいからお勧めだぜ」
「ありがとうございます」
ソータは深々と頭を下げた。レストランを見てソータは笑う。
「レストラン、初めて行った時はエンジ様と一緒だったなあ」
「ソータはそういうとこ行ったことなかったもんな」
「あぎゃあ」
ソータはドラゴの頭を撫でる。
「大丈夫だよ、ドラゴ。すぐご飯にしようね」
一行はレストランに入る。店内はそれなりに客でにぎわっていた。メニューが黒板に書かれている。どうやら今日のおすすめが書かれているらしい。今日の看板メニューは白身魚のムニエルだ。
「聖女様!まさかうちに来てくれるなんて」
「こんにちは」
すっかりソータは有名人である。
店員と思しき女性がメニューを出してくれた。
「ソータ、お前、金あるのか?」
「あ」
ぶふとキメルが噴き出す。
忘れていたがずっとパぺがお金を出してくれていたのだった。
そういえばこの間、スーパーで働いた時の給金がある。キメルに給金の入った封筒を見せるとキメルが覗いている。
「それで足りるかなあ?」
「お、意外と持ってる」
キメルが感心したように言う。三日間頑張って働いた甲斐があったらしい。
「ソータは基本無給だもんなあ。これからは上手く生活できるように工夫しないとな。例えば」
「例えば?」
「エンジたちの広報とか。エンジたちも手伝いが欲しそうだったし」
「わ、それやってみたい」
「なら言っておいてやる。墓参りが終わったらすぐに業務に就けるようにしておかないとな」
「ありがとうキメル。もしかしてキメルってエンジ様のこと気に入ってる?」
キメルが照れたのかふいとそっぽを向いた。
「あいつは真面目だし優しいからな」
「うん、そうだよね」
ふふとソータが笑うとキメルも笑った。人型のキメルはいつものキメルと気配は違うがやはりキメルはキメルだ。
メニューを見て食べるものを決める。キメルもそこそこ所持金があるらしい。金の心配はするなと言ってくれた。
「お待ち!熱いから気を付けるんだよ」
「あぎゃ」
店主が丸焼きの肉を持って現れる。明らかに値段に比べてでかい。
「あの、店主様。値段に比べてお料理が大きい気がするのですが?」
ソータの問いに店主が照れたように笑う。
「ウチはデカ盛りで有名な店で。いっぱい食べてって!」
ドラゴが大きな口を開けてはむと肉に噛り付いた。
「あぎゃ、あぐあぐ」
「ドラゴ、美味しいの?」
ドラゴは夢中になって食べている。その姿は可愛いらしい。キメルもやってきたデカ盛りの料理を食べ始めた。そして極め付きはソータの頼んだたまご料理である。ふわふわのたまごは口に入れると溶けるように消えてなくなるのだ。
「美味しい」
「ん、美味いな…ってドラゴ!!!」
ガタ、とキメルが立ち上がり、ソータも異変に気がついた。ドラゴが喉に肉を詰まらせている。
「おいおい、落ち着け」
キメルがとん、とドラゴの頭を軽く叩くとぽろ、と肉の塊が出てくる。
「ドラゴ、よく噛んで食べて」
「あぐあぐ」
ドラゴは頷いてゆっくり噛みしめるように食べ始めた。
「キメルはさっき、何を探していたの?」
「ん?向こう側に行くための鍵だ」
「向こう側?」
「鍵っていっても鍵の形状をしてるわけじゃなくてな。俺の爺さんがあそこに置いたらしい」
「へえ」
聞けば聞くほど訳が分からない。ここはキメルに任せよう、とソータは決めた。
ソータ、キメル、ドラゴはパぺ、ロニと別れ、アオナの聖域に戻ってきている。
アオナの聖域にある礼拝堂でキメルはなにか探し物があるらしかった。人型になって、礼拝堂の屋根裏を探っている。
「あぎゃあ?」
ドラゴがお腹が空いたとソータに告げて来る。さすがにドラゴに野草は食べさせられない。どうしようとソータが困っていると、キメルが埃まみれで戻って来た。どうやら一旦休憩らしい。
「キメル、ドラゴがお腹空いたって」
「同感だ」
キメルも腹が減っているらしい。ソータは思わず笑ってしまった。
「ホホー」
ふくろうが飛んでくる。そしてソータの肩に留まった。
「ホホ」
ふくろうの報告によるとアオナはエンジたちが来て、随分賑わっているらしい。新しいリーダーという存在は大きいようだ。
しかも皆、若いということもあって、期待されている。ソータはエンジたちが頑張っていけるよう陰から応援するつもりでいる。
「あいつら頑張ってるみたいじゃねーか。よし、町に行って飯でも食おう」
「うん」
聖域のある森に入るのは今まで禁忌とされていたが今は少し制限を緩めている。必要であれは入ることを許されているのだ。
「聖女様!」
森から出たソータを人々が取り囲む。ソータの存在は前から知られていたが、どこにいるかまでは明らかにされていなかった。だが、キメルが聖域に入ることを緩めたことと新しいリーダーを聖女であるソータが探してきたということが広まり、ソータがここにいるということがあちらこちらで知れ渡ったらしい。
「聖女様、俺たちのためにいつも祈ってくださってたんですね」
「聖女様のお陰で新しいアオナのリーダーも決まって」
ソータは急なことに驚いたが、笑って答えた。
「皆さんのためになっているのなら嬉しいのです」
「聖女様」
おおと歓声が上がる。その瞬間ぐぐーという間抜けな音が響いた。
「あぎゃ」
ドラゴの腹の虫がついに鳴きだしたのである。ドラゴは照れたように頭を掻いた。
「まあまあ小さい龍。お腹が空いてるのね」
「そこのレストラン、なかなかうまいからお勧めだぜ」
「ありがとうございます」
ソータは深々と頭を下げた。レストランを見てソータは笑う。
「レストラン、初めて行った時はエンジ様と一緒だったなあ」
「ソータはそういうとこ行ったことなかったもんな」
「あぎゃあ」
ソータはドラゴの頭を撫でる。
「大丈夫だよ、ドラゴ。すぐご飯にしようね」
一行はレストランに入る。店内はそれなりに客でにぎわっていた。メニューが黒板に書かれている。どうやら今日のおすすめが書かれているらしい。今日の看板メニューは白身魚のムニエルだ。
「聖女様!まさかうちに来てくれるなんて」
「こんにちは」
すっかりソータは有名人である。
店員と思しき女性がメニューを出してくれた。
「ソータ、お前、金あるのか?」
「あ」
ぶふとキメルが噴き出す。
忘れていたがずっとパぺがお金を出してくれていたのだった。
そういえばこの間、スーパーで働いた時の給金がある。キメルに給金の入った封筒を見せるとキメルが覗いている。
「それで足りるかなあ?」
「お、意外と持ってる」
キメルが感心したように言う。三日間頑張って働いた甲斐があったらしい。
「ソータは基本無給だもんなあ。これからは上手く生活できるように工夫しないとな。例えば」
「例えば?」
「エンジたちの広報とか。エンジたちも手伝いが欲しそうだったし」
「わ、それやってみたい」
「なら言っておいてやる。墓参りが終わったらすぐに業務に就けるようにしておかないとな」
「ありがとうキメル。もしかしてキメルってエンジ様のこと気に入ってる?」
キメルが照れたのかふいとそっぽを向いた。
「あいつは真面目だし優しいからな」
「うん、そうだよね」
ふふとソータが笑うとキメルも笑った。人型のキメルはいつものキメルと気配は違うがやはりキメルはキメルだ。
メニューを見て食べるものを決める。キメルもそこそこ所持金があるらしい。金の心配はするなと言ってくれた。
「お待ち!熱いから気を付けるんだよ」
「あぎゃ」
店主が丸焼きの肉を持って現れる。明らかに値段に比べてでかい。
「あの、店主様。値段に比べてお料理が大きい気がするのですが?」
ソータの問いに店主が照れたように笑う。
「ウチはデカ盛りで有名な店で。いっぱい食べてって!」
ドラゴが大きな口を開けてはむと肉に噛り付いた。
「あぎゃ、あぐあぐ」
「ドラゴ、美味しいの?」
ドラゴは夢中になって食べている。その姿は可愛いらしい。キメルもやってきたデカ盛りの料理を食べ始めた。そして極め付きはソータの頼んだたまご料理である。ふわふわのたまごは口に入れると溶けるように消えてなくなるのだ。
「美味しい」
「ん、美味いな…ってドラゴ!!!」
ガタ、とキメルが立ち上がり、ソータも異変に気がついた。ドラゴが喉に肉を詰まらせている。
「おいおい、落ち着け」
キメルがとん、とドラゴの頭を軽く叩くとぽろ、と肉の塊が出てくる。
「ドラゴ、よく噛んで食べて」
「あぐあぐ」
ドラゴは頷いてゆっくり噛みしめるように食べ始めた。
「キメルはさっき、何を探していたの?」
「ん?向こう側に行くための鍵だ」
「向こう側?」
「鍵っていっても鍵の形状をしてるわけじゃなくてな。俺の爺さんがあそこに置いたらしい」
「へえ」
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