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デート3
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それからあたし達は、牧羊犬のショーを見たあと、休憩がてら喫茶店らしきお店に入った。
店内にうさぎが沢山いる。鼻をひくひくさせながらケージの中で寝そべっていた。
だんだん暖かくなってきて喉が乾いていたので、あたしとタカヤさんはアイスコーヒーを、一津さんはオレンジジュースを頼んだ。
頼んだものはすぐにテーブルにやってきて、それぞれ飲み始める。
冷たくて美味しかった。
「お腹がすいたね」
タカヤさんが笑って言う。
ぐきゅるるる、とお腹の音が響いた。
一津さんが真っ赤になっている。
「お腹すきましたね」
あたしがそう言うと、一津さんは頷いた。
動物園を出ることに決めて、あたしたちはまた車で移動していた。
「何が食べたい?」
タカヤさんがあたし達にそう聞いてくれる。
「アフタヌーンティーが食べたいです」
一津さんが言う。
それ、お昼じゃないんじゃ?
タカヤさんは笑う。
「いいよ。立花さんもいいかい?」
「あたしも大丈夫です」
一津さんは車のナビに住所を打ち込み始めた。
ナビに連れられてきたのは、ホテルの中にある喫茶店だった。
一津さんの大きな目がキラキラしている。
アフタヌーンティーを頼むと、そのキラキラの度合いも増した。
そしてスコーンや紅茶が運ばれてくる。
なんて贅沢な。
一津さんは小さなケーキを食べ始めた。
タカヤさんもスコーンを食べている。
あたしもサンドイッチを摘んだ。
(美味しい!)
おしゃれすぎて全然お腹いっぱいにならない。
タカヤさんもそれは同じようだった。
「一津、他のものも頼んでいいかい?」
「私も頼みたいです」
お腹が空いていたのは全員だったらしい。
あたしもカレーライスを頼んでもらった。
「万願寺さん、今日はありがとうございました」
お礼を言うとタカヤさんは首を振る。
「俺も楽しかったよ。一津はどうだったかな?」
そういえば、一津さんはタカヤさんとどこで知り合ったのか覚えてないんだっけ?
「タカヤ、今、思い出しました」
一津さんがきりっと言う。
「あの時パーティで遊んでくれましたよね?」
タカヤさんは頷いた。嬉しそうだった。
タカヤさんと途中で別れて、あたしたちはあたしの自宅に向かっていた。
「一津さん、万願寺さんは嫌でしたか?」
「嫌ではなかったです。
でもお付き合いとなると」
うーん、と一津さんは唸ってみせた。
「でも、今日アカリちゃんがいてくれてよかったです。ありがとうございます」
にこ、と一津さんは笑った。
この笑顔にあたしは弱いんだよなー。
「一津さんのお役に立てるならなによりです!」
「アカリちゃんに一つ言っておかなければいけませんね」
なんだろう?
「私は新が好きで声優になりました。
でも恋は叶いませんでした」
「そうだったんですか?!」
あたしはびっくりして叫んでしまった。
一津さんは頷く。
「私達って似ていますよね?」
お互い好きだった人を失っている。
あたしは頷いていた。
「アカリちゃん、私達も幸せになりましょう」
「はい」
その方法はあまりにも漠然としている。
あたしはどうしたら幸せになれるの?
店内にうさぎが沢山いる。鼻をひくひくさせながらケージの中で寝そべっていた。
だんだん暖かくなってきて喉が乾いていたので、あたしとタカヤさんはアイスコーヒーを、一津さんはオレンジジュースを頼んだ。
頼んだものはすぐにテーブルにやってきて、それぞれ飲み始める。
冷たくて美味しかった。
「お腹がすいたね」
タカヤさんが笑って言う。
ぐきゅるるる、とお腹の音が響いた。
一津さんが真っ赤になっている。
「お腹すきましたね」
あたしがそう言うと、一津さんは頷いた。
動物園を出ることに決めて、あたしたちはまた車で移動していた。
「何が食べたい?」
タカヤさんがあたし達にそう聞いてくれる。
「アフタヌーンティーが食べたいです」
一津さんが言う。
それ、お昼じゃないんじゃ?
タカヤさんは笑う。
「いいよ。立花さんもいいかい?」
「あたしも大丈夫です」
一津さんは車のナビに住所を打ち込み始めた。
ナビに連れられてきたのは、ホテルの中にある喫茶店だった。
一津さんの大きな目がキラキラしている。
アフタヌーンティーを頼むと、そのキラキラの度合いも増した。
そしてスコーンや紅茶が運ばれてくる。
なんて贅沢な。
一津さんは小さなケーキを食べ始めた。
タカヤさんもスコーンを食べている。
あたしもサンドイッチを摘んだ。
(美味しい!)
おしゃれすぎて全然お腹いっぱいにならない。
タカヤさんもそれは同じようだった。
「一津、他のものも頼んでいいかい?」
「私も頼みたいです」
お腹が空いていたのは全員だったらしい。
あたしもカレーライスを頼んでもらった。
「万願寺さん、今日はありがとうございました」
お礼を言うとタカヤさんは首を振る。
「俺も楽しかったよ。一津はどうだったかな?」
そういえば、一津さんはタカヤさんとどこで知り合ったのか覚えてないんだっけ?
「タカヤ、今、思い出しました」
一津さんがきりっと言う。
「あの時パーティで遊んでくれましたよね?」
タカヤさんは頷いた。嬉しそうだった。
タカヤさんと途中で別れて、あたしたちはあたしの自宅に向かっていた。
「一津さん、万願寺さんは嫌でしたか?」
「嫌ではなかったです。
でもお付き合いとなると」
うーん、と一津さんは唸ってみせた。
「でも、今日アカリちゃんがいてくれてよかったです。ありがとうございます」
にこ、と一津さんは笑った。
この笑顔にあたしは弱いんだよなー。
「一津さんのお役に立てるならなによりです!」
「アカリちゃんに一つ言っておかなければいけませんね」
なんだろう?
「私は新が好きで声優になりました。
でも恋は叶いませんでした」
「そうだったんですか?!」
あたしはびっくりして叫んでしまった。
一津さんは頷く。
「私達って似ていますよね?」
お互い好きだった人を失っている。
あたしは頷いていた。
「アカリちゃん、私達も幸せになりましょう」
「はい」
その方法はあまりにも漠然としている。
あたしはどうしたら幸せになれるの?
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