くまさんのマッサージ♡

はやしかわともえ

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くまさんのマッサージ♡3(翼のこと①)

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すっかり秋になり、朝や晩は随分と冷えるようになってきている。昼間はまだ暑いくらいなので、気温差で、体調管理が特に難しい時期だ。明け方は特に寒くなるので、翼はこの時間帯になると必ず目を覚ましてしまう。

「翼さん、起きちゃったんだね」

翼が動く気配で大地まで起こしてしまうのも毎晩の恒例になってしまっている。

「ごめんね、大地君」

「ううん、翼さん、抱っこしようか?ほら、俺温かいし。朝になったら湯たんぽ出そうね」

「でも、大地君大変じゃない?」

「翼さんがよく眠れるほうが大事だよ」

大地がそう言って抱き寄せてくれる。

「翼さん抱っこしてると安心する。いい匂いだし」

「嗅いじゃやだぁ」

「可愛いよ、翼さん」

ちゅ、と額にキスをされて翼はひし、と大地にしがみついた。確かに大地は温かい。大地はその後、すぐ寝入ってしまった。翼もだんだんうとうとしてくる。気が付けばスマートフォンにかけていたアラームが鳴っていた。

「う、ううーん」

翼は体を起こして、大地に教わった肩のストレッチを始めた。このストレッチは、姿勢の改善にも役立つらしい。

「翼さん、おはよう。ストレッチして偉いね」

よしよしと頭を撫でられる。

「大地君おはよう。毎日起こしちゃってごめんね」

「ううん。大丈夫だよ。湯たんぽ用意したからね」

はい、と手渡されたのはキャラクターの形をした湯たんぽだ。冬になると登場する翼のお気に入りである。既に熱いお湯が入っているのか温かい。翼はそれをぎゅっと抱き締めた。柔らかいのもお気に入りのポイントの一つだ。

「ありがとう。大地君」

「ご飯にしよう。翼さん、今日昼に打ち合わせなんでしょう?」

そういえばそうだったと翼はハッとなった。

「すっかり忘れてた」

「お、俺、役に立ったかな」

「大地君は一家に一人いると助かるよ」

「そんなに?」

大地が噴き出している。とりあえず朝食を食べようと2人は食卓に着いた。

「え、お粥?」

「うん、温かいもの食べたいかなって。鶏肉でチャーシュー作ったから好きな分乗せてね。ネギもあるし」

「大地君すごーい」

「翼さんにだから出来るんだよ?」

「いつもありがとう」

いただきますをして、早速翼はチャーシューに齧りついてみた。香辛料が効いているのか、ピリッとした味わいだ。だがそれが美味い。

「美味しい!」

「良かった。お粥は熱いから気を付けて食べてね」

「はーい」

ふうふうと息を吹きかけ冷ましながら粥を頬張る。絶妙な塩加減だ。

「うわぁ、これも美味しい」

「いっぱい食べてね」

「うん」

結局翼は2回粥をお替りした。沢山あった鶏肉のチャーシューも全て胃の中に収まってしまっている。

「ごちそうさまでした」

「翼さん、後片付け頼んで良い?今日早く出たいんだよね」

「任せて」

翼は自分の胸を叩いてみせた。大地にいつもの通りキスをしてもらい、翼は食器を持って洗い場に向かった。

「大地君、ほとんど片付けてくれたんだ」

食洗機の中も覗いてみたが、綺麗に片付いている。

「大地君に甘えっぱなしだなぁ、俺」

このままでは良くないと翼は頭を振った。

「よし、今日から頑張るぞ!」
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