最恐ダンジョンの薬師姫

はやしかわともえ

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薬草を求めて

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ルリアはハッと目を覚ました。昨日、荷物をまとめてラヴィアンの住む屋敷に引っ越したのだ。ルリアにあてがわれた部屋は広く、住みやすそうだと思ったことも覚えている。起き上がり改めて部屋を見渡すと、大きなクローゼットがあることに気が付いた。
「ルリア様、朝のお食事ですよー」
「はーい」
後で荷物は片付けることにして、ルリアは階下に降りた。ローズの作る食事が美味しいことは確定している。今日はなんだろうとわくわくしながら食卓につくと、既に料理が並んでいた。
「召し上がってくださいね?」
「はーい、いただきます。あの、ラヴィアンは?」
「ラヴィアン様は朝が弱いんですよ。もうちょっと寝かせておきましょう」
「へー」
あのラヴィアンにも弱点が、とルリアは思いながら食べ始めた。ふわふわの甘いパンにジャムをたっぷり塗り付けて頬張る。
「ふわ、美味い」
「そのジャム、私が作ったんですよ」
「美味しいよ、ローズ」
「ふふ、良かった」
ルリアは熱いスープを飲み干して、ふうと息を吐いた。
「ごちそうさまでした」
「おはよう、ルリア、ローズ」
ふらふらしながらラヴィアンがやってくる。朝が弱いのは本当らしい。
「ラヴィアン様、おはようございます」
「おはよう、ラヴィアン」
ラヴィアンはなんとかといった様子で食卓についた。ローズがお茶を淹れてくれたので、ルリアもそれを飲む。
「ルリア、今日は薬草探しに行くか」
「エリクサー作れるの?」
「最近探しに行かないから確かなことは言えないが確実に上級薬は作れる」
「すごい」
上級薬でもかなりの高級品になる。だからこそルリアはそれを安く提供したかった。
「まずはお前の目を治すのが先だ。薬草を探しながら戦う訓練もしような」
ルリアは楽しみになってきた。自分が冒険者として、一歩踏み出した気がしたからだ。

屋敷を出て少し歩くと山の中に入った。日差しが柔らかく気持ちがいい。
「あれ?」
歩きながらルリアはふと思った。
「モアレナのダンジョンって25階層が最深部って聞いていたけれど…ここって…?」
ルリアがラヴィアンを見つめると彼はにこにこ笑っている。
「ここ、モアレナのダンジョンは最恐で最強ってことでダンジョン界隈では有名でな」
ルリアは足場が崩れたかのような錯覚を覚えた。ラヴィアンはそんなルリアを気にせず続ける。
「つまり、君がここで鍛えれば自然と最強になるわけだ。どうだ?憧れるだろう?」
「俺、ここで死んじゃうの?だって激弱のヘタレ薬師なんだよ?」
「大丈夫、必ず君は強くなる。自分を信じろ。ほら、薬草の群生地だ。採取するか」
ラヴィアンに示されてルリアは本当だと薬草を採取し始めた。
「え、上ヒール草がこんなに生えているなんて!これなら上級薬が沢山作れるよ」
ルリアはそれでも全ては採取しなかった。人間の存在が自然界のバランスを崩してしまっていることは間違いない。
「ルリア、ちょうどいい相手が来たぞ」
ルリアはハッと臨戦態勢を取った。小型の竜型魔獣である。
そこまで強くないが群れで行動するので、なかなか厄介な相手だ。
「ルリア、俺が前に出よう。後ろから狙え」
「分かった」
ルリアは戦士タイプか魔法使いタイプのどちらかといえば、魔法使いタイプだった。魔力量は標準並みだが、属性魔法は多く使える。
ルリアは愛用の杖を出現させた。こんな時のために貯めに貯めた小遣いで購入したものだ。ラヴィアンがルリアに攻撃が当たらないようしっかりガードしてくれている。ルリアは安心して詠唱が出来た。
「蒼き炎よ、舞え!!」
「ギャッ」
小型竜たちが次から次へと倒れていく。全て倒した時にはルリアは疲弊しきっていた。その場に座り込む。
「大丈夫か?ルリア」
まだ息が切れているルリアをラヴィアンが抱き上げた。いわゆるお姫様抱っこである。本当は恥ずかしかったが、抵抗する体力も残っていなかった。
「ルリア、今日は帰ろう。君は薬草を調合して飲まなくては」
「うん、そうだね」
屋敷に戻ると風呂の支度ができているという。ラヴィアンに一緒に入ろうと熱烈に誘われて、ルリアは断れなかった。
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