最恐ダンジョンの薬師姫

はやしかわともえ

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ダンジョン探索

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ルリアは杖を手に辺りを見渡した。ここはモアレナダンジョン1層目である。まだ一番最初ということもあり、最恐と呼ばれるダンジョンでも、易しい設定になっている。
「ルリア、まずは探知魔法を覚えよう」
「探知魔法?」
「あぁ。鑑定魔法と同時に使えると便利だぞ。まずは身体に流れる魔力を意識して」
ルリアは魔力に注意を向けた。
「それをこの辺り一帯に広げるイメージだ」
ルリアの中にあらゆる情報が一気に入ってくる。それに驚いてふらつくと、ラヴィアンが支えてくれた。
「慣れるまで何度もやるんだ。だんだん範囲を広げられる」
「分かった、やってみる」
ルリアは再び魔力を放出した。小型のモンスター、サンダーキースが数体、こちらに近寄ってきているのが分かる。
「永久に凍結せよ!」
ルリアはすかさず魔法を放ち、キースを凍らせた。氷が砕けキースが絶命する。
「いいぞ、ルリア。右目も段々回復しているみたいだしな」
ラヴィアンの言う通り、ルリアの目は光を取り戻している。まだ視力こそ低いが、大体のことは分かるようになってきていた。ルリアは再び探知魔法を発動してみた。先程より色々なことが分かる。
「ルリア、せっかくだから一緒に鑑定も教える。まず相手をよく視認するんだ」
ルリアはぴょこぴょこ近付いてきたスライムを見た。
「はじめのうちは詠唱がいる。鑑定って唱えるんだ」
「鑑定!」
ルリアが詠唱するとスライムの情報が現れた。
「ポイズンスライム?直接攻撃すると毒になるんだー。うわー、やだー」
「なら、どうやって倒す?」
「えーと、直接がダメなら、魔法かな?あ!魔法防御が高いんだね」
「そうなんだ、ポイズンスライムはこの階層のボスクラスに値するからな。ここで役立つのがマジックアローだ」
「マジックアロー?」
「魔力を矢にかえるんだ。はじめは難しいと思うけどな」
こうだ、とラヴィアンが何度か手本を見せてくれた。ポイズンスライムが貫かれて潰れていく。ルリアはしばらく練習したがなかなか出来なかった。
「んー、出来ないー」
「大丈夫。まだ教えたばかりで急に出来たら俺の苦労はどうなる?」
「ラヴィアンに苦労って似合わないなぁ」
「こう見えて沢山悔しい思いをしてきてるんだぞ」
「ラヴィアンは頑張ったんだね。俺も頑張らなくっちゃ」
「よし、今日はここまでだ。マジックアロー、探知と鑑定魔法の練習をするんだ。これは宿題だぞ」
「はい、ありがとうございました。師匠」
ルリアはそう言って頭を下げた。
「ルリアに師匠って言われると照れるな」
ぽり、とラヴィアンが、頬を掻く。
「ラヴィアンは俺の師匠だよ。大好きなの」
「さりげなく可愛いこと言わないでくれ。俺も大好きだけどな」
2人はダンジョン100階層目の屋敷に戻ってきている。
「ルリア、おいで。君に見せておきたいものがある」
ラヴィアンの執務室に2人はいた。ラヴィアンが先程の封筒を取り出し、ペーパーナイフで封を開ける。
ぽん、と軽い音がして大量の書類と、一通の便せんが現れた。
「これが雑務?いっぱいあるねー」
「あぁ。毎日ちまちまやるやつだ。で、こっちが本題の招待状だな」
「俺、招待状って初めて見る」
ラヴィアンがルリアによく見えるように招待状を傾けてくれた。そこには国王の誕生祭パーティーについて書かれている。文末には必ず出席するようにと書かれていた。
「ラヴィアンはモアレナの国王様と仲良しなの?」
「まさか。その部下に目をつけられてしまってな」
「ラヴィアン、苦労してるんだね」
「そうだろう?とりあえず誕生祭用に花束を用意するか」
「俺もお花選ぶ!!」
「ルリアの選んだ花束は俺が欲しいけどな」
苦笑されて、それもそうかとルリアは納得した。
「でも俺も一緒にパーティーに出るんだしいいよね?」
「ありがとう、ルリア」
ルリアはふんす、と張り切った。
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