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その他
じゃがいもの陣
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夕方、仕事から家に帰ると、大きな段ボールが宅配ボックスに入っていた。
「よいしょっと」
段ボールを抱えて家の中に入る。このみかんの段ボールには見覚えがある。
伝票を見ると真司さんのお父さんの名前が書かれている。思っていた通りだ。
箱を開けると大量の玉ねぎとジャガイモが入っていた。
「助かるなあ」
俺はそう思わず呟いていた。今はなんでも物価が上がっていて、いろいろ我慢をしなければいけない。
でも食事くらい沢山美味しいものを食べたい。毎食自炊をしているのはそれが大きな理由だ。
今日は豚汁決定だな。あとは鶏もも肉を使って炊き込みご飯を作ろう。そうだ、真司さんに野菜が来たってメッセージを送っておこう。
俺はそう思ってソファに置いておいたスマートフォンを手に取った。ん?千尋さんからメッセージが来ている。
【お疲れ。これから家に行っていいか?】
千尋さんのことだ。なにかあったんだって思った。俺は待っていると返信した。軽く掃除をしてお茶の準備をする。今日はお茶請けにバターサンドクッキーがある。この間取り寄せたばかりものだ。
前から気になっていて予約待ちをしてようやく手に入れた。
真司さんと二人で食べてみたら予想以上に美味しくてまた注文してしまった。今回は割とスムーズに買えそうだ。
仕度を終えた頃、インターホンが鳴る。モニタを見ると千尋さんだった。グッドタイミング。
玄関のドアを開けて中に入ってもらう。
「お邪魔します」
「千尋さん、コートとマフラーお預かりします」
「ああ。ありがとう」
千尋さんがリュックを背負っているなんて初めて見たかもしれない。やっぱりなにかあったんだな。
「あき、この段ボール」
しまった。さっき送ってもらったやつを片づけ忘れていた。千尋さんがリュックを下ろしてソファに座る。
俺はお茶とバターサンドを出した。
「なにかあったんですか?」
一応尋ねると千尋さんはしばらく考えていた。そしてリュックサックから何かを取り出す。タッパーかな。
「なああき、今ってじゃがいもが旬だろ?」
「そうですね」
「俺の家にも腐るほどいもがある」
「え」
そう言って千尋さんが手渡してきたのは大量のポテトサラダが入ったタッパーだった。1キロはあるかもしれない。
「おすそ分けって思ったんだけどお前の家にもじゃがいもが大量にあるのな」
「千尋さんのお母様、確か家庭菜園をされてるって」
「そうなんだ。山ほど取れたからってこの間送ってきた。なるべく捨てたくないから毎日山ほどいもを食べてる」
「わかります。でも俺、千尋さんの作ったポテサラ気になります」
「これ食べてくれるか?」
「もちろんです。ポテトサラダって手間かかりますよね。一品になるし頂けると嬉しいです」
俺の言葉に千尋さんがホッとしたような顔をする。
「良かった。芋もちも作ったんだ。加那が割と気に入ってくれて毎日おやつに食べてる」
「え、芋もちもあるんですか?嬉しい」
千尋さんすごいな。確か芋もちも相当手間がかかるはずだ。タッパーを受け取るとまだほんのり温かい。
「さっき作ったけど今日中に食べてくれ」
「ありがとうございます」
お礼になにかと思ったけれどあいにく何もない。
「千尋さん、また加那さんと遊びに来てください。ご飯作って待ってます」
「ありがとな」
千尋さんに頭をぽむぽむされるとくすぐったい気持ちになる。
「じゃ、真司さんによろしくな」
千尋さんは今日もイケメンだった。
おわり
(いつも思うけど、なんだ?この話)
「よいしょっと」
段ボールを抱えて家の中に入る。このみかんの段ボールには見覚えがある。
伝票を見ると真司さんのお父さんの名前が書かれている。思っていた通りだ。
箱を開けると大量の玉ねぎとジャガイモが入っていた。
「助かるなあ」
俺はそう思わず呟いていた。今はなんでも物価が上がっていて、いろいろ我慢をしなければいけない。
でも食事くらい沢山美味しいものを食べたい。毎食自炊をしているのはそれが大きな理由だ。
今日は豚汁決定だな。あとは鶏もも肉を使って炊き込みご飯を作ろう。そうだ、真司さんに野菜が来たってメッセージを送っておこう。
俺はそう思ってソファに置いておいたスマートフォンを手に取った。ん?千尋さんからメッセージが来ている。
【お疲れ。これから家に行っていいか?】
千尋さんのことだ。なにかあったんだって思った。俺は待っていると返信した。軽く掃除をしてお茶の準備をする。今日はお茶請けにバターサンドクッキーがある。この間取り寄せたばかりものだ。
前から気になっていて予約待ちをしてようやく手に入れた。
真司さんと二人で食べてみたら予想以上に美味しくてまた注文してしまった。今回は割とスムーズに買えそうだ。
仕度を終えた頃、インターホンが鳴る。モニタを見ると千尋さんだった。グッドタイミング。
玄関のドアを開けて中に入ってもらう。
「お邪魔します」
「千尋さん、コートとマフラーお預かりします」
「ああ。ありがとう」
千尋さんがリュックを背負っているなんて初めて見たかもしれない。やっぱりなにかあったんだな。
「あき、この段ボール」
しまった。さっき送ってもらったやつを片づけ忘れていた。千尋さんがリュックを下ろしてソファに座る。
俺はお茶とバターサンドを出した。
「なにかあったんですか?」
一応尋ねると千尋さんはしばらく考えていた。そしてリュックサックから何かを取り出す。タッパーかな。
「なああき、今ってじゃがいもが旬だろ?」
「そうですね」
「俺の家にも腐るほどいもがある」
「え」
そう言って千尋さんが手渡してきたのは大量のポテトサラダが入ったタッパーだった。1キロはあるかもしれない。
「おすそ分けって思ったんだけどお前の家にもじゃがいもが大量にあるのな」
「千尋さんのお母様、確か家庭菜園をされてるって」
「そうなんだ。山ほど取れたからってこの間送ってきた。なるべく捨てたくないから毎日山ほどいもを食べてる」
「わかります。でも俺、千尋さんの作ったポテサラ気になります」
「これ食べてくれるか?」
「もちろんです。ポテトサラダって手間かかりますよね。一品になるし頂けると嬉しいです」
俺の言葉に千尋さんがホッとしたような顔をする。
「良かった。芋もちも作ったんだ。加那が割と気に入ってくれて毎日おやつに食べてる」
「え、芋もちもあるんですか?嬉しい」
千尋さんすごいな。確か芋もちも相当手間がかかるはずだ。タッパーを受け取るとまだほんのり温かい。
「さっき作ったけど今日中に食べてくれ」
「ありがとうございます」
お礼になにかと思ったけれどあいにく何もない。
「千尋さん、また加那さんと遊びに来てください。ご飯作って待ってます」
「ありがとな」
千尋さんに頭をぽむぽむされるとくすぐったい気持ちになる。
「じゃ、真司さんによろしくな」
千尋さんは今日もイケメンだった。
おわり
(いつも思うけど、なんだ?この話)
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