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8・試験期間
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試験期間まで間もなくだ。慧は保と一緒に試験勉強をしていた。あれから少しずつだがどちらかの家で性的な行為をするようになってきている。慧の体は保の手によってどんどん敏感になってきていた。保はそんな慧をますます甘やかしてくれる。まるでお姫様みたいな扱いに慧は少し戸惑っているが、よく考えれば保は自分をずっとお姫様のように扱っていたと今更気が付いた。それは自分だけの特別だと思っていいのだろうかと慧は未だに聞けずにいる。
「保の教科書、漢字だらけだなあ」
「慧の教科書は植物の写真がいっぱいだね」
法学部と農学部では習う科目ももちろん違う。共通科目にももちろん試験があるので慧はそれの勉強計画も立てていた。そのスケジュールを保に見せたところ、偉いと褒められた。
「慧、毎日目立つ子がウチの大学の図書室で勉強してるって噂になってるの知ってる?」
おかしそうに保が言うので慧は首を傾げた。
「なんだそりゃ?勉強に目立つとか関係あるのか?」
保がとうとう噴き出した。
「それ慧のことだから。邪魔しないであげてって一応周りに釘刺したけど」
「ああ、保のお陰か。静かになったなって思ってた。でも俺はまだ自分を究めていないんだ」
だからまだまだなんだと慧が真顔で言うと、保も真顔になる。
「慧は将来どうなりたいの?」
「そりゃじーちゃんの農業継ぎたいけど卒業したら保は都内に行くのか?」
急に心配になった。保と距離が近くなったことで出来るなら離れたくないという気持ちが強くなってきている。まだ大学生になったばかりだが、時の流れは思うより早い。
「まずは事務所に就職しないとねえ。近くで探してるけど」
どうやら保はもう未来に向けて動き出しているらしい。慧は目を瞠った。
「すげえな保」
「それほどでも。慧と一緒にいたいからねえ」
どきんと不覚にもときめいてしまった。保をじいっと見つめると保が笑って頭を撫でて来る。
「慧は俺と暮らすとしたらどう?」
慧は恥ずかしくなったが、大好きな保にはちゃんと答えたい。
「その・・俺は農家になるわけだけど嫌じゃないのか?」
不安になって尋ねたら保が首を傾げている。
「農家さんはすごいと思うけどなあ」
保がこういう男であることを慧はすっかり失念していた。
「そうなんだ、農家ってすげえんだぜ!」
最近ゼミで近くの農園の見学に行って実際作業をやらせてもらった。そこはハウス内であらゆる品種の苺をつくっている。丸々とした苺が沢山生っており味見もさせてもらえた。
慧の祖父母の畑でも苺を作っているので慧は作業が一通りできた。繁忙期に手伝いに来て欲しいと頼まれたくらいだ。
「苺の繁忙期って…」
「そりゃクリスマスだろ。ケーキの需要がすげえからな!あとは春だな!夏に生る苺もあるけど」
「慧、大忙しだねえ」
「やらせてもらえるって有り難いよなぁ。俺みたいな素人に給料くれるって」
慧がぐっと拳を握ると保が笑う。
「慧はすごいよ」
「え?」
慧がびっくりして保を見つめると彼は寂しそうに笑った。
「俺はまだ何もできないからさ。今はただがむしゃらに勉強してるだけだよ」
「それってめちゃくちゃすごくないか?」
今度は保がぽかん、とする。
「だって保がしてる勉強、俺には魔法の呪文みたいなんだぜ?それをずっと勉強するなんて俺には出来ねえと思うし、努力するってその人の才能だと思うんだ」
「慧……」
ぎゅううと保に抱き締められた。どきり、とするが、そのまま保に体を委ねてみる。保のがっしりしたたくましい体に安心した。
「どうしよう、慧がめちゃくちゃ愛おしくてキスしたい」
慧は保に顔を近づけた。
「したらいいだろう?」
保の顔が赤くなっている。珍しいなと慧は間近で保の顔を見つめた。保は大きく息を吐いた。
「はぁぁ、本当好き。慧ってなんでこう、物凄くいい子なんだろう」
「俺がいい子?何言ってんだお前?」
慧が首を傾げるとそうゆうとこだと言われキスされていた。
「慧、ごめん。もう少しぎゅってさせて」
「保が満足ならいいけどな」
保は自分に物凄く甘い。おそらくそれが保の愛情表現なんだろう。
「保は他人を甘やかし過ぎだから気を付けなきゃ駄目だぞ」
ふにふに彼の唇を指で突いたら、え?と保に見つめられた。
「俺が甘やかすのは慧だけだよ?他の人には割と厳しいんじゃないかな」
どうやら墓穴を掘ってしまったようだと慧は気が付いたがもう遅い。かあっと顔が熱くなる。
「た、保、他の人にも優しくな」
「それは慧に一番言われたくない」
「俺も周りの奴らに優しくするから!」
「それもなんか嫌」
保は口元こそ笑っているが、目は笑っていない。
「保!俺はどうすれば良いんだ!」
「慧、試験終わったらデートいこ。映画でも遊園地でも喫茶店でも」
「へ、いいけど…」
保にこうして誘われるのが嬉しくないはずがない。
「なら試験は尚更頑張らないとな」
「うん。俺もやる気出た。ありがとう、慧」
保の瞳に炎が揺らめいた気がする。自分も負けていられないと慧も覚悟を決めた。
「保の教科書、漢字だらけだなあ」
「慧の教科書は植物の写真がいっぱいだね」
法学部と農学部では習う科目ももちろん違う。共通科目にももちろん試験があるので慧はそれの勉強計画も立てていた。そのスケジュールを保に見せたところ、偉いと褒められた。
「慧、毎日目立つ子がウチの大学の図書室で勉強してるって噂になってるの知ってる?」
おかしそうに保が言うので慧は首を傾げた。
「なんだそりゃ?勉強に目立つとか関係あるのか?」
保がとうとう噴き出した。
「それ慧のことだから。邪魔しないであげてって一応周りに釘刺したけど」
「ああ、保のお陰か。静かになったなって思ってた。でも俺はまだ自分を究めていないんだ」
だからまだまだなんだと慧が真顔で言うと、保も真顔になる。
「慧は将来どうなりたいの?」
「そりゃじーちゃんの農業継ぎたいけど卒業したら保は都内に行くのか?」
急に心配になった。保と距離が近くなったことで出来るなら離れたくないという気持ちが強くなってきている。まだ大学生になったばかりだが、時の流れは思うより早い。
「まずは事務所に就職しないとねえ。近くで探してるけど」
どうやら保はもう未来に向けて動き出しているらしい。慧は目を瞠った。
「すげえな保」
「それほどでも。慧と一緒にいたいからねえ」
どきんと不覚にもときめいてしまった。保をじいっと見つめると保が笑って頭を撫でて来る。
「慧は俺と暮らすとしたらどう?」
慧は恥ずかしくなったが、大好きな保にはちゃんと答えたい。
「その・・俺は農家になるわけだけど嫌じゃないのか?」
不安になって尋ねたら保が首を傾げている。
「農家さんはすごいと思うけどなあ」
保がこういう男であることを慧はすっかり失念していた。
「そうなんだ、農家ってすげえんだぜ!」
最近ゼミで近くの農園の見学に行って実際作業をやらせてもらった。そこはハウス内であらゆる品種の苺をつくっている。丸々とした苺が沢山生っており味見もさせてもらえた。
慧の祖父母の畑でも苺を作っているので慧は作業が一通りできた。繁忙期に手伝いに来て欲しいと頼まれたくらいだ。
「苺の繁忙期って…」
「そりゃクリスマスだろ。ケーキの需要がすげえからな!あとは春だな!夏に生る苺もあるけど」
「慧、大忙しだねえ」
「やらせてもらえるって有り難いよなぁ。俺みたいな素人に給料くれるって」
慧がぐっと拳を握ると保が笑う。
「慧はすごいよ」
「え?」
慧がびっくりして保を見つめると彼は寂しそうに笑った。
「俺はまだ何もできないからさ。今はただがむしゃらに勉強してるだけだよ」
「それってめちゃくちゃすごくないか?」
今度は保がぽかん、とする。
「だって保がしてる勉強、俺には魔法の呪文みたいなんだぜ?それをずっと勉強するなんて俺には出来ねえと思うし、努力するってその人の才能だと思うんだ」
「慧……」
ぎゅううと保に抱き締められた。どきり、とするが、そのまま保に体を委ねてみる。保のがっしりしたたくましい体に安心した。
「どうしよう、慧がめちゃくちゃ愛おしくてキスしたい」
慧は保に顔を近づけた。
「したらいいだろう?」
保の顔が赤くなっている。珍しいなと慧は間近で保の顔を見つめた。保は大きく息を吐いた。
「はぁぁ、本当好き。慧ってなんでこう、物凄くいい子なんだろう」
「俺がいい子?何言ってんだお前?」
慧が首を傾げるとそうゆうとこだと言われキスされていた。
「慧、ごめん。もう少しぎゅってさせて」
「保が満足ならいいけどな」
保は自分に物凄く甘い。おそらくそれが保の愛情表現なんだろう。
「保は他人を甘やかし過ぎだから気を付けなきゃ駄目だぞ」
ふにふに彼の唇を指で突いたら、え?と保に見つめられた。
「俺が甘やかすのは慧だけだよ?他の人には割と厳しいんじゃないかな」
どうやら墓穴を掘ってしまったようだと慧は気が付いたがもう遅い。かあっと顔が熱くなる。
「た、保、他の人にも優しくな」
「それは慧に一番言われたくない」
「俺も周りの奴らに優しくするから!」
「それもなんか嫌」
保は口元こそ笑っているが、目は笑っていない。
「保!俺はどうすれば良いんだ!」
「慧、試験終わったらデートいこ。映画でも遊園地でも喫茶店でも」
「へ、いいけど…」
保にこうして誘われるのが嬉しくないはずがない。
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