僕と君を絆ぐもの

はやしかわともえ

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一話おまけ

報告①

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「んで?結局はうまくいったと」

隣の千尋が僕の頭を撫でながら言う。
僕たちは裸で抱き合っていた。
そう、さっきまでシていた。
僕は口を開くのもだるくなって、千尋にしがみついた。
千尋の体力バカ。
いつか抱かれすぎて死ぬんじゃないかと思う。

「ごめん、やりすぎた」

千尋が笑って言う。これは全然反省していないな。
僕はため息をついた。小声で言ってやる。


「千尋の馬鹿」

「悪かったって。それに詳しいこともっと教えろよ」

「だから本に触ると読んでいる人の記憶が見えるの」

「それすごいよな」

「そうかな?」

「だって思念を読み取れるってことだろ?」

僕は頷いた。

「でも本しか読み取れない」

「十分だろ」

千尋は僕の力を知っても利用してやろうとか思わないんだな。
そこが好きなんだけど。
まあ千尋は自分でなんでもできるわけだしね。

「いいよね、千尋は」

嫌味を込めて言ったら軽く小突かれた。

「もう一回するか?」

「するわけない」

もう一度したら絶対死ぬ。

「僕、寝るからね」

「なあ、加那」

千尋の声音が真面目になって僕はおや?と思った。

「マンション欲しいか?」

「はあ?」


おわり
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