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千晶の欲しい物
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「へー。面白いイベントだな」
「うん。あきくん、どうしても欲しい子がいるみたいで」
その日の夜、家に帰ってきた千尋と一緒にピザを選んで頼んだ。
宅配ピザを頼むのはすごく久しぶりで、使えるクーポンはないかと家中を探し回ってしまった。結果、ドリンクの無料クーポンを発掘した。千尋は基本的に無駄遣いが嫌いだ。節約できるものは節約する主義である。だからこそ宅配ピザはご馳走である。
加那太は久しぶりの宅配ピザが嬉しくてしょうがない。子供っぽいかなとも思うのだが、自宅には千尋しかいないので、素直に喜ぶことにする。
二人共どちらかといえばよく食べるので、LサイズとMサイズを一枚ずつ頼んだ。
ピザにもいろいろな種類がある。
二人でどれにしようと話しながら決めるのは楽しかった。
「千尋、行きたくない?プラモデル興味ないもんね?」
「いや、この操縦やってみたい」
「あ、それね!」
千尋が自分のPCの画面をこちらに向けてくれる。どうやらイベントについて検索してくれたらしい。
それはロボットのコックピットに乗って、戦いを体験できるというものだった。
確かそれは千晶もやってみたいと先程のメッセージで言っていた。
「で、あきが欲しいやつは前半の期間にしかないのか?」
「そうなんだよ。絶対手に入れてあげたい。というか僕も欲しい」
千晶は電磁の翼を持つロボットのプラモデルが欲しいのだと言っていた。
加那太もひと目見て、それがいいなと思ったのである。他のロボットは赤や黄色と割と派手なので、どちらかと言えば渋いものだ。
加那太の好みが千晶に伝染しつつある。それがなんだか申し訳ない加那太である。
自分の好きな機体は大抵売れ残り、在庫一斉処分の時に棚にずらっと並べられる運命になる。
はじめはたまたまかと思っていたが、そんなことはなかった。
「分かった。じゃあ旅行がてらそこに行くか」
驚くほどトントン拍子で話が決まる。
千尋は基本的に加那太のしたいことを優先させてくれる。時々申し訳なくなるが、千尋はそれがいいらしい。
優しい彼氏に加那太は心の中で拝んだ。
「加那、これはデートなんだから可愛い服着てけよ?」
「え!可愛い服なんて持ってな…あ」
この間、服屋で千尋に見繕ってもらった服がある。それを着ろということだろう。
「加那の写真いっぱい撮ろう。データ整理しないとな!」
千尋はすっかり張り切っている。
二人きりでこうして出掛けるのは久しぶりである。
毎日二人で生活しているが、最近は仕事であまり一緒にいられなかったから余計だ。
千尋に最後に抱かれたのはいつだったかと思い出して、加那太は一人赤くなった。
旅行に行くということはそういうことも込みなのだろう。千尋とセックスすればするほど、その行為にのめり込んでしまう自分が加那太は怖かった。
だがそんな加那太を安心させてくれるのも千尋だ。
「加那、宿取れたぞー」
千尋の仕事があまりに早すぎる。加那太はそこでようやく、本当に旅行に行くんだと実感した。
飼い猫のタマは加那太の実家に預ける事になった。なにか母親にお土産を買っていこうと決める。
プラモデルの祭典「プラフェスタ」は入場にチケットが必要らしい。千尋がそれもネットで購入してくれた。
これであとは行くだけである。
日程的にはまだ先だが、加那太はわくわくが止まらなかった。
千晶にも伝えなければ。
「うん。あきくん、どうしても欲しい子がいるみたいで」
その日の夜、家に帰ってきた千尋と一緒にピザを選んで頼んだ。
宅配ピザを頼むのはすごく久しぶりで、使えるクーポンはないかと家中を探し回ってしまった。結果、ドリンクの無料クーポンを発掘した。千尋は基本的に無駄遣いが嫌いだ。節約できるものは節約する主義である。だからこそ宅配ピザはご馳走である。
加那太は久しぶりの宅配ピザが嬉しくてしょうがない。子供っぽいかなとも思うのだが、自宅には千尋しかいないので、素直に喜ぶことにする。
二人共どちらかといえばよく食べるので、LサイズとMサイズを一枚ずつ頼んだ。
ピザにもいろいろな種類がある。
二人でどれにしようと話しながら決めるのは楽しかった。
「千尋、行きたくない?プラモデル興味ないもんね?」
「いや、この操縦やってみたい」
「あ、それね!」
千尋が自分のPCの画面をこちらに向けてくれる。どうやらイベントについて検索してくれたらしい。
それはロボットのコックピットに乗って、戦いを体験できるというものだった。
確かそれは千晶もやってみたいと先程のメッセージで言っていた。
「で、あきが欲しいやつは前半の期間にしかないのか?」
「そうなんだよ。絶対手に入れてあげたい。というか僕も欲しい」
千晶は電磁の翼を持つロボットのプラモデルが欲しいのだと言っていた。
加那太もひと目見て、それがいいなと思ったのである。他のロボットは赤や黄色と割と派手なので、どちらかと言えば渋いものだ。
加那太の好みが千晶に伝染しつつある。それがなんだか申し訳ない加那太である。
自分の好きな機体は大抵売れ残り、在庫一斉処分の時に棚にずらっと並べられる運命になる。
はじめはたまたまかと思っていたが、そんなことはなかった。
「分かった。じゃあ旅行がてらそこに行くか」
驚くほどトントン拍子で話が決まる。
千尋は基本的に加那太のしたいことを優先させてくれる。時々申し訳なくなるが、千尋はそれがいいらしい。
優しい彼氏に加那太は心の中で拝んだ。
「加那、これはデートなんだから可愛い服着てけよ?」
「え!可愛い服なんて持ってな…あ」
この間、服屋で千尋に見繕ってもらった服がある。それを着ろということだろう。
「加那の写真いっぱい撮ろう。データ整理しないとな!」
千尋はすっかり張り切っている。
二人きりでこうして出掛けるのは久しぶりである。
毎日二人で生活しているが、最近は仕事であまり一緒にいられなかったから余計だ。
千尋に最後に抱かれたのはいつだったかと思い出して、加那太は一人赤くなった。
旅行に行くということはそういうことも込みなのだろう。千尋とセックスすればするほど、その行為にのめり込んでしまう自分が加那太は怖かった。
だがそんな加那太を安心させてくれるのも千尋だ。
「加那、宿取れたぞー」
千尋の仕事があまりに早すぎる。加那太はそこでようやく、本当に旅行に行くんだと実感した。
飼い猫のタマは加那太の実家に預ける事になった。なにか母親にお土産を買っていこうと決める。
プラモデルの祭典「プラフェスタ」は入場にチケットが必要らしい。千尋がそれもネットで購入してくれた。
これであとは行くだけである。
日程的にはまだ先だが、加那太はわくわくが止まらなかった。
千晶にも伝えなければ。
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