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心海、アシスタントデビューする。(律×心海)
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「ここ、お帰り。随分遅かったじゃねーか」
田村律と新田心海は大学2年生だ。2人は幼馴染みで都会に上京して一緒に暮らしている。家事は分担してすることになっており、今日の夕飯は律が作ることになっていた。
「りっくん!どうしよう!」
入ってくるなり、心海が背負っていたリュックサックをどさっと落とす。
「ど、どうしたんだよ?」
律が問うと、心海がスマートフォンを操作しだす。ん、と見せられて律は驚いた。よく見ると、それはカレンダーだ。明日からゴールデンウィークに入るのだが、予定欄にアシスタントのバイトと記入されている。
「ん?アシスタントって…?」
「プロの漫画家さんのお手伝いに行けることになったの!今日遅かったのそれの打ち合わせ」
「はぁ?すごいじゃねーか。春コミは?」
「行くよ。コスプレの衣装合わせももうした」
「ゴールデンウィークは休めないな」
ぷは、と律が噴き出すと、心海がそうだよね、と不安気な顔で言ってくる。
「なんだよ、楽しみじゃないのか?」
律が尋ねると、心海がそれがねとスマートフォンを操作し始める。
「今ね、このゲームのイベント走っててさ」
「お、お前の推しの福島くんか」
「全力疾走しないと間に合わないの!バイトの休憩中、ご飯食べられないよ」
「ここ、それは食いながらやれ。今、二刀流が流行ってんだろ」
「それは野球でしょー」
膨れる心海の頭を律はぽんぽん撫でた。心海はいつも可愛らしい。
「あ、今日のご飯…」
「おう、シチューにした。意外と簡単だな」
「ありがとう、作ってくれて」
「食おうぜ!」
「うん」
✢
律は食べながら心海の様子を窺った。心海は猫舌ですごく冷まさなければ熱いものを食べられない。
「美味いか?」
律に聞かれて、心海はうんと嬉しそうに笑った。
(本当可愛い顔しやがって)
最近、心海が忙しいのを律も承知している。だが、自分はまだ若い普通の男だ。心海を抱きたいという思いがどんどんせり上がってきている。さて、どうしようと律は考えた。心海が嫌がらずに自分を受け止めてもらうために。
「りっくん、お風呂沸いたよ」
そんなことも知らずに心海がのほほん、と知らせてくる。
「ここ、お前が先に入れ。明日から早いんだろ?」
そうだった、と心海が気が付いたような顔をする。
「ほら、早く入らねえと噛み付くぜ?」
「やだよ!入ってくる!」
ぴゅう、という効果音が正しいというような逃げ方で、律は1人笑ってしまった。
「さて、おかずの作り置きしとくか」
律も明日から学校近くのグラウンドで、サッカーの練習がある。弁当は必須だ。鼻歌を歌いながら卵焼きを焼いていると、心海が風呂から上がったらしい。わあ、と近付いてきた。
「お弁当のおかず?」
「あぁ。お前、甘いのがいいんだろ?おひたしときんぴらも作っておいたからな」
「りっくんすごーい」
心海は元からのんびりした気質だ。だが、呑気に拍手をしている場合ではない。
「ここ、明日の準備済んだのか?早くしろ」
「そうだった!ありがとう、りっくん!」
心海があわあわしながら準備を始めている。律は自分も風呂に入ろうと着替えを持って浴室に向かった。
(あいつ、アシスタントなんて務まるのか?なんでもゆっくりだしマイペースだし。いや、そこが好きなんだけど)
んー、と浴槽に浸かりながら律は考えていたが、成るようにしかならないと結論が出て、考えるのをやめた。風呂からあがると、心海がスマートフォンに絵を描いている。明日の準備が終わって、日課になっているイラストの練習をしているのだろう。心海は描いたイラストをSNSにあげているようだ。
「何描いたんだ?ここ」
律が尋ねると、心海は少し恥ずかしそうにしながらスマートフォンの画面を見せてきた。それは可愛らしい美少女だ。
「へえ、可愛いな」
「この子男だよ?」
「え?男かー、そうかぁー。お前、アシスタントに行くのって…」
「うん、BL作家さんのとこ。雑用でもいいから生原稿見たい!!」
心海の瞳に野望がメラメラと渦巻いている。
「お前、本当好きなんだな」
「うん!」
なら、と律は思ったのだ。律は心海を抱き寄せた。心海はそれに驚いたのか悲鳴をあげる。
「りっくん?!ん…」
唇を奪うと、心海の身体から力が抜けていく。
「っふ…ん…」
舌を口内に侵入させれば、心美の舌と絡み合う。
「ふ…っ…うんん」
キスを解くと、心海の瞳から涙がこぼれる。
「やら、りっくん…恥ずかしい」
「大丈夫だよ、俺たちしかいないんだし。お前、BL好きなのに自分のことは嫌なのかよ」
「だって俺じゃ画面が映えないんだもん」
心海がはじめ何を言っているか理解出来なかったがだんだん霧が晴れてくる。
「お前、自分のしてるとこ妄想してるのか」
心海が顔を真っ赤にしている。
「だってその…えーと…」
両手を身体の前でいじいじしながら心海がぼそぼそ言っている。
「ここ?」
「ひ、1人でしてる時…えっと」
心海は今にも泣き出してしまいそうだ。律もさすがに可哀想だと思い、心海を抱きしめてやる。
「分かったよ、ごめんな。変なこと言って」
「うぅ…りっくん」
心海がしがみついてくる。律は心海の頭をぽふぽふした。
「泣くなって。ほら、もう寝るぞ」
「うん」
2人はそれぞれの自室に戻った。
✢
「よし、出来たっと」
「りっくん!このカッコでいい?」
早朝6時、律は大きな握り飯を握っていた。心海の分は少し小さめに作る。心海の悲鳴に、律は振り返った。
「大丈夫だぞ。ってかお前、可愛いな」
心海はチェック柄のワイドパンツに白のインナー、薄めのロングカーディガンを羽織っている。
「可愛い…かな?」
「気を付けて職場行けよな?」
「はーい」
弁当を作り終えて、朝食を食べる。今日は簡単にお茶漬けだ。昨日律が作ったカボチャの煮物も食べる。
「美味しい」
「いっぱい食えよ」
ペロッと平らげて、2人はごちそうさまをした。
出掛ける支度を整える。
「俺、帰りにスーパー寄るけど欲しいものあるか?」
律がそう尋ねると、心海はしばらく考えて、あ、と口を開いた。
「たまにアイスクリーム食べたい。バニラ味のやつ」
「了解」
2人は駅内で別れた。
✢
「いい天気だな、おい。既に暑いし」
律が天気と気温に文句を言っていると、チームメイトが集まってくる。
「律ー、今日もいっぱい走るだろ?」
どうやら今日も走り込むらしい。律はやれやれと思ったのだった。
✢
心海side
アシスタントとしてスタジオに向かうと、既に作業が始まっていた。
「あ、あの、よろしくお願いします」
心海が緊張しながら挨拶すると、返事が返ってきた。心海のデスクもしっかり用意されている。
なにをすればいいのかと思ったら、ベタを入れる作業だった。
心海はひたすら原稿に向き直った。
「わぁ、生原稿綺麗」
心海が素直にそう漏らすと隣のデスクのアシスタントが笑う。まだ若い男だ。
「君、可愛いね。何歳?」
「あ、20歳です」
「若ーい」
他のアシスタントからも声が上がった。
「ほら、手を動かす」
漫画家に窘められる。心海はベタを塗ることに集中した。
「お疲れ様でした」
心海はなんとかアシスタントをし終えた。明らかに自分は周りより作業ペースが遅い。心海は自分にがっかりしている。
「はぁ。上手くいかないなぁ」
つい涙がポロッと溢れたが、すぐに拳で拭った。
自宅のアパートに戻ると、明かりが点いている。
律はもう帰ってきているらしい。心海はアパートの階段を駆け上がった。
「ただいま」
「おう、ここ。お帰り。アシスタントはどうだったんだ?」
心海はその質問に色々思い出していた。つい涙が溢れてきてしまう。
「俺、駄目だった」
しゃくりあげると、律が頭をポンポン撫でてくれる。
「あのな。ここ?」
「りっくん?」
「最初から何でも出来るやついないだろ?上に行くのに近道はないってお前の推しが言ってたじゃねえか」
「そうだよね。なんでもコツコツなんだ」
「いいこともあっただろ?」
律の言葉に心海も頷いた。
✢
「ここ、触りたいんだ。いいか?」
寝る直前、自室に戻ろうとしたら急に抱き締められていた。
「りっくん、俺で興奮するの?」
はー、と律は思わずため息を漏らす。心海の可愛らしさは心海自身には浸透していないと改めて実感したからだ。
「お前、可愛いのに自覚ないもんな」
そこも好きだけどと付け足すと、心海が顔を赤らめた。
「俺、可愛く見えるんだ?」
「じゃなかったら女装なんて頼まれないだろ」
それもそうかと頷く心海である。
「でも瑛太くんみたいにはいかないよ?」
「あいつと比較すんな」
そう言いながら律は心海の服の中に手を滑り込ませた。
「わぁ、本当にするのー?」
「ここまで来て止まるかよ」
律が心海の後頭部を優しく掴み、唇を重ねる。
「ふ…ん…」
だんだん心海も良くなってきたのかずるずると崩れ落ちた。そんな心海を律は抱え上げる。そのまま自室のベッドに置いた。
心海の上に覆い被さると、心海は既に涙目である。
「なんで泣くんだよ」
「だって思いの外えっちなんだもん」
「現実ってそうなんだぞ」
律が心海の首筋にキスを落とすと、ふるり、と心海は震えた。
「怖いよ、りっくん」
「怖くねえから。ちょっと気持ちよくなるだけだ、安心しろ」
「うん」
心海の服をたくし上げて乳首に吸い付く。心海はギュッと目を閉じて耐えていた。
「痛いか?」
「くすぐったいの」
ぷっくりしてきた乳首を指で弾くと心海が声を上げる。
「やだ、今の何?」
「気持ちよかったんだろ。心海も胸で感じられるようになったんだな」
律がそう茶化すと、心海は顔を真っ赤にした。
「りっくんの意地悪!」
「悪かったよ、続きしようぜ」
律が心海を堪能したのは言うまでもない。
おわり
田村律と新田心海は大学2年生だ。2人は幼馴染みで都会に上京して一緒に暮らしている。家事は分担してすることになっており、今日の夕飯は律が作ることになっていた。
「りっくん!どうしよう!」
入ってくるなり、心海が背負っていたリュックサックをどさっと落とす。
「ど、どうしたんだよ?」
律が問うと、心海がスマートフォンを操作しだす。ん、と見せられて律は驚いた。よく見ると、それはカレンダーだ。明日からゴールデンウィークに入るのだが、予定欄にアシスタントのバイトと記入されている。
「ん?アシスタントって…?」
「プロの漫画家さんのお手伝いに行けることになったの!今日遅かったのそれの打ち合わせ」
「はぁ?すごいじゃねーか。春コミは?」
「行くよ。コスプレの衣装合わせももうした」
「ゴールデンウィークは休めないな」
ぷは、と律が噴き出すと、心海がそうだよね、と不安気な顔で言ってくる。
「なんだよ、楽しみじゃないのか?」
律が尋ねると、心海がそれがねとスマートフォンを操作し始める。
「今ね、このゲームのイベント走っててさ」
「お、お前の推しの福島くんか」
「全力疾走しないと間に合わないの!バイトの休憩中、ご飯食べられないよ」
「ここ、それは食いながらやれ。今、二刀流が流行ってんだろ」
「それは野球でしょー」
膨れる心海の頭を律はぽんぽん撫でた。心海はいつも可愛らしい。
「あ、今日のご飯…」
「おう、シチューにした。意外と簡単だな」
「ありがとう、作ってくれて」
「食おうぜ!」
「うん」
✢
律は食べながら心海の様子を窺った。心海は猫舌ですごく冷まさなければ熱いものを食べられない。
「美味いか?」
律に聞かれて、心海はうんと嬉しそうに笑った。
(本当可愛い顔しやがって)
最近、心海が忙しいのを律も承知している。だが、自分はまだ若い普通の男だ。心海を抱きたいという思いがどんどんせり上がってきている。さて、どうしようと律は考えた。心海が嫌がらずに自分を受け止めてもらうために。
「りっくん、お風呂沸いたよ」
そんなことも知らずに心海がのほほん、と知らせてくる。
「ここ、お前が先に入れ。明日から早いんだろ?」
そうだった、と心海が気が付いたような顔をする。
「ほら、早く入らねえと噛み付くぜ?」
「やだよ!入ってくる!」
ぴゅう、という効果音が正しいというような逃げ方で、律は1人笑ってしまった。
「さて、おかずの作り置きしとくか」
律も明日から学校近くのグラウンドで、サッカーの練習がある。弁当は必須だ。鼻歌を歌いながら卵焼きを焼いていると、心海が風呂から上がったらしい。わあ、と近付いてきた。
「お弁当のおかず?」
「あぁ。お前、甘いのがいいんだろ?おひたしときんぴらも作っておいたからな」
「りっくんすごーい」
心海は元からのんびりした気質だ。だが、呑気に拍手をしている場合ではない。
「ここ、明日の準備済んだのか?早くしろ」
「そうだった!ありがとう、りっくん!」
心海があわあわしながら準備を始めている。律は自分も風呂に入ろうと着替えを持って浴室に向かった。
(あいつ、アシスタントなんて務まるのか?なんでもゆっくりだしマイペースだし。いや、そこが好きなんだけど)
んー、と浴槽に浸かりながら律は考えていたが、成るようにしかならないと結論が出て、考えるのをやめた。風呂からあがると、心海がスマートフォンに絵を描いている。明日の準備が終わって、日課になっているイラストの練習をしているのだろう。心海は描いたイラストをSNSにあげているようだ。
「何描いたんだ?ここ」
律が尋ねると、心海は少し恥ずかしそうにしながらスマートフォンの画面を見せてきた。それは可愛らしい美少女だ。
「へえ、可愛いな」
「この子男だよ?」
「え?男かー、そうかぁー。お前、アシスタントに行くのって…」
「うん、BL作家さんのとこ。雑用でもいいから生原稿見たい!!」
心海の瞳に野望がメラメラと渦巻いている。
「お前、本当好きなんだな」
「うん!」
なら、と律は思ったのだ。律は心海を抱き寄せた。心海はそれに驚いたのか悲鳴をあげる。
「りっくん?!ん…」
唇を奪うと、心海の身体から力が抜けていく。
「っふ…ん…」
舌を口内に侵入させれば、心美の舌と絡み合う。
「ふ…っ…うんん」
キスを解くと、心海の瞳から涙がこぼれる。
「やら、りっくん…恥ずかしい」
「大丈夫だよ、俺たちしかいないんだし。お前、BL好きなのに自分のことは嫌なのかよ」
「だって俺じゃ画面が映えないんだもん」
心海がはじめ何を言っているか理解出来なかったがだんだん霧が晴れてくる。
「お前、自分のしてるとこ妄想してるのか」
心海が顔を真っ赤にしている。
「だってその…えーと…」
両手を身体の前でいじいじしながら心海がぼそぼそ言っている。
「ここ?」
「ひ、1人でしてる時…えっと」
心海は今にも泣き出してしまいそうだ。律もさすがに可哀想だと思い、心海を抱きしめてやる。
「分かったよ、ごめんな。変なこと言って」
「うぅ…りっくん」
心海がしがみついてくる。律は心海の頭をぽふぽふした。
「泣くなって。ほら、もう寝るぞ」
「うん」
2人はそれぞれの自室に戻った。
✢
「よし、出来たっと」
「りっくん!このカッコでいい?」
早朝6時、律は大きな握り飯を握っていた。心海の分は少し小さめに作る。心海の悲鳴に、律は振り返った。
「大丈夫だぞ。ってかお前、可愛いな」
心海はチェック柄のワイドパンツに白のインナー、薄めのロングカーディガンを羽織っている。
「可愛い…かな?」
「気を付けて職場行けよな?」
「はーい」
弁当を作り終えて、朝食を食べる。今日は簡単にお茶漬けだ。昨日律が作ったカボチャの煮物も食べる。
「美味しい」
「いっぱい食えよ」
ペロッと平らげて、2人はごちそうさまをした。
出掛ける支度を整える。
「俺、帰りにスーパー寄るけど欲しいものあるか?」
律がそう尋ねると、心海はしばらく考えて、あ、と口を開いた。
「たまにアイスクリーム食べたい。バニラ味のやつ」
「了解」
2人は駅内で別れた。
✢
「いい天気だな、おい。既に暑いし」
律が天気と気温に文句を言っていると、チームメイトが集まってくる。
「律ー、今日もいっぱい走るだろ?」
どうやら今日も走り込むらしい。律はやれやれと思ったのだった。
✢
心海side
アシスタントとしてスタジオに向かうと、既に作業が始まっていた。
「あ、あの、よろしくお願いします」
心海が緊張しながら挨拶すると、返事が返ってきた。心海のデスクもしっかり用意されている。
なにをすればいいのかと思ったら、ベタを入れる作業だった。
心海はひたすら原稿に向き直った。
「わぁ、生原稿綺麗」
心海が素直にそう漏らすと隣のデスクのアシスタントが笑う。まだ若い男だ。
「君、可愛いね。何歳?」
「あ、20歳です」
「若ーい」
他のアシスタントからも声が上がった。
「ほら、手を動かす」
漫画家に窘められる。心海はベタを塗ることに集中した。
「お疲れ様でした」
心海はなんとかアシスタントをし終えた。明らかに自分は周りより作業ペースが遅い。心海は自分にがっかりしている。
「はぁ。上手くいかないなぁ」
つい涙がポロッと溢れたが、すぐに拳で拭った。
自宅のアパートに戻ると、明かりが点いている。
律はもう帰ってきているらしい。心海はアパートの階段を駆け上がった。
「ただいま」
「おう、ここ。お帰り。アシスタントはどうだったんだ?」
心海はその質問に色々思い出していた。つい涙が溢れてきてしまう。
「俺、駄目だった」
しゃくりあげると、律が頭をポンポン撫でてくれる。
「あのな。ここ?」
「りっくん?」
「最初から何でも出来るやついないだろ?上に行くのに近道はないってお前の推しが言ってたじゃねえか」
「そうだよね。なんでもコツコツなんだ」
「いいこともあっただろ?」
律の言葉に心海も頷いた。
✢
「ここ、触りたいんだ。いいか?」
寝る直前、自室に戻ろうとしたら急に抱き締められていた。
「りっくん、俺で興奮するの?」
はー、と律は思わずため息を漏らす。心海の可愛らしさは心海自身には浸透していないと改めて実感したからだ。
「お前、可愛いのに自覚ないもんな」
そこも好きだけどと付け足すと、心海が顔を赤らめた。
「俺、可愛く見えるんだ?」
「じゃなかったら女装なんて頼まれないだろ」
それもそうかと頷く心海である。
「でも瑛太くんみたいにはいかないよ?」
「あいつと比較すんな」
そう言いながら律は心海の服の中に手を滑り込ませた。
「わぁ、本当にするのー?」
「ここまで来て止まるかよ」
律が心海の後頭部を優しく掴み、唇を重ねる。
「ふ…ん…」
だんだん心海も良くなってきたのかずるずると崩れ落ちた。そんな心海を律は抱え上げる。そのまま自室のベッドに置いた。
心海の上に覆い被さると、心海は既に涙目である。
「なんで泣くんだよ」
「だって思いの外えっちなんだもん」
「現実ってそうなんだぞ」
律が心海の首筋にキスを落とすと、ふるり、と心海は震えた。
「怖いよ、りっくん」
「怖くねえから。ちょっと気持ちよくなるだけだ、安心しろ」
「うん」
心海の服をたくし上げて乳首に吸い付く。心海はギュッと目を閉じて耐えていた。
「痛いか?」
「くすぐったいの」
ぷっくりしてきた乳首を指で弾くと心海が声を上げる。
「やだ、今の何?」
「気持ちよかったんだろ。心海も胸で感じられるようになったんだな」
律がそう茶化すと、心海は顔を真っ赤にした。
「りっくんの意地悪!」
「悪かったよ、続きしようぜ」
律が心海を堪能したのは言うまでもない。
おわり
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