20 / 55
気になるあのこは宇宙人!?SS
キャットタワー(一話完結)
しおりを挟む
ある日、家に帰るといつも通り千尋がご飯を作ってくれていた。
あれ?なんか部屋がいつもと違う?
僕はもう一度よく部屋を見回した。
それでようやく気が付いた。
部屋の隅にキャットタワーが置かれている。
いつの間に。
それにタマが必死に登ろうとして失敗している。
なんとなく知っていたけれど、タマは猫の割にどんくさい。
よく走っているときに顔から床に突っ込んでいるし。あの時はよく僕の後を追いかけてこられたなぁ。
じゃなくて。
「千尋ー、キャットタワー買ったのー?」
キャットタワーって結構いい値段じゃなかったっけ?
大きな買い物をするときは相談するって二人で決めている。
「それ母さんがいきなり持ってきたんだ」
「へ?」
千尋のお母さん?涼子さんだ。
「なんでまた」
僕が尋ねると千尋は困ったように言った。
「うちの母さん、猫好きだから、飼うことになったって言ったらいきなり持ってきて」
「えええ」
もらっていいのかなあ。
「金はいいって母さんが言ってた。けど」
「けど?」
「写真をいっぱいくれってさ」
「そっか」
今もタマがキャットタワーによじ登ろうとしている。
大丈夫かな。
「タマのやつ、タワーにうまく登れないみたいなんだ」
千尋が鍋を持ってやってきた。
今日はお鍋らしい。暑い中で食べるのもなかなか美味しい。
タマはまだ奮闘している。
「タマ、ここに入りな。もう少し大きくなったらきっと登れるよ」
「にい」
キャットタワーの一番下にあるベッドにタマを抱き上げて入れてやったらそこで丸くなった。
いい子だな。
「食べようか」
「うん。お腹空いた」
次の日、お母さんのお店を手伝うために実家に帰った。
あれ?
「お母さん?これって」
それはキャットタワーだった。
ここにも?
「うちに猫いるの?」
お母さんが笑う。
「いるじゃないの、タマちゃんが」
「ええ?」
「今度連れてきて頂戴」
「いいけどさあ。タマ、小さいから登れないかも」
「その写真欲しいわ」
まるで孫でもできたようだ。
まあ喜んでくれてるならいっか。
家に帰るとタマがキャットタワーの頂上にいた。
登れたんだ。
「にい」
困ったような鳴き声を上げている。
今度は降りれなくなってしまったらしい。
「タマ、おいで」
抱っこするとしがみついてきた。少し震えている。
「怖かったよね、よしよし」
タマ専用のベッドに彼女を置いたら、丸くなってすうすう寝始めた。
疲れたんだろうな。
タマは不思議な子だ。特別な子でもある。
いきなり僕の前に姿を現して、僕たちのもとにやってきてくれた。
タマの耳を掻いてやったら伸びをしてまた眠ってしまった。
(可愛い)
今のうちにタマの写真を撮らないと。
僕は慌ててスマホのカメラを起動するのだった。
終わり
あれ?なんか部屋がいつもと違う?
僕はもう一度よく部屋を見回した。
それでようやく気が付いた。
部屋の隅にキャットタワーが置かれている。
いつの間に。
それにタマが必死に登ろうとして失敗している。
なんとなく知っていたけれど、タマは猫の割にどんくさい。
よく走っているときに顔から床に突っ込んでいるし。あの時はよく僕の後を追いかけてこられたなぁ。
じゃなくて。
「千尋ー、キャットタワー買ったのー?」
キャットタワーって結構いい値段じゃなかったっけ?
大きな買い物をするときは相談するって二人で決めている。
「それ母さんがいきなり持ってきたんだ」
「へ?」
千尋のお母さん?涼子さんだ。
「なんでまた」
僕が尋ねると千尋は困ったように言った。
「うちの母さん、猫好きだから、飼うことになったって言ったらいきなり持ってきて」
「えええ」
もらっていいのかなあ。
「金はいいって母さんが言ってた。けど」
「けど?」
「写真をいっぱいくれってさ」
「そっか」
今もタマがキャットタワーによじ登ろうとしている。
大丈夫かな。
「タマのやつ、タワーにうまく登れないみたいなんだ」
千尋が鍋を持ってやってきた。
今日はお鍋らしい。暑い中で食べるのもなかなか美味しい。
タマはまだ奮闘している。
「タマ、ここに入りな。もう少し大きくなったらきっと登れるよ」
「にい」
キャットタワーの一番下にあるベッドにタマを抱き上げて入れてやったらそこで丸くなった。
いい子だな。
「食べようか」
「うん。お腹空いた」
次の日、お母さんのお店を手伝うために実家に帰った。
あれ?
「お母さん?これって」
それはキャットタワーだった。
ここにも?
「うちに猫いるの?」
お母さんが笑う。
「いるじゃないの、タマちゃんが」
「ええ?」
「今度連れてきて頂戴」
「いいけどさあ。タマ、小さいから登れないかも」
「その写真欲しいわ」
まるで孫でもできたようだ。
まあ喜んでくれてるならいっか。
家に帰るとタマがキャットタワーの頂上にいた。
登れたんだ。
「にい」
困ったような鳴き声を上げている。
今度は降りれなくなってしまったらしい。
「タマ、おいで」
抱っこするとしがみついてきた。少し震えている。
「怖かったよね、よしよし」
タマ専用のベッドに彼女を置いたら、丸くなってすうすう寝始めた。
疲れたんだろうな。
タマは不思議な子だ。特別な子でもある。
いきなり僕の前に姿を現して、僕たちのもとにやってきてくれた。
タマの耳を掻いてやったら伸びをしてまた眠ってしまった。
(可愛い)
今のうちにタマの写真を撮らないと。
僕は慌ててスマホのカメラを起動するのだった。
終わり
0
あなたにおすすめの小説
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
世界を救ったあと、勇者は盗賊に逃げられました
芦田オグリ
BL
「ずっと、ずっと好きだった」
魔王討伐の祝宴の夜。
英雄の一人である《盗賊》ヒューは、一人静かに酒を飲んでいた。そこに現れた《勇者》アレックスに秘めた想いを告げられ、抱き締められてしまう。
酔いと熱に流され、彼と一夜を共にしてしまうが、盗賊の自分は勇者に相応しくないと、ヒューはその腕からそっと抜け出し、逃亡を決意した。
その体は魔族の地で浴び続けた《魔瘴》により、静かに蝕まれていた。
一方アレックスは、世界を救った栄誉を捨て、たった一人の大切な人を追い始める。
これは十年の想いを秘めた勇者パーティーの《勇者》と、病を抱えた《盗賊》の、世界を救ったあとの話。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる