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気になるあのこは宇宙人!?SS
ちひかな徒然SS
しおりを挟む加那さんがどんどん千尋さんを好きになる話
①「加那、それ何読んでるんだよ?」
夜、いつものように千尋と一緒に居間で寛いでいたら、そう聞かれた。
千尋はいつものようにパソコンでなにやら作業している。
千尋は本当に好きだよね、仕事。
僕は今日の仕事帰り、元職場だった図書館から、本を数冊借りてきて読んでいた。
(スタッフのみんなが、元気そうだったからよかった)
もうすっかり涼しくて扇風機も要らない。
もう少ししたらこたつを出そうか、なんて千尋と話している。
こうやって二人で暮らし始めて、もう6年か。あっという間だった。
「これ?これは中島敦」
「難しそうなの読んでるんだな」
千尋の声に驚きが混じっていて、僕は思わず笑ってしまった。
「僕だって昔の文豪の作品くらい読むよ。
それに今は文豪、流行ってるし」
「え?そうなのか?」
「そうだよ。必殺技とか使うんだって」
「そりゃあ世も末だな」
千尋、びっくりしてる。
「千尋、おじさんみたい。今度、図書室に文豪コーナーを作ろうかなって思ってて」
「おじさんは余計だぞ、加那。
でもそういうコーナーはいいかもな」
「やっぱり、沢山の子たちに図書室を利用してもらいたいしね。せっかくあるんだし」
「だな。でも、文豪の必殺技は想像つかないな」
「僕も生徒の子から漫画をちらっと見せてもらったけど、派手だったよー」
「やっぱり必殺技だもんな」
今日もこうして千尋と話が出来て嬉しいな。
②へ。
②ある土曜日のこと、僕と千尋は大きなショッピングモールに買い物に来ている。
千尋が新しいワイシャツが欲しいからというのと、そこで食料品を買うことになっていた。
「加那、二階はいいのか?」
ショッピングモールは三階建てで、千尋は車を四階からある駐車場に停めてくれた。
衣料品は三階にある。
二階といえば。
「行ってもいいの?」
「いつも絶対行くってうるさいのにどうしたんだよ?」
千尋の言葉は最もだ。僕は嬉しくなってうなずいた。
「えーっと」
僕はゲームソフトのコーナーを見ていた。
この年齢(28)になっても僕はゲームが大好きだ。見ていてすごくわくわくする。
実は雑誌で読んで気になっているソフトがある。
(あ、これだ)
そう思ってそれを見つめる。
(ちょっと子供っぽいかな)
対象年齢は全年齢層のAだけど。
パッケージにライオンのイラストが描かれている。
それは動物園の運営ができるゲームだった。
「加那ー?あったぞ。これか?」
千尋が手にしていたのはセール品になったロボットのプラモデルの箱だった。
僕は千尋に駆け寄る。やっぱり安くなるよね!僕の好きな機体は必ずこうなる運命らしい。
少し可哀想に思えてきた。商店街のおもちゃ屋さんは、ついこの前閉店してしまったし、もうこういうところでしか買えない。
寂しいなぁ。
「ゲームはあったのか?欲しいやつ」
僕はちらっとそれを見た。
「んー、欲しいけどどうしようかな」
「買ってやるよ」
「へ?!」
いつの間にか、千尋がソフトを買うための引き換えカードを持っている。
「加那、これだよな?」
千尋、前に雑誌で見せたの覚えていてくれたんだ。
「はいよ」
「ありがとう」
千尋がゲームとプラモデルの入った袋を手渡してくれる。
僕の彼氏、かっこよすぎない?
今までだってそう思ってきたのに!
なんかその次元を簡単に超えてくる!
③へ。
③「わー、また足りないじゃん」
今日は千尋が仕事でいない。
僕はソファに寝転がってソーシャルゲーム(通称ソシャゲ)で一人遊んでいた。
それは最近石田さんからメッセージで教えてもらったゲームで、バトルをしながらストーリーを進めていくゲームらしい。また、ストーリーが面白いし、キャラそれぞれがみんな魅力的だ。
「これ、アイテムの配分難しいな。
全然行き渡らないじゃん」
僕がブツブツ、ゲームに文句を言っているとスマホが鳴る。
千尋からのメッセージだった。
「昼飯はスパゲッティ茹でて食べろよ。
ソースは冷蔵庫にあるから」
今日は起きるのが遅かったから、朝、千尋を見送れなかったんだった。
ベッドから辛うじて行ってらっしゃいは言えたけれど。
それなのに千尋は僕のお昼の心配までしてくれるんだなぁ。
優しすぎる。
「千尋、ありがとう」
そう返信すると既読がついたきりだった。さすがに呆れられたのかもしれない。
とりあえず気を取り直して、スパゲッティを茹でてみようか。
ちょうどお腹も空いてきたし。
僕はソファから起き上がった。
「えーと、麺100グラムに対して1リットル以上の水を沸かします、と。
なるほど」
とりあえず大きな鍋に沢山水を入れて火にかけた。(説明とは…)
冷蔵庫を開けると、透明なタッパーに加那用とメモ帳がくっついている。
赤いソース、トマトかな?
僕はそれを取り出した。
タッパーを開けるとやっぱりトマトの香りがする。多分、ミートソースだ。
ウチのお母さんが前によく作ってくれたっけ。大好きだった。
とりあえず電子レンジで温めよう。
(粉チーズあったかな)
僕はまた冷蔵庫を開けた。
確か残っていたような。
「あったー!」
気が付くと、鍋がグラグラいっている。
僕は慌てて火を弱めた。
これで麺が茹でられる。
「一束100グラムかぁ。三束はいけそうだな!」
麺を入れてしばらくかき混ぜた。
タイマーを忘れずにセットする。
スパゲッティはめちゃくちゃ美味しかった。
お腹もいっぱいになった。
「ごちそうさまでした」
とメッセージを送ったら千尋から可愛いスタンプがきた。
「シュークリーム買って帰る」
そんなメッセージも来る。
シュークリーム?楽しみ!
午後は僕もできる家事をしよう。
まずはお昼に使ったものを片付けよう。
千尋がやっぱり大好きだなぁ。
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