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気になるあのこは宇宙人!?SS
肉じゃが
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「千尋、これで買う物全部?」
「ああ、メモってきてよかったよな」
「買い忘れ面倒だもんね」
「忘れると結構萎えるよな」
「ねえ」
僕の名前は本田加那太。今は同性でパートナーの千尋と近くのスーパーに食料の買い出しに来ている。
一緒に暮らし始めて、僕たちにはいつの間にか暗黙のルールができている。
それは、家事は二人でするということだ。
二人とも働いているし、お互いそれなりに忙しい。
だから空いた時間に必ずどちらかが洗濯、掃除はするという決まりになった。
おかげで喧嘩もなく毎日楽しく暮らしていけている。
こういう時、こうして協力のできる人と一緒に住めてよかったなあって思う。
家事をしてみてわかったけれど本当に大変だ。
ずっと家事をしてくれていたお母さんには感謝しなくちゃいけない。
「肉じゃがかあ」
「え?」
千尋がそう呟く、僕は彼を見つめた。
今、肉じゃがって言った?
「千尋、肉じゃが食べたいの?」
「いや、ちょっと思い出して」
「へえ?」
千尋に腕を掴まれる。
「ほら、会計するぞ」
「うん」
こうして僕たちはスーパーから帰還したのだった。
肉じゃががどうかしたのかな。気になるなあ。
その後、聞いてみたけど、さりげなくはぐらかされた。
それはある日の夜。
「こう・・・かな?違うか」
今は四月。僕は新しい職場に慣れるために必死だった。
今まで図書館で司書として働いていたところを、中学校に来ないかと誘われて、僕はそれを無謀にも受けたのだ。
非常勤とはいえ、教師という仕事を僕はなめていた。なんといっても大変すぎる。
前任の先生はおじいさん先生で三月に退職されるということらしかった。
そこで僕は二月から引き継ぎという形で彼の指導を受けたのだった。
学校内は入学式も終わってとてもにぎやかだ。
新しい環境にすぐ適応できる子とできない子がいるのは言うまでもない。
僕はできない子供だったからよくわかる。
僕は普段、主に図書室で仕事をしている。蔵書の整理や、図書室利用のお知らせのプリント作り、その他にも色々やることはある。
ここに勤め始めた時、図書室に毎月、趣向を凝らしたコーナーを設けたいと前任の先生に話したら賛成してもらえた。
今はデジタル化も進んで、子供たちが読書をする機会が減っているようだし、少しでも本を読む楽しさを知ってほしい。
そう思ったのだ。図書館で働いていた時も、コーナーの飾りつけは僕が担当していた。
図工は割と得意な方だ。
「加那、それ柏餅か?」
パソコンから顔をあげた千尋が言う。もうすぐ五月。少しでも図書室を楽しく見せるための飾りの一つだ。
「うん。でもなんか納得いかないんだよねえ」
「お前は凝り性だもんな」
「ねえ千尋。明日は僕休みだし、なにか食べたいものある?作るよ」
「そうだなあ・・・」
千尋はしばらく考えて黙ってしまった。
献立を考えるのって本当に難しい。
それも家事をしてみて分かったことだ。
「わかった。なにか考えてみるね」
「悪いな」
僕は作業を切り上げて先に休むことにした。
千尋はもうしばらく仕事をするらしい。
これもいつものことだった。
ベッドに横になった僕はふとあることを思い出していた。
千尋が食べたいものがあるじゃないか。
(そうだ。肉じゃがは?
千尋喜ぶかも)
僕はそう思って嬉しくなった。
どうやって作るか、明日お母さんに教えてもらおう。
そう思って目を閉じたら、すぐ夢の中だった。
「行ってらっしゃい」
「ああ。行ってきます」
朝、千尋を見送る。
さすがにキスはしないけど、僕は手を振った。千尋もそれに応えてくれるのが嬉しい。
朝食の片づけをして、僕はスマホを手に持った。
お母さんに早めに肉じゃがのレシピを聞いておこう。
煮物は時間がかかると経験から知っている。
「もしもし」
「どうしたの?加那」
お母さんはすぐに電話に出てくれた。
「あのね、肉じゃがのレシピを教えて欲しいんだけど」
「ああ」
お母さんが黙ってしまう。どうしたんだろう。
「お母さん?」
「あのね、加那。ちょっと今から出られる?」
「うん」
僕は実家である喫茶店に向かった。実家はここから電車で二駅ほどだ。
お店は閉まっている。そっか、今日は定休日だったっけ。
僕は裏から回って中に入った。
「お母さん?来たよー」
「加那、よかった。早く」
お母さんが慌てた様子でやってくる。
本当にどうしたんだろう?
中に入ると千尋のお母さん、京子さんがいた。
「こんにちは」
「加那くん、久しぶり!」
ぎゅうと彼女に抱きしめられる。
小さい時からこうやってずっと可愛がってもらっている。
「千尋に頼まれたんでしょ?肉じゃがが食べたいって」
京子さんにそう聞かれて、僕は困ってしまった。
頼まれたのとは少し違うし、でも千尋の言葉にも一因はある。
「うーん。千尋が思い出したって」
「そう」
京子さんは難しい顔をして黙りこんだ。
え?どうしたのかな。僕まずいこと言っちゃったの?
「加那くん、私と肉じゃが作ってみる?」
京子さんがそう聞いてくれたので僕は頷いた。
台所に野菜を切る音が響いている。僕はひたすらに野菜の皮むきをした。
肉じゃがってこうやって見ると、すごく手間のかかる料理だ。
家ではあまり見かけたことのない料理の一つでもある。
「こうやって作るんだあ。知らなかった」
「そうよ。ほとんどカレーと一緒」
京子さんがニコニコしながら言う。
だんだんいい匂いがしてきた。
「京子さんのご飯、本当に美味しいもんね」
「あら加那くん。お世辞も上手になって」
「お世辞じゃないよ」
慌てて答えたら分かっているとウインクされる。
こういうところも変わらない。
「加那、お昼もここで食べて行きなさいね。オムハヤシでいいでしょ?」
「ありがとう、お母さん」
それはすごく助かる。
お母さんが作るオムハヤシは最強だ。
たまごがふわとろで本当に美味しいのだ。ハヤシソースもこだわっていて美味しい。
「もう少しで完成ね」
どうやら肉じゃがの完成まで間もなくらしい。
今度からは一人で作れるようにならないと。
教わったレシピをスマホのメモ帳に書く。
「京子さんもオムハヤシでいい?」
「ありがとう、里奈さん」
家のお母さんと京子さんは本当に仲がいい。
だからこうして千尋との間も認めてもらえたのかもしれない。
僕はいろいろラッキーだった。
だから僕はみんなに感謝しなくちゃいけない。
「美味しい」
「よかった」
今日もお母さんが作るオムハヤシはやっぱり美味しくて、思わず涙が出そうになった。
「二人ともありがとう」
そう呟いたらお母さんが吹き出した。
「なによ、改まって」
「なんでもないよ」
ちょっと照れくさい。僕は逃げるように台所へ向かった。
お母さんはまだ笑っている。全く。
鍋がぐつぐついっている。
美味しそうな肉じゃがだ。さやえんどうの緑が眩しい。
「どう?加那くん」
「うん。とっても美味しそう」
そう言ったら京子さんも笑った。
「ただいま」
「お帰りー」
夜八時過ぎ頃、千尋が帰ってきた。
僕はいつものようにゲームをして遊んでいる。
千尋が戸惑っているように見えるのは気のせいかな。
「加那、この匂い・・・」
「そう。肉じゃがなの!気が付いた?」
「ああ。美味そうな匂いだな」
千尋がようやく笑ってくれて僕は勢いよく立ち上がった。
「早く食べよ。もうお腹ぺこぺこだよ」
「ああ」
肉じゃがをお皿に盛りつけて、他に用意しておいたおかずも机に並べる。
「加那、この肉じゃがって母さんの・・・」
「よく分かるねえ。そうだよ、今日教えてもらったの」
「そっか」
千尋の笑みが何かを含んでいるように感じて僕はいよいよ気になった。
もう聞いてもいいよね。
「なにかあったの?」
「ん、まあな」
「教えてくれる?」
千尋はようやく頷いてくれた。
肉じゃがをつつきながら千尋はぽつりぽつりと話してくれた。
「俺さ、保育園に行ってる頃、何も食えなくなったことがあってさ」
「ええ?大変だったね?」
「なんでかは分からないけど母さんの肉じゃがだけは食べれてさ」
「そうだったんだ」
「だからしばらく肉じゃがばかり食ってた。懐かしいなって」
「千尋・・・そうだったんだね」
「母さんにすごく心配かけたよ。俺が食べたもの、なんでも戻すから」
「そっかあ」
僕も幼稚園に行っている時はいろいろ大変だったからなんとなく分かる。
「やっぱり母さんの肉じゃがは美味いな」
「わかる」
僕もお母さんのオムライスが大好きだ。
もしかしたら、誰にでも思い出の味があるのかもしれない。
「加那、ありがとうな」
「僕は何も」
「加那がいなかったらこれ、食べれてないだろ?」
千尋の優しい声と表情がとても嬉しかった。
今度は僕が作った肉じゃがで喜んで欲しいなんて野望が出来てしまったし、これからもっと料理を頑張ろうと思う。
「加那、後の片づけは任せろ」
「うん」
今日もあなたが大好きです。
おわり
「ああ、メモってきてよかったよな」
「買い忘れ面倒だもんね」
「忘れると結構萎えるよな」
「ねえ」
僕の名前は本田加那太。今は同性でパートナーの千尋と近くのスーパーに食料の買い出しに来ている。
一緒に暮らし始めて、僕たちにはいつの間にか暗黙のルールができている。
それは、家事は二人でするということだ。
二人とも働いているし、お互いそれなりに忙しい。
だから空いた時間に必ずどちらかが洗濯、掃除はするという決まりになった。
おかげで喧嘩もなく毎日楽しく暮らしていけている。
こういう時、こうして協力のできる人と一緒に住めてよかったなあって思う。
家事をしてみてわかったけれど本当に大変だ。
ずっと家事をしてくれていたお母さんには感謝しなくちゃいけない。
「肉じゃがかあ」
「え?」
千尋がそう呟く、僕は彼を見つめた。
今、肉じゃがって言った?
「千尋、肉じゃが食べたいの?」
「いや、ちょっと思い出して」
「へえ?」
千尋に腕を掴まれる。
「ほら、会計するぞ」
「うん」
こうして僕たちはスーパーから帰還したのだった。
肉じゃががどうかしたのかな。気になるなあ。
その後、聞いてみたけど、さりげなくはぐらかされた。
それはある日の夜。
「こう・・・かな?違うか」
今は四月。僕は新しい職場に慣れるために必死だった。
今まで図書館で司書として働いていたところを、中学校に来ないかと誘われて、僕はそれを無謀にも受けたのだ。
非常勤とはいえ、教師という仕事を僕はなめていた。なんといっても大変すぎる。
前任の先生はおじいさん先生で三月に退職されるということらしかった。
そこで僕は二月から引き継ぎという形で彼の指導を受けたのだった。
学校内は入学式も終わってとてもにぎやかだ。
新しい環境にすぐ適応できる子とできない子がいるのは言うまでもない。
僕はできない子供だったからよくわかる。
僕は普段、主に図書室で仕事をしている。蔵書の整理や、図書室利用のお知らせのプリント作り、その他にも色々やることはある。
ここに勤め始めた時、図書室に毎月、趣向を凝らしたコーナーを設けたいと前任の先生に話したら賛成してもらえた。
今はデジタル化も進んで、子供たちが読書をする機会が減っているようだし、少しでも本を読む楽しさを知ってほしい。
そう思ったのだ。図書館で働いていた時も、コーナーの飾りつけは僕が担当していた。
図工は割と得意な方だ。
「加那、それ柏餅か?」
パソコンから顔をあげた千尋が言う。もうすぐ五月。少しでも図書室を楽しく見せるための飾りの一つだ。
「うん。でもなんか納得いかないんだよねえ」
「お前は凝り性だもんな」
「ねえ千尋。明日は僕休みだし、なにか食べたいものある?作るよ」
「そうだなあ・・・」
千尋はしばらく考えて黙ってしまった。
献立を考えるのって本当に難しい。
それも家事をしてみて分かったことだ。
「わかった。なにか考えてみるね」
「悪いな」
僕は作業を切り上げて先に休むことにした。
千尋はもうしばらく仕事をするらしい。
これもいつものことだった。
ベッドに横になった僕はふとあることを思い出していた。
千尋が食べたいものがあるじゃないか。
(そうだ。肉じゃがは?
千尋喜ぶかも)
僕はそう思って嬉しくなった。
どうやって作るか、明日お母さんに教えてもらおう。
そう思って目を閉じたら、すぐ夢の中だった。
「行ってらっしゃい」
「ああ。行ってきます」
朝、千尋を見送る。
さすがにキスはしないけど、僕は手を振った。千尋もそれに応えてくれるのが嬉しい。
朝食の片づけをして、僕はスマホを手に持った。
お母さんに早めに肉じゃがのレシピを聞いておこう。
煮物は時間がかかると経験から知っている。
「もしもし」
「どうしたの?加那」
お母さんはすぐに電話に出てくれた。
「あのね、肉じゃがのレシピを教えて欲しいんだけど」
「ああ」
お母さんが黙ってしまう。どうしたんだろう。
「お母さん?」
「あのね、加那。ちょっと今から出られる?」
「うん」
僕は実家である喫茶店に向かった。実家はここから電車で二駅ほどだ。
お店は閉まっている。そっか、今日は定休日だったっけ。
僕は裏から回って中に入った。
「お母さん?来たよー」
「加那、よかった。早く」
お母さんが慌てた様子でやってくる。
本当にどうしたんだろう?
中に入ると千尋のお母さん、京子さんがいた。
「こんにちは」
「加那くん、久しぶり!」
ぎゅうと彼女に抱きしめられる。
小さい時からこうやってずっと可愛がってもらっている。
「千尋に頼まれたんでしょ?肉じゃがが食べたいって」
京子さんにそう聞かれて、僕は困ってしまった。
頼まれたのとは少し違うし、でも千尋の言葉にも一因はある。
「うーん。千尋が思い出したって」
「そう」
京子さんは難しい顔をして黙りこんだ。
え?どうしたのかな。僕まずいこと言っちゃったの?
「加那くん、私と肉じゃが作ってみる?」
京子さんがそう聞いてくれたので僕は頷いた。
台所に野菜を切る音が響いている。僕はひたすらに野菜の皮むきをした。
肉じゃがってこうやって見ると、すごく手間のかかる料理だ。
家ではあまり見かけたことのない料理の一つでもある。
「こうやって作るんだあ。知らなかった」
「そうよ。ほとんどカレーと一緒」
京子さんがニコニコしながら言う。
だんだんいい匂いがしてきた。
「京子さんのご飯、本当に美味しいもんね」
「あら加那くん。お世辞も上手になって」
「お世辞じゃないよ」
慌てて答えたら分かっているとウインクされる。
こういうところも変わらない。
「加那、お昼もここで食べて行きなさいね。オムハヤシでいいでしょ?」
「ありがとう、お母さん」
それはすごく助かる。
お母さんが作るオムハヤシは最強だ。
たまごがふわとろで本当に美味しいのだ。ハヤシソースもこだわっていて美味しい。
「もう少しで完成ね」
どうやら肉じゃがの完成まで間もなくらしい。
今度からは一人で作れるようにならないと。
教わったレシピをスマホのメモ帳に書く。
「京子さんもオムハヤシでいい?」
「ありがとう、里奈さん」
家のお母さんと京子さんは本当に仲がいい。
だからこうして千尋との間も認めてもらえたのかもしれない。
僕はいろいろラッキーだった。
だから僕はみんなに感謝しなくちゃいけない。
「美味しい」
「よかった」
今日もお母さんが作るオムハヤシはやっぱり美味しくて、思わず涙が出そうになった。
「二人ともありがとう」
そう呟いたらお母さんが吹き出した。
「なによ、改まって」
「なんでもないよ」
ちょっと照れくさい。僕は逃げるように台所へ向かった。
お母さんはまだ笑っている。全く。
鍋がぐつぐついっている。
美味しそうな肉じゃがだ。さやえんどうの緑が眩しい。
「どう?加那くん」
「うん。とっても美味しそう」
そう言ったら京子さんも笑った。
「ただいま」
「お帰りー」
夜八時過ぎ頃、千尋が帰ってきた。
僕はいつものようにゲームをして遊んでいる。
千尋が戸惑っているように見えるのは気のせいかな。
「加那、この匂い・・・」
「そう。肉じゃがなの!気が付いた?」
「ああ。美味そうな匂いだな」
千尋がようやく笑ってくれて僕は勢いよく立ち上がった。
「早く食べよ。もうお腹ぺこぺこだよ」
「ああ」
肉じゃがをお皿に盛りつけて、他に用意しておいたおかずも机に並べる。
「加那、この肉じゃがって母さんの・・・」
「よく分かるねえ。そうだよ、今日教えてもらったの」
「そっか」
千尋の笑みが何かを含んでいるように感じて僕はいよいよ気になった。
もう聞いてもいいよね。
「なにかあったの?」
「ん、まあな」
「教えてくれる?」
千尋はようやく頷いてくれた。
肉じゃがをつつきながら千尋はぽつりぽつりと話してくれた。
「俺さ、保育園に行ってる頃、何も食えなくなったことがあってさ」
「ええ?大変だったね?」
「なんでかは分からないけど母さんの肉じゃがだけは食べれてさ」
「そうだったんだ」
「だからしばらく肉じゃがばかり食ってた。懐かしいなって」
「千尋・・・そうだったんだね」
「母さんにすごく心配かけたよ。俺が食べたもの、なんでも戻すから」
「そっかあ」
僕も幼稚園に行っている時はいろいろ大変だったからなんとなく分かる。
「やっぱり母さんの肉じゃがは美味いな」
「わかる」
僕もお母さんのオムライスが大好きだ。
もしかしたら、誰にでも思い出の味があるのかもしれない。
「加那、ありがとうな」
「僕は何も」
「加那がいなかったらこれ、食べれてないだろ?」
千尋の優しい声と表情がとても嬉しかった。
今度は僕が作った肉じゃがで喜んで欲しいなんて野望が出来てしまったし、これからもっと料理を頑張ろうと思う。
「加那、後の片づけは任せろ」
「うん」
今日もあなたが大好きです。
おわり
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