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花嫁さんは美少年?
イヴと雪だるま②
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「れいら、これなあに?」
次の日の朝、朝食を食べたレイラは早速準備にとりかかっていた。
今日はみんなで遊ぶ、ラウがそうトウマとイヴに告げると、二人は驚いたような顔をしてラウを見つめていた。
(二人共可愛いな)
レイラはそんな二人の様子を見て心の中でほっこりしていた。
「それはイヴの手袋だよ。
ラウ様が買ってきてくださったんだ」
「わぁ!手にするやつだね!」
イヴがなんとか自分で手袋をはめようとしている。最近、イヴがなんでも自分でやってみたがるのは知っているので、レイラはあえて手を出さなかった。
「兄さん、本当に遊んでいていいの?」
すでにコートを着て支度が整っているラウの後をトウマが追い掛けながら聞いている。
突然のことに、兄が心配になったのだろう。
「私は今日は休みたい気持ちなんだ。たまには遊びたい」
「兄さん…俺達のため?」
「私のためだよ」
ラウがトウマの肩に手を置いて言う。
「私だって人間だ。
休まなければ動けなくなってしまうよ」
「うん」
トウマがうつむいて頷く。
その顔は少し赤い。
(トウマ、喜んでいるな)
レイラはまた心が温かくなった。
トウマが喜んでくれているのが何より嬉しかった。ラウの優しさも伝わってくる。
「れいら、できたぁ!」
イヴが小さな片手を掲げてみせる。
手袋の中指のところに人差し指まで入ってしまっている。
「偉いな、イヴ。一人でできたな」
そう言いながら、彼女の頭を撫でてレイラはさり気なくイヴに手袋をちゃんとはめさせてやった。
毛糸の帽子を被せてコートを着せてやる。
もちろんマフラーもだ。
「あったかぁい!」
どうやらイヴも喜んでくれているようだ。
レイラも支度を終えた。
四人は一斉に庭に出た。
ラウは伯爵だ。当然、庭の敷地も広い。
雪が膝下すぐまで積もっている。
もうすぐ春だというのに、ラクサスはまだ寒い。
暖かい地域に住んでいたレイラにとっては初めての経験だった。
ラウがスコップを使って、雪を一箇所に積み始めた。
「何を作るんですか?」
レイラが尋ねるとラウが作業をしながら笑う。
「かまくらですよ。中が温かいので休憩用に」
「なるほど」
「れいらー。雪だるまー」
イヴが昨日、自分で作って家の壁沿いに並べた雪だるまの隣に新しい仲間を作っている。
トウマも同じくらいの雪だるまを一緒に作ってくれている。
しばらくレイラもそれを手伝った。
「れいら、なにかいるよ」
じっとイヴが遠くを見つめている。森の方だ。
レイラもそちらを見た。確かに黒い影が見える。
おそらく、熊だ。
レイラは慌てて腰に差しておいた空砲を撃った。熊が慌てて逃げていく。
ここの屋敷ではこういうことが頻繁に起きる。
森に囲まれているからだ。
イヴが気が付いていなければどうなっていたか分からない。
ホッとしているとラウが走りながらやってきた。
「大丈夫ですか?」
「はい。イヴが熊に気が付いてくれたから」
「イヴ、お前はすごいな」
「えへへ」
トウマがイヴの頭を撫でている。
この二人はすっかり仲良しだ。まるで本当の兄妹のように見える。
「イヴさん、レイラさん、トウマ」
ラウに名前を呼ばれて三人はそちらに向かった。そこにあったのは立派なかまくらだ。
「わあ、兄さん。こんなの作れるの?」
トウマが驚くのも無理はない。それくらい立派だった。
「トウマと雪で遊んだことはあまりなかったね」
ラウの声には申し訳なさが混じっている。
トウマはそれを感じ取ったのか首を横に振った。
「今日遊べてる。十分だよ」
「おおきいー」
イヴが自分の両腕を上に掲げている。
それでも十分すぎるくらいの高さがある。
一人で、しかもこの短時間にこれだけのものを作ってしまうラウに、レイラは驚いていた。
「すごいです、ラウ様」
「レイラさんに褒めてもらいたくて」
「すごいです!」
レイラはラウに両腕を握られた。青い瞳にじっと見つめられてレイラは少し顔が熱くなる。
「レイラさん」
「ラウ様」
「イヴ、二人がイチャイチャし始めたぞ」
「いちゃいちゃー!」
ラウとレイラは慌てて離れた。
子供たちには敵わない。
それから四人でかまくらの中でお茶を飲んだり、雪だるまを沢山作って遊んだ。
おわり
次の日の朝、朝食を食べたレイラは早速準備にとりかかっていた。
今日はみんなで遊ぶ、ラウがそうトウマとイヴに告げると、二人は驚いたような顔をしてラウを見つめていた。
(二人共可愛いな)
レイラはそんな二人の様子を見て心の中でほっこりしていた。
「それはイヴの手袋だよ。
ラウ様が買ってきてくださったんだ」
「わぁ!手にするやつだね!」
イヴがなんとか自分で手袋をはめようとしている。最近、イヴがなんでも自分でやってみたがるのは知っているので、レイラはあえて手を出さなかった。
「兄さん、本当に遊んでいていいの?」
すでにコートを着て支度が整っているラウの後をトウマが追い掛けながら聞いている。
突然のことに、兄が心配になったのだろう。
「私は今日は休みたい気持ちなんだ。たまには遊びたい」
「兄さん…俺達のため?」
「私のためだよ」
ラウがトウマの肩に手を置いて言う。
「私だって人間だ。
休まなければ動けなくなってしまうよ」
「うん」
トウマがうつむいて頷く。
その顔は少し赤い。
(トウマ、喜んでいるな)
レイラはまた心が温かくなった。
トウマが喜んでくれているのが何より嬉しかった。ラウの優しさも伝わってくる。
「れいら、できたぁ!」
イヴが小さな片手を掲げてみせる。
手袋の中指のところに人差し指まで入ってしまっている。
「偉いな、イヴ。一人でできたな」
そう言いながら、彼女の頭を撫でてレイラはさり気なくイヴに手袋をちゃんとはめさせてやった。
毛糸の帽子を被せてコートを着せてやる。
もちろんマフラーもだ。
「あったかぁい!」
どうやらイヴも喜んでくれているようだ。
レイラも支度を終えた。
四人は一斉に庭に出た。
ラウは伯爵だ。当然、庭の敷地も広い。
雪が膝下すぐまで積もっている。
もうすぐ春だというのに、ラクサスはまだ寒い。
暖かい地域に住んでいたレイラにとっては初めての経験だった。
ラウがスコップを使って、雪を一箇所に積み始めた。
「何を作るんですか?」
レイラが尋ねるとラウが作業をしながら笑う。
「かまくらですよ。中が温かいので休憩用に」
「なるほど」
「れいらー。雪だるまー」
イヴが昨日、自分で作って家の壁沿いに並べた雪だるまの隣に新しい仲間を作っている。
トウマも同じくらいの雪だるまを一緒に作ってくれている。
しばらくレイラもそれを手伝った。
「れいら、なにかいるよ」
じっとイヴが遠くを見つめている。森の方だ。
レイラもそちらを見た。確かに黒い影が見える。
おそらく、熊だ。
レイラは慌てて腰に差しておいた空砲を撃った。熊が慌てて逃げていく。
ここの屋敷ではこういうことが頻繁に起きる。
森に囲まれているからだ。
イヴが気が付いていなければどうなっていたか分からない。
ホッとしているとラウが走りながらやってきた。
「大丈夫ですか?」
「はい。イヴが熊に気が付いてくれたから」
「イヴ、お前はすごいな」
「えへへ」
トウマがイヴの頭を撫でている。
この二人はすっかり仲良しだ。まるで本当の兄妹のように見える。
「イヴさん、レイラさん、トウマ」
ラウに名前を呼ばれて三人はそちらに向かった。そこにあったのは立派なかまくらだ。
「わあ、兄さん。こんなの作れるの?」
トウマが驚くのも無理はない。それくらい立派だった。
「トウマと雪で遊んだことはあまりなかったね」
ラウの声には申し訳なさが混じっている。
トウマはそれを感じ取ったのか首を横に振った。
「今日遊べてる。十分だよ」
「おおきいー」
イヴが自分の両腕を上に掲げている。
それでも十分すぎるくらいの高さがある。
一人で、しかもこの短時間にこれだけのものを作ってしまうラウに、レイラは驚いていた。
「すごいです、ラウ様」
「レイラさんに褒めてもらいたくて」
「すごいです!」
レイラはラウに両腕を握られた。青い瞳にじっと見つめられてレイラは少し顔が熱くなる。
「レイラさん」
「ラウ様」
「イヴ、二人がイチャイチャし始めたぞ」
「いちゃいちゃー!」
ラウとレイラは慌てて離れた。
子供たちには敵わない。
それから四人でかまくらの中でお茶を飲んだり、雪だるまを沢山作って遊んだ。
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