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花嫁さんは美少年?
イヴとお誕生日
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「イヴ、トウマ、今日も家事を手伝ってくれてありがとうな。
明日は久しぶりに街に出てみんなでお菓子を買いに行こうか」
レイラが財布から硬貨を取り出してイヴとトウマにそれぞれ渡すと二人は顔を輝かせた。
この辺りは森が広がっており、市場というものがない。
そのため、時折買い物の為に街へ馬車で繰り出すのだ。
明日はイヴの肌着や、トウマの新しいズボンを買おう、レイラはそんなことを考えていた。
これからおやつの時間だ。レイラが作ったとっておきのシフォンケーキがある。
二人に喜んでもらいたい、その一心で焼いたものだ。
「今日のおやつはシフォンケーキだぞ」
「やったあ」
「ふわふわすきー」
「うまく焼けているといいんだけど」
レイラがシフォンケーキを一人分ずつに切り分けて隣に生クリームを添える。
それを二人はじっと見ていた。
「さあ、二人とも席について。ゆっくりよく噛んで食べろよ」
「うん」
二人はフォークでシフォンケーキを切り分けて食べ始める。
イヴはまだ小さいせいか、シフォンケーキをフォークで切り分けるのに苦戦していた。
でもレイラは手を出さずに彼女を見守っていた。
イヴは最近、自分でなんでもやりたがる。
特にトウマができることは自分にもできるのではないかと思っているらしい。
小さい子ども特有の考え方だ。
レイラはそんなイヴを応援していた。
できなければ自分で手伝って欲しいと言える。それがイヴだ。
「れいら、らうは?」
口の周りにべっとり生クリームを付けてイヴが尋ねてくる。
レイラは思わず笑ってしまった。
イヴが頑張っている姿は本当に可愛らしい。
「ラウ様なら明日はお仕事だ。だから三人で街へ行くぞ」
レイラがイヴの口の周りを綺麗な布巾で拭ってやる。
「そうなんだー」
「兄さんは最近忙しいよ。イヴも知ってるだろ?」
トウマがぽつっと言う。
イヴも頷いた。
最近ラクサスでは大きな変化が訪れていた。
ある大きな会社が、ラクサスの見放されていた土地を破格の値段で買い取り、ホテルを作るというのだ。
こんな辺鄙な場所にと、誰もが思った。おそらくラウ自身もだ。
だが向こうからするとそれがいいらしい。
人里から離れた土地でのんびり過ごす、がコンセプトなのだそうだ。
ラウはその打ち合わせに毎日追われている。
「家を守れるのは俺達だけだ。兄さんが仕事に集中できるように」
トウマの気持ちがレイラには嬉しかった。彼は周りを見て自分で判断できる子だ。
他にもいろいろなことを経験させてやりたい。
それはラウともよく話している。
「イヴ、ラウ様は明日は街に行けないけれど、今度一緒に行こうな」
「うん!」
レイラはイヴの頭を撫でてやった。
次の日、ラウを見送ったあと三人は街に繰り出した。
山を下りるのに馬車で一時間半ほどかかる。
まだ馬車を使えるだけマシだとも言えた。
昔は徒歩で山から下りなければいけなかったらしい。
それを思えば便利になった。
「レイラ様、見えてきましたよ」
トウマが言う。
街の様子が見えてきた。
いつもここに来ると、レイラはホッとするのだ。
ずっとレイラは暖かい町屋敷に暮らしていた。
活気もあり、人の往来も激しい。
それからここラクサスに来てそれが一変してしまった。
今では慣れたが、前はあまりの孤独感にどうにかなりそうだった。
トウマとイヴを連れてレイラは街にある衣料品店に入った。
ここならある程度のものがそろう。
他にも必要な食料なんかを買い込み、最後に菓子屋へ入った。
ここは小さな子供から大人まで幅広い層にお菓子を売っている。
トウマやイヴはここの菓子が大好きだった。
「こんにちは」
店のドアを開けてレイラが声を掛けると奥から初老の夫人が出てきた。
彼女はここを一人で切り盛りしている。
「レイラさん、いらっしゃい」
彼女は子供が大好きらしい。イブやトウマも一緒なのを見るとにっこり笑う。
「今日も美味しいお菓子があるよ」
そう子供たちに声を掛けてくれた。
「えーとそこのチョコレートをください。二つ」
トウマが指を差して言う。
イヴは迷っているのかじっと商品を見つめていた。
「イヴはどうする?」
レイラが屈んで聞くと、イヴは首を振った。
「あたし要らない」
「え?」
レイラは驚いた。そんなこと初めてだったからだ。
トウマも彼女をじっと見つめている。
「イヴ?どうしたんだ?」
トウマの問いかけにイヴは笑った。
「今日は要らないの」
「そっか」
レイラはいろいろ聞きたい気持ちに駆られたが、今は無理に聞くことはやめておいた。
イヴのことだ。なにか考えがあるに違いない。
「イヴ、トウマ、帰ろうか」
「うん」
三人はまた屋敷に馬車で戻った。
明日は久しぶりに街に出てみんなでお菓子を買いに行こうか」
レイラが財布から硬貨を取り出してイヴとトウマにそれぞれ渡すと二人は顔を輝かせた。
この辺りは森が広がっており、市場というものがない。
そのため、時折買い物の為に街へ馬車で繰り出すのだ。
明日はイヴの肌着や、トウマの新しいズボンを買おう、レイラはそんなことを考えていた。
これからおやつの時間だ。レイラが作ったとっておきのシフォンケーキがある。
二人に喜んでもらいたい、その一心で焼いたものだ。
「今日のおやつはシフォンケーキだぞ」
「やったあ」
「ふわふわすきー」
「うまく焼けているといいんだけど」
レイラがシフォンケーキを一人分ずつに切り分けて隣に生クリームを添える。
それを二人はじっと見ていた。
「さあ、二人とも席について。ゆっくりよく噛んで食べろよ」
「うん」
二人はフォークでシフォンケーキを切り分けて食べ始める。
イヴはまだ小さいせいか、シフォンケーキをフォークで切り分けるのに苦戦していた。
でもレイラは手を出さずに彼女を見守っていた。
イヴは最近、自分でなんでもやりたがる。
特にトウマができることは自分にもできるのではないかと思っているらしい。
小さい子ども特有の考え方だ。
レイラはそんなイヴを応援していた。
できなければ自分で手伝って欲しいと言える。それがイヴだ。
「れいら、らうは?」
口の周りにべっとり生クリームを付けてイヴが尋ねてくる。
レイラは思わず笑ってしまった。
イヴが頑張っている姿は本当に可愛らしい。
「ラウ様なら明日はお仕事だ。だから三人で街へ行くぞ」
レイラがイヴの口の周りを綺麗な布巾で拭ってやる。
「そうなんだー」
「兄さんは最近忙しいよ。イヴも知ってるだろ?」
トウマがぽつっと言う。
イヴも頷いた。
最近ラクサスでは大きな変化が訪れていた。
ある大きな会社が、ラクサスの見放されていた土地を破格の値段で買い取り、ホテルを作るというのだ。
こんな辺鄙な場所にと、誰もが思った。おそらくラウ自身もだ。
だが向こうからするとそれがいいらしい。
人里から離れた土地でのんびり過ごす、がコンセプトなのだそうだ。
ラウはその打ち合わせに毎日追われている。
「家を守れるのは俺達だけだ。兄さんが仕事に集中できるように」
トウマの気持ちがレイラには嬉しかった。彼は周りを見て自分で判断できる子だ。
他にもいろいろなことを経験させてやりたい。
それはラウともよく話している。
「イヴ、ラウ様は明日は街に行けないけれど、今度一緒に行こうな」
「うん!」
レイラはイヴの頭を撫でてやった。
次の日、ラウを見送ったあと三人は街に繰り出した。
山を下りるのに馬車で一時間半ほどかかる。
まだ馬車を使えるだけマシだとも言えた。
昔は徒歩で山から下りなければいけなかったらしい。
それを思えば便利になった。
「レイラ様、見えてきましたよ」
トウマが言う。
街の様子が見えてきた。
いつもここに来ると、レイラはホッとするのだ。
ずっとレイラは暖かい町屋敷に暮らしていた。
活気もあり、人の往来も激しい。
それからここラクサスに来てそれが一変してしまった。
今では慣れたが、前はあまりの孤独感にどうにかなりそうだった。
トウマとイヴを連れてレイラは街にある衣料品店に入った。
ここならある程度のものがそろう。
他にも必要な食料なんかを買い込み、最後に菓子屋へ入った。
ここは小さな子供から大人まで幅広い層にお菓子を売っている。
トウマやイヴはここの菓子が大好きだった。
「こんにちは」
店のドアを開けてレイラが声を掛けると奥から初老の夫人が出てきた。
彼女はここを一人で切り盛りしている。
「レイラさん、いらっしゃい」
彼女は子供が大好きらしい。イブやトウマも一緒なのを見るとにっこり笑う。
「今日も美味しいお菓子があるよ」
そう子供たちに声を掛けてくれた。
「えーとそこのチョコレートをください。二つ」
トウマが指を差して言う。
イヴは迷っているのかじっと商品を見つめていた。
「イヴはどうする?」
レイラが屈んで聞くと、イヴは首を振った。
「あたし要らない」
「え?」
レイラは驚いた。そんなこと初めてだったからだ。
トウマも彼女をじっと見つめている。
「イヴ?どうしたんだ?」
トウマの問いかけにイヴは笑った。
「今日は要らないの」
「そっか」
レイラはいろいろ聞きたい気持ちに駆られたが、今は無理に聞くことはやめておいた。
イヴのことだ。なにか考えがあるに違いない。
「イヴ、トウマ、帰ろうか」
「うん」
三人はまた屋敷に馬車で戻った。
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