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おまけ

ルネシアの誕生日

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「ショーゴ!」

名前を呼ばれて、ぴょんと後ろから誰かに抱きつかれたからびっくりして振り向いたらダリアさんだった。
なんでこんなところに?!
ここ、龍の里なんですが!!闘技場は?

「あ、えーと、お久しぶりです」

なんとなく気まずくて、そっと後ずさったらダリアさんがニコニコしながら近付いてきた。困るー。このヒト、可愛いから余計困るんだよな。しかもここ龍の里だから、俺がルネと付き合ってるのも皆知ってるわけで。そうだ、迂闊なことは出来ない!

「買い物か?」

ダリアさんが首を傾げている。このヒトを撒こうだなんて絶対に不可能だから、さっさと正直に言ったほうがいいかもしれない。

「あ、えーと、ルネの誕生日プレゼントを買おうと思って」

俺が見ていた物、それは龍石という特殊な鉱石からできたアクセサリーだった。値が張るのは間違いないけど、ファイトマネーもあることだしせっかくなら奮発しようと思ったのだ。

「ふーん、龍姫はショーゴから誕生日プレゼントがもらえるのか」

急にダリアさんの表情が怖くなった。今にも殺されそうなんですけど俺!

「龍姫には黙っておいてサプライズで渡すということか。はっ。ラブラブだな」

低い声でまくし立てるダリアさん、怖すぎるだろ。

「え、えーと、ダリアさんはどうしてここに?」

「パパのお遣いだ。里長に届け物があってな」

「あ、じゃあ急がないとですね。それじゃあ…」

俺はこれで、と言って別れようとしたらむんずと袖を掴まれた。めっちゃ怖い笑顔で言われる。

「龍の里に来たのは初めてだから里長の所まで案内してくれ」

「は、はい…」

そんなの絶対に嘘だろ!でも断ったら間違いなく殺される。俺は渋々案内を引き受けることにした。いつの間にかダリアさんは俺の腕にギュッと掴まっている。
やばい、周りの視線が痛い。

「ショーゴ、さあ行こう」

「は、はぁ」

里長、つまりルアナさんのいる屋敷は龍の里の一番上の階層にある。そこまではちょっとした登山である。ずっと石畳の階段を登らなきゃならないのだ。

「足腰を鍛えるいいチャンスが到来したな」

ダリアさんがポジティブ過ぎる件。まあ確かに修行も目的を持って行った方が効率的だもんな。

「行くぞ!ショーゴ!競争だ!」

え?競争なの?ダリアさんが一足先に飛び出している。そんな男子小学生みたいな。ダリアさん、わんぱくな女の子だったんだろうな。
容易に想像できる。

「っ…はぁ…はあ」

「ふ、私に付いてくるとはなかなかやるな」

ダリアさんは息一つ乱してないじゃないか。
このヒトの身体能力高すぎない?

「ショーゴ、私に付き合ってくれてありがとう。私はまだお前が好きなんだ。どうか許して欲しい」 

ダリアさんが頬を染めながら言う。可愛いヒトなんだよな、基本的に。

「私が思うに、龍姫には指輪を買うといい。そう、ペアリングだ。私のような輩がいなくなるからな」

「ダリアさん…俺を好きになってくれてありがとうございます。忠告感謝します」

俺は彼女に頭を下げた。
また俺はひとり、一番下の階層に戻ってきている。
龍石で出来た指輪は不思議なことにサイズの調節が自動で出来るらしい。

「す、すみません…これを」

俺は店主に商品を包んでもらえるようお願いした。屋敷に戻ると静かだった。静かすぎないか?中に入るとルネが縁側に座っていた。俺が近づいても振り返ってくれない。

「ルネ…」

「ショーゴなんて知らないんだからね!」

「え…」

「女のヒトとイチャイチャしてたって皆言ってる!」

さ、さすが龍の里…。情報伝播が早い。俺ははじめから事情を話した。

「なんだ、ダリアかー。じゃあ仕方ないね」

「許してくれるの?」

「ダリア、強いし、逆らったらショーゴ殺されちゃうもん」

あ、その通りです。

「あれ?その箱、なに?ケーキ?にしては小さいかな」

ルネが俺の持っていた小箱に気が付く。ケーキの方がよかったのかな。

「これ、ルネの誕生日プレゼント…」

「え…?」

ルネの顔が赤くなる。

「本当?」

「うん」

ルネはおずおずと小箱を受け取ってくれた。そっと包みを開ける。

「あ、指輪…」

「うん、ペアリング、気に入ってもらえた?」

「ショーゴ、大好き、すごく」

ルネが左手の薬指に指輪を嵌めると龍石が輝いた。
俺も嵌めてみる。

「ルネにとっていい一年になりますように」

ルネが抱き着いてきた。大好きだな、このヒトが。

おわり
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