僕の死亡日記

はやしかわともえ

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二十話・討伐?

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日は完全に落ちた。鵺は静かに校庭に降り立っていた。煌々と校庭を照らす照明が邪魔だ。だが校庭全てが照らされているわけではない。鵺は暗がりの中で獲物たちを探ろうとして、違和感を覚えた。

「結界が張られている?」

いつの間にか体の自由がきかないではないか。鵺は焦った。こんなことが未だかつてあっただろうか。獅子王の結界を張る技術がここまで上がっていたのかと鵺は驚きを隠せない。鵺はずっと、獅子王を侮っていた。太刀なのに細く軽い弱い刀だと。そんな刀に何度も敗れてきた鵺だったが、自分に非があるとは考えなかった。何度も敗れはしているが殺されたわけではない。それは、相手が弱く自分が強いからだと傲慢にも思っていた。鵺は結界に追い立てられるように走り出した。そうだ、人間を食べればいい。そうすれば力もみなぎるはずだ。鵺は浴衣を着た少女に虎の腕を振り上げようとした。だが、出来ない。あちらこちらに鏡がある。あちこちにある鏡は校庭を照らす照明の光を反射し、自分を映し出している。何故だと思った。人間に自分の正体は気取られていないはずだ。だが、ここにいるほぼ全ての人間が鏡を手に持っている。

「鵺、ようやく年貢の納め時だな」

鵺はまっすぐ前を見た。

✢✢✢

獅子王が結界を張りながら走っている。僕はその後をなんとか付いていった。

「主人、鵺の動きを封じるのに成功した」

獅子王が言う。僕は頷いていた。鵺は照明の当たらない暗い場所にいた。鵺の様子からして焦っていることが分かった。

獅子王が鵺の前に進み出て言う。

「鵺、ようやく年貢の納め時だな」

獅子王が僕の左手に宿る。この時、僕と獅子王はシンクロする。はじめは戸惑ったけど、獅子王と一緒だと心強い。


「今日こそはお前の首を貰い受ける!」

僕は思い切り地面を蹴っていた。戦ううちに出来るようになった。写し身というワードがひっかかるけど、もうそれはいいと自分の中で押し殺した。鵺が結界のない方へ走り出す。作戦通りだ。もちろん、結界のないそこはミラーハウスなのだから。鵺がなにやらぶつぶつ呟いている。

黒い狼が数体現れた。鵺の体力を奪わなければ逃げられてしまう。それを許すわけにはいかない。
僕は牙をむき出しにして威嚇してくる狼たちに斬撃を振るった。獅子王は強い。一撃で狼たちを葬る。僕は鵺の後を追った。獅子王はこの間も結界を張り続けている。妖力が枯渇しないか心配だけど、こうする以外勝利はない。鵺がミラーハウスに走り込む。僕が中に入ると、やつは苦しそうに叫んでいた。全面に鏡が貼られたそこで、もがき苦しんでいる。

「鵺、お前はここで終わりだ」

獅子王がやつを拘束する。鵺はまだ叫んでいる。呪いの言葉だろうか。もう人を呪う力もないのか、ひゅーひゅーと息をしているきりだ。

「主人、とどめを」

獅子王に言われて僕は鵺の首を切り落とした。ザクリ、という音がして、コロコロと首が床に転がる。僕たちは鵺の体を細かく切り刻んだ。もう復活出来ないように念のためだ。それだけこいつは強力な妖怪だった。
細かくした鵺は獅子王が妖力で海に転送してくれた。

「はああ…」

僕はぐったり座り込んだ。ずっと気を張っていたんだろう。物凄く疲れていて、眠たい。

「詩史、疲れたのか?寝ていいぞ。俺が部屋まで連れてくから」

獅子王がそう言ってくれたので僕は意識を飛ばしたのだった。





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