檻の中の少女 ~ 集落で飼われる子供たち

小原ききょう(TOブックス大賞受賞)

文字の大きさ
6 / 19

檻の中の少女②

しおりを挟む
 左右が入れ替わっても分からないくらいです。服装も同じで、二人とも薄汚れた白いシャツにだぼっとした黒いズボンを穿いています。
 その目は三日月のような目で、こんな目をしている妖怪を漫画で見たことがあります。
 更に不思議なのは、男たちは陽に焼けて真っ黒な肌なのに、女の人は二人とも真っ白なのです。

 双子の女の言葉を聞いていたのでしょうか? 檻の中の男の子が、「俺は男やっ!」と身を乗り出すように金網を ガチャガチャと揺さぶりました。そして、「男が金にならんのやったら、ここから出してくれっ」と叫びました。
けれどそんな声も虚しく、
「うるさいっ、黙らんかっ!」
 男の一人が檻を蹴飛ばし、「ごちゃごちゃ言うたら、今晩の晩飯は抜きにするぞ!」と脅かしました。「男には男しかできへんことがあるんや」
 男の怒声に、男の子はそれっきり黙ってしまい、檻の奥へと逃げ込みました。
 その様子を見ていた双子の片方の女が、
「そないに手荒いことをしたらあかんがな」と男を戒めました。
 言われた男が「すんまへん」と頭を下げました。それを見ただけで、ここで一番偉く、力を持っているのは双子の女だと分かります。
 双子の女二人は、この集落のボス的存在なのだと思いました。

 僕は男たちが言っていた「見世物」という言葉が引っ掛かりました。
 親戚の家の近くの大きな神社に行った時のことです。
 そこにはいわゆる見世物小屋というのがありました。
 その看板には、蛇女、ポンプ人間、ろくろ首少女とかの異様な人間を模った絵が大きく描かれていました。
 僕は好奇心と怖い物見たさで「あそこに入ってみたい!」と母にねだりましたが、ものの見事に断られました。
 あの時のことを思い出し、少女たちがあんな所に売られてしまうような気がして、切なくなりました。

 何とかならないのでしょうか。檻から出ることはできないのでしょうか。
「アケミちゃん。心配せんでも、僕がここから助け出してあげるよ」
 そんな軽い言葉が浮かびましたが、少女を見ているとそんな無責任なことを言うことはできません。その代わりに、「僕が大人になったら、きっと迎えに行くよ」と、考えたりしましたが、全て虚しい願いです。
 この檻を見ていると、全ての偽善的な言葉は吹っ飛んでしまいます。

 更に驚くことに、檻はその向こうにもあるようです。
 前面に押し出されているのは子供用の檻で、その奥にも同じような檻が二段に積まれていたのです。
 そして、そこに入っているのは、大人たちでした。
 最初、同じような子供たちかと思いました。何故なら、顔がよく見えなかったせいもありますし、その肌も薄汚れていて年齢が分からなかったのです。
 ですが、今は分かります。
 まず大きさが全然違います。檻の大きさは子供たちのと同じですから、檻の中が体で一杯になっています。
 それに、子供たちの髪はそうでもなかったのですが、大人たちは男女問わず伸ばしっぱなしになっていて、檻の下にまで垂れています。
 そんな大人が男女合わせて、10人ほどいました。
 彼らは子供と同じくボロ布を纏っています。
 子供たちと違って、誰もしゃべらず、その目は子供たち以上に虚ろです。
 まるで人間としての意思がないようです。
 病気をしている様子もなく、ここを支配する人たちに逆らわないようにひっそりと生きているように見えました。
 中には男と女の人が檻越しに顔をくっつけたり体を摺り寄せたりしている人もいましたが、僕にはどうしてそんなことをしているのか分かりませんでした。少なくとも子供たちはそんなことはしていないようです。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

不思議な夏休み

廣瀬純七
青春
夏休みの初日に体が入れ替わった四人の高校生の男女が経験した不思議な話

処理中です...