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友達
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◇
「ねえ、加奈ちゃん、この道って水道筋っていう名前なの知ってた?」
学校の帰り智子に訊かれた。
あの日から、何の用事もなければ私は智子とよくこうして帰るようになった。智子の家は近くてわずか一〇分くらいの時間だったけど、私にしては今までにない時間だったので、いい気分転換になった。
「知らない。何でそんなこと訊くの?」
「だって、水道管なんてどこでも通っているのに、この道だけそんな名前が付いているのが不思議なんだよ」
「きっと、他よりも大きな水道管が通っているんじゃない?」私は適当に受け流す。
「どれくらい?」それでも智子は訊ねてくる。
「これくらい」
私は両手を一杯に広げて智子に大きさを表した。
「加奈ちゃん、それだったら、ちっちゃ過ぎるよお」
それもそうだ。人の体で表すには限界がある。
「智子、わかってよ。それくらい大きいってことなんだってば」
「でもさあ、水って、どんな家にも公平に行き渡るんだよね。金持ちの人でも、そうでない人でも、飲むのは同じ水なんだよね」
そうだね。同じ所から色んな人に。みんな一緒の水のはずだ。
水は人を分け隔てしたりしないんだろうな。
「加奈ちゃん、喫茶店って行った事ある?」
喫茶店の前を通りながら智子が訊ねた。
「家族で何度かあるわよ」
「いいなあ。私、ないんだあ」智子は羨ましそうな顔を見せる。
「たいした所じゃないわよ。お父さんとお母さんはコーヒーを飲んで、私はジュースを飲むけど、喫茶店なんて高いだけだよ」
「私なんか喫茶店になんか行ったりしたら、私のお小遣い、ほとんどなくなっちゃうよお」
「家族でいけばいいじゃない?」
「ダメダメ、うちは両親とも商売してるせいか、二人ともすごくケチなんだよ。無駄なことには一切お金は使わないの」
智子がむくれたような顔をする。
そんな顔されたら、いつか私が智子を喫茶店に連れて行ってあげたくなる。
もちろん、私の驕りで。
あっ、小学生同士で行くと校則違反か。
「そういえばさあ、長田さんの押し花、智子はどうしたの?」
「ああ、あれ、・・考えさせてください、って言ってそのまんま。もう五年生になったし、クラスも違うから」
「私は受け取ったけど、私は別に長田さん派でもないし。あれって何の意味があるのかな?」
本当は長田さんがピアノを習っているのは意識している。
「自己満足じゃないの?」
自己満足! 智子の口から難しい言葉が出てきた。
「えへへ、ごめん。びっくりした?自己満足って言葉、お父さんがよく使うの」
「びっくりはしないけど。なんで?」
「世の中にはお金を自己満足で使う人がいるって、よく言っているの」
私にはよくわからないけれど、家が商売をしているとそんな人に出会うのだろうか?
「加奈ちゃん、お店に寄っていく?」智子は家の前まで来るとお店の方を指した。
「智子、ごめん、ピアノのレッスンがあるから」
「そっかあ、今日、羊羹の新作がでたんだけどなあ」智子は残念そうにする。
「いつも断ってばかりでごめん。発表会が終わったら。絶対にお店に寄るから」
「うん。加奈ちゃんが忙しいのはわかってるよ・・でも誘う」
こんな安心はあるのだろうか? 毎日のように断っているのに、毎日誘われる。
だって友達だから。私たちはお互いにそう心の中で言った気がした。
「ねえ、加奈ちゃん、この道って水道筋っていう名前なの知ってた?」
学校の帰り智子に訊かれた。
あの日から、何の用事もなければ私は智子とよくこうして帰るようになった。智子の家は近くてわずか一〇分くらいの時間だったけど、私にしては今までにない時間だったので、いい気分転換になった。
「知らない。何でそんなこと訊くの?」
「だって、水道管なんてどこでも通っているのに、この道だけそんな名前が付いているのが不思議なんだよ」
「きっと、他よりも大きな水道管が通っているんじゃない?」私は適当に受け流す。
「どれくらい?」それでも智子は訊ねてくる。
「これくらい」
私は両手を一杯に広げて智子に大きさを表した。
「加奈ちゃん、それだったら、ちっちゃ過ぎるよお」
それもそうだ。人の体で表すには限界がある。
「智子、わかってよ。それくらい大きいってことなんだってば」
「でもさあ、水って、どんな家にも公平に行き渡るんだよね。金持ちの人でも、そうでない人でも、飲むのは同じ水なんだよね」
そうだね。同じ所から色んな人に。みんな一緒の水のはずだ。
水は人を分け隔てしたりしないんだろうな。
「加奈ちゃん、喫茶店って行った事ある?」
喫茶店の前を通りながら智子が訊ねた。
「家族で何度かあるわよ」
「いいなあ。私、ないんだあ」智子は羨ましそうな顔を見せる。
「たいした所じゃないわよ。お父さんとお母さんはコーヒーを飲んで、私はジュースを飲むけど、喫茶店なんて高いだけだよ」
「私なんか喫茶店になんか行ったりしたら、私のお小遣い、ほとんどなくなっちゃうよお」
「家族でいけばいいじゃない?」
「ダメダメ、うちは両親とも商売してるせいか、二人ともすごくケチなんだよ。無駄なことには一切お金は使わないの」
智子がむくれたような顔をする。
そんな顔されたら、いつか私が智子を喫茶店に連れて行ってあげたくなる。
もちろん、私の驕りで。
あっ、小学生同士で行くと校則違反か。
「そういえばさあ、長田さんの押し花、智子はどうしたの?」
「ああ、あれ、・・考えさせてください、って言ってそのまんま。もう五年生になったし、クラスも違うから」
「私は受け取ったけど、私は別に長田さん派でもないし。あれって何の意味があるのかな?」
本当は長田さんがピアノを習っているのは意識している。
「自己満足じゃないの?」
自己満足! 智子の口から難しい言葉が出てきた。
「えへへ、ごめん。びっくりした?自己満足って言葉、お父さんがよく使うの」
「びっくりはしないけど。なんで?」
「世の中にはお金を自己満足で使う人がいるって、よく言っているの」
私にはよくわからないけれど、家が商売をしているとそんな人に出会うのだろうか?
「加奈ちゃん、お店に寄っていく?」智子は家の前まで来るとお店の方を指した。
「智子、ごめん、ピアノのレッスンがあるから」
「そっかあ、今日、羊羹の新作がでたんだけどなあ」智子は残念そうにする。
「いつも断ってばかりでごめん。発表会が終わったら。絶対にお店に寄るから」
「うん。加奈ちゃんが忙しいのはわかってるよ・・でも誘う」
こんな安心はあるのだろうか? 毎日のように断っているのに、毎日誘われる。
だって友達だから。私たちはお互いにそう心の中で言った気がした。
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