転生先のぽっちゃり王子はただいま謹慎中につき各位ご配慮ねがいます!

梅村香子

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番外編

第三王子専属護衛騎士の昼下がり(後編)

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「あ、運動着でお邪魔しちゃうのは失礼かな」
「そんなお気遣いなど不要ですよ」

急に礼儀を気にする言葉に、フレデリクは思わず笑った。

「じゃあ、行こう! すぐ行こう!」

城とは違った石造りの屈強な宿舎へと、テオドールは楽しそうに入っていく。
近衛隊の宿舎に、こんなに上機嫌な様子で入っていく王族は今まで誰もいなかっただろう。

「フレデリクの部屋はどの辺?」
「二階の奥です」
「ふふ。ワクワクしてきた!」
「期待には全く沿えないと思いますよ」

廊下ですれ違う騎士が、テオドールの姿に驚いて目をむいている。
当然だ。こんな所に王子がいるなんて、最上級の非常事態だ。
慌てて慇懃いんぎんに頭を下げようとする者たちを、王子はさり気なくあしらって足を進めていく。
これ以上、目撃者が増えて変な噂の的にはなりたくないので、人の目をなるべく避けて二階へと案内する。

「ここですよ」

そして、廊下を進んだ奥。
角部屋の扉を開けると、テオドールの表情が一層明るくなった。

「わ……! ここがフレッドの部屋……!」
「楽しいものなんて何もないだろ?」

扉と鍵を閉めてしまえば、完全に二人だけの空間だ。
自然と言葉遣いが砕けたものになった。

「分かってないなぁ。フレッドがここで生活してるって思うと、ドキドキするんだよ」

少しだけ頬を染めて答えるテオドール。

ドキドキ……するのか?

フレデリクは改めて自室を眺めた。

室内は古いベッドに机、小さな衣類棚。
それだけだ。
広さも最低限であり、テオドールの部屋とは比べものにならない。

騎士には質素な生活を美徳とする価値観がある。
貴族や高官としての立場がある者は別だが、騎士のほとんどが簡素な暮らしをしているのだ。

「少し前までは、ここに立派なビロードのマントが飾ってあったんだけどな」

フレデリクは殺風景な部屋の一角に目を向けた。
専用の台まで作って宵闇色のマントを飾っていたのだが、今は幻である。

「僕が贈ったものだよね? 飾るのやめたの?」

フレデリクは首を横に振った。

「父がテュレンヌ家の邸宅に持ち帰ったんだ」

アクアマリンの瞳が不服そうに細まる。

「テュレンヌ家の騎士が王家からマントを賜ったのは久しぶりだから、邸宅に飾りたかったらしい」
「なるほど……」

どの家でもそうだが、王家からの授与品は家宝に匹敵する。
父の気持ちもよく分かるが、テオドールが自分のために意匠まで考えて贈ってくれたものを没収されたのは面白くなかった。
邸宅にあった方が手入れがきちんと行き届くのは分かっているのだが。

「じゃあ、次の大会で二枚目のマントを贈ろうか?」
「そんな畏れ多いことをされたら家族が腰を抜かすからやめてくれ」
「あははっ。あの立派な宰相閣下が腰を抜かすところなんて想像できないよっ」

テオドールが心底楽しそうに笑った。
愛らしい表情は見ているだけで心が温かくなる。
優しい温もりを直接味わいたくて、愛しい人を抱きしめようとしたら、本人から胸に飛び込んできた。
ぎゅうと抱きつかれて、首に温かい吐息がかかる。

「最近……二人きりになれる時間が少なくなったから、ちょっと寂しいんだ」

リーフェ茸の騒動は終息したが、テオドールは国王の判断で謹慎を続けている。
社交界には顔を出さずに、城の人々とも距離をおいている生活だ。
しかし、関係者がテオドールを放っておかないのである。
国王と王妃は頻繁にテオドールを呼び寄せては家族の時間を過ごしていて。

もちろん、あいつ……いや、王太子もだ。

アルフィオは剣術の稽古だけではなく、菫の館に突然やってきては、こちらの予定を考えずにテオドールを構いたおしていくことがよくあるのだ。

デジレが去って止まっていた勉強も、新たな侍従であるエヴァンや教師を招いて行われるようになっていて、テオドールとの二人の時間はぐっと少なくなっていた。

「護衛としてずっと隣にいてくれるのに、手を握ることもできなくてさ……傍にいる分、余計にもどかしいっていうか……」

美しいエメラルドの瞳が腕の中から見上げてくる。

「そうだな。俺もテオに触れたくてたまらなくなる時があるよ」
「よかった。フレッドも同じ気持ちでいてくれてるんだ」

優しく笑むテオドールの顔をフレデリクは両手で包んだ。

「誰もがテオと一緒にいたがるから、俺はずっと気が気じゃない……」
「ええ?」

今度は困ったような顔をされる。
コロコロと変わる表情が可愛くて仕方がない。

「どんなに素敵な人がいたって、僕が恋をするのはフレッドだけだって言ってるでしょ?」

テオドールの腕が首にそっと回される。

「ずっと好きだよ。いつだって愛してる」

愛の言葉と共に背伸びをしたテオドールがゆっくりと顔を寄せてくると、唇がふわりと重なった。
恋人からの優しい口づけに、心も体も瞬く間に熱くなる。

「テオ……」

フレデリクは蜂蜜色の髪を撫で、しなやかな背中を抱き寄せた。

「ん、ぁ……っ」

柔らかい唇を執拗についばみ、歯列の隙間から舌を差し込む。
溢れてくる甘い唾液をすすりとり、愛する人の口内を味わい尽くす。

「フレッド……ん、ふぁっ」

飽くことなく唇を貪っていると、テオドールの足から力が抜ける。
そのまま口づけにとろける体を支えて、ベッドへ押し倒した。

「あっ……んん……」

舌をからめながら運動着の隙間から絹肌をまさぐる。

「やっ……ち、ちょっとまって……!」

背中から腰を愛撫して、耳を舐め上げると、テオドールの体がびくびくと震えた。

「……鍛錬したあとで体をふいてないから……」
「そんなに汗はかいてないだろ? それに俺はテオの匂いが濃い方が――」
「ぼ、僕はいやだよっ……!!」

耳の先まで紅くなって狼狽うろたえるテオドールが、とてつもなく愛らしくて。
羞恥に悶える体を軽くいなしながら、顔中に何度も口づける。

「テオ……かわいい……」

潤むエメラルドの瞳をうっとりと見つめていると、そっと背中に手が回される。

どうやら、お許しが出たようだ。

フレデリクは細い首筋を舌でなぞりながら、ズボンの中に手を入れて柔らかい双丘をもみしだいた。

「ぁぅ……フレッド……っ」

テオドールの呼吸が乱れ、肌が少しずつ淫欲に染まりはじめた。
たまらなくなって、真珠色の体から布を奪い取る。

傷一つない柔肌に均整のとれた美しい体躯。

生まれたままの姿になったテオドールに、フレデリクは劣情を宿した熱い視線をわせた。
この瑞々しい体を目にするのは、いつも夜ばかりで。
月光を吸ってしっとりと輝く体も最高だが、日光の中で健康的に艶めく体も素晴らしく魅力的だった。

「……見られるの、恥ずかしいよ……」
「きれいだから、見惚れずにはいられないんだ」
「ぅぅ……」

近衛隊の宿舎の中。
質素な自室のベッドの上に、愛しい恋人が肌を露わにして横たわっている。
窓から入る日の光はテオドールの体を余す所なく照らし、清廉でいてなまめかしい彼の全てを明るみにさらしていた。

「テオ……」

吸い付くような肌を堪能しながら、白い首から鎖骨、胸から腰へと指をすべらせる。

そして――。

「……っ」

淫らな期待にわななく下腹部にそっと触れた。
健気に勃ち上がって震える花芯に指を絡めると、ヒクつく鈴口から透明な愛蜜がにじみ出る。

「ん、ぁんんっ……」

悩まし気に眉を寄せて尻を揺らすテオドールを前に、己の欲望も痛いほどに張り詰めていく。

「気持ちいい……?」

ゆっくりとしごきながら問うと、恥ずかしそうにしながらも可愛い顔が小さく頷く。

「フレッド……もっと……」

素直に更なる快楽を求めるテオドール。
劣情が苦しいほどに胸を満たし、フレデリクは己の欲のままに震える花芯を口に含んだ。

「っやぁっ……! きたないからっ、だめだよっ……ぁっ!」

テオドールの制止を聞き流すと、亀頭に吸いついて唇と舌で鈴口や裏筋をいじりまわした。

「ぁあっ、ぅんん……っはぁ、フレッドぉ……」

根本まで口内におさめて、唇で激しくしごく。
とめどなく溢れる愛蜜と唾液が混ざり、それが根本の膨らみから会陰をねっとりと流れて、後孔を濡らした。

「っ、ぁぁ……くちのなか、きもちいい……っ」

室内が、いやらしい水音と、快感にひたりきった甘い声で満たされる。
白く細い手が銀色の髪に埋まり、騎士の顔が王子の下腹部に引き寄せられた。
いつも凛とした花のかんばせが完全に口淫に陥落し、性欲の虜なっていく様子に、強烈な情欲が湧きあがる。
強く舐めしごいてやると、テオドールの声が切羽詰まっていった。

「はぅっ……んあぁ……っフレッド……な、なかに……でちゃ……ぁああっ!!」

鈴口を舌でつつきながら吸いつくと、太腿を震わせてテオドールが口内へ欲望を放った。
独特な風味のそれをフレデリクはためらいなく嚥下えんかする。

「んん、っあ……の、のんじゃだめだよっ……」

騎士がしっかりと飲み下したのを見て、王子は焦った顔をする。

「……前も、だめだって言ったのに……」
「テオが気持ちよくなってくれた証を、俺の中に取り込みたいんだ」

快感の余韻に沈むエメラルドの瞳を見つめながら伝えると、王子は羞恥に染まった頬を両手で覆ってしまった。

「そんな風に言うの……ずるいよ」
「ただ本心を言っただけなんだけどな」

顔を隠している手の甲に軽く口づけると、フレデリクはテオドールの濡れた秘口を指先でそっと撫でた。

「ぁ、ん……っ」

ゆっくりと後孔に指を挿れると、細い腰がぶるりと震えた。
熱くうねるテオドールの中。
すぐにでも己の欲望で貫きたくなるのを我慢して、快楽をあやすようにほぐしていく。

「……ゆび、あついよ……っ」
「熱いのは指じゃなくて、この中じゃないか?」

そう言いながら、指の腹でテオドールの快感のツボを擦ると、白い尻がもぞもぞといやらしく動いた。

「っぅ、そこばっかり、だめだよっ……あんんっ」

誘い込むように指を喰い締めて。
テオドールは蜂蜜色の髪をシーツに擦りつけて背をしならせた。
欲情して火照った肌に、ぷっくりと膨れた乳首。
色付く花芯は再び頭をもたげ、震える腰と共に大胆に揺れていた。

なんと淫らで扇情的な姿だろうか。

とうとう我慢が尽きて、フレデリクは己の下肢に手を伸ばす。
すると、テオドールに腕をつかまれた。

「……今度はフレッドが横になって」
「え?」
「ぼくが、フレッドを気持ちよくするから……」

恥ずかしそうに言葉を紡ぐテオドールに、腕を引っ張られる。
言われるがままにベッドに横になると、腰にテオドールがまたがってきた。
明るい中で全裸の恋人に馬乗りになられて、残っていた理性が霧散していくのを感じる。
今まで、彼が上に乗ってきたことは一度もない。
今日はいつもと違う部屋なので、気分に変化でもあったのだろうか。

「……テオ?」

テオドールは羞恥と欲望と期待がぐちゃぐちゃに混ざったような表情をしてフレデリクを見下ろしている。

「……いつもね、僕の部屋でするから……夜に一人で寝る時に……フレッドのことを思い出すんだよ。そのたびに、すごくドキドキして……眠れなくなるんだ」

エメラルドの瞳が瞬きの度に潤んでいく。

「……今日はフレッドの部屋だから……ここでフレッドをいっぱい気持ちよくすれば、寝る時に僕と同じようにドキドキしてくれるかなって……」

恥ずかしいのか、声がどんどん小さくなっていく。

確かに、肌を重ねるのは菫の館のテオドールの部屋であることがほとんどだ。
王子殿下の豪奢なベッドでいつも情を交わしている。

つまり。

夜に自室のベッドでの情交を思い出しては悶々としているので、恋人にも同じ気持ちを味あわせてやりたいと。

何だ、それは。
可愛すぎだろ。

「……それで、俺の記憶に深く残るように、こんなに大胆になってくれてるのか?」

馬乗りになっている腰を撫でると、テオドールは尻を震わせた。

「いや、ちがっ……わないこともないけど……とにかくっ、フレッドは動いたらだめだよ!」

そう言って、テオドールはフレデリクのズボンをずらして隆起した性器を取り出した。
昼の光の下で張り詰めたそれを見て王子は息を呑む。

「あ、明るい所で見るのが初めてで……改めて、その、フレッドの……大きいね……」

白くて細い指がそっと雄の欲望に触れ、エメラルドの瞳が淫らな光を宿す。

ああ……。

早くテオドールの奥まで貫いて快感に溺れさせてやりたい。
熱いぬかるみを穿うがち尽くしたい。

フレデリクは生唾を飲み込んで、必死に淫欲に耐えていた。

「ぼ、僕が全部するからね」

フレデリクの性器を愛撫していたテオドールが腰を上げる。
ゆっくりと亀頭が後孔に触れて、王子の下肢がためらいがちに揺れた。

「……怖いなら無理をしなくても――」
「大丈夫っ、だから……」

切なげな表情をして、テオドールはフレデリクの胸に手をついて腰を下ろしていく。

「あ、ああっ……んぅ……ぁっ」

少しずつ、少しずつ。
亀頭が、淫幹が、テオドールの柔らかい体内に飲み込まれて――。

「フレッド……ひゃっ……んっ」
「テオ……もう少しだ」

フレデリクは細い腰をつかんで支える。
いつもとは違うもどかしさに、腰を突き上げてしまいたくなるのを懸命にこらえた。

「んっ……ぜ、ぜんぶはいったよ……っ」

根本まで尻にくわえ込んだ王子が声を震わせながら言う。

「ぼくが、うごくからね。フレッドは寝てるだけだよ」
「……なかなか難しい要求だな」

腰を支えたまま、フレデリクはテオドールを見上げる。

「……ぅ……あ、あ、んぁあっ……っ」

下唇をきゅっと噛んで、テオドールが尻を浮かせた。
根本まで入った性器を柔らかいぬかるみが擦り上げる。

「ひっ、んぁ……んふっ……ぁっ!」

そして、力が抜けたように再び腰を落とす。

「テオ……」

正直、頭がおかしくなりそうなぐらい焦れったい。
しかし、テオドールが主導権を握りたいと可愛らしく奮起してくれたのだ。
ベッドの上での王子殿下の意志は何があっても尊重したい所存である。

「ま、まってね……すぐにいっぱい動くようにするよ」

起立した花芯を震わせて、少々怯えながら抜き差しを繰り返すテオドール。
視界からの刺激はすでに最高潮だ。

「焦らずゆっくりでいいから」

全力で淫欲を押しとどめて紳士的な言葉を口にしながらも、フレデリクの両手は柔尻を存分にもみしだいていて。
白銀の美貌は完全に雄の欲に支配されていた。

「だいじょうぶ、っだよ……んっ」

体を桃色に染めて、テオドールは腰を動かし続ける。

「あっ……なか、こすれてっ……はぁっ……」

尻の揺れが少しずつ激しくなり、柔らかなぬかるみが執拗に性器にからみついてくる。
張り詰めた花芯から止めどなく溢れる愛蜜がフレデリクの腹にこぼれ、いやらしく糸を引いていた。

「フレッド……っちゃんと、きもち……っいい?」
「ああ……きもちいいよ……」
「よかった……ぁあぅ……うれしい……っ」

背をしならせてテオドールが甘い声をもらす。
中を刺激することを覚えたようで、激しく尻を振ってはごしごしと快楽のツボを摩擦して太腿を震わせている。

「ぁんっ……そこだめ……っ!」

色付いた乳首を指で潰すように撫でると、左右に首を振りながらテオドールが軽く胸を叩いてきた。

「……それなら、ここは?」

腹の上で揺れる花芯をにぎると、悲鳴に似た声があがった。
閉じることを忘れた王子の唇から唾液が流れて、顎から首を濡らしていく。

「やぁっ……そこも、むりっ……おしりだけでいっぱい……あ、んっ!」

髪を振り乱し、快感の涙をこぼしながら尻を振るテオドール。
欲に乱れた姿がこんなにいやらしい上に美しいのだから、とんでもない王子殿下だ。

快感のツボを刺激してはすすり泣き、欲望を根本まで飲み込んでは甘い声をまき散らし。

ベッドを限界まできしませて、テオドールの白い体がフレデリクの上で淫らに暴れる。

「っあ……あ、はぁっ……ん…ど、どうしよう……っ」
「テオ?」
「フレッドに、きもちよくなってほしいのに……ぼく、ぼく……ああっ……もう、きちゃう……んんっっ!!」

フレデリクの性器を強く喰い絞りながら、テオドールは濡れた花芯の先端から白濁を勢いよく放出した。

「っあ、はぁっ……ん、ん……っ」

快感にどっぷりと浸かった体が、フレデリクの胸の中に倒れ込んでくる。

「テオ……っ」

足を大きく開いたまま胸の上で荒い呼吸を繰り返すテオドール。
フレデリクは、その淫らな体をきつく抱きしめると、激しく下から突き上げた。

「ぅ、ああっ~~~!!」

吐精直後の体に強く雄の欲望が食い込んで、テオドールが体を大きく震わせた。

「ぁん……フレッドっ……まって……っ!」
「無理だ」

とうの昔に忍耐の時間は通り過ぎている。
もう一瞬だって待てはできない。

尻を鷲掴んで、とろけたぬかるみを執拗に穿つ。

「……んぁっ……ぁはぅ……ふっぁ、ん……」
「……かわいい……俺のテオ……」
「フレッド……あ、んっ!」

テオドールがいやらしくあえぎながら、唇を顔に擦りつけてくる。

「……キス、したい……っぁ」

要望通りに柔らかいそれを貪り、唾液を啜って、騎士は王子の全てをしゃぶり尽くす。

「んふぁ、あ、ああっ……フレッドぉ、ぜんぶ……おくにほしいよっ」

恋人の淫らなおねだりにカッと体が熱くなる。

「テオ……っほら、全部だ……っ」

一際激しく突き上げて。
熱い舌に吸いつきながら、腰の中で煮えたぎる淫欲を愛しい人の最奥にぶちまけた。

「んんぁ! なか……あつい……っっ」

テオドールは尻を震わせて深く感じ入っている。
世界中探しても、こんなに可愛くて淫らな王子はテオドールしかいないに違いない。
まさか自室のベッドの上で、こんなにいやらしい恋人を見る日が来るとは思わなかった。

「……まだ終わらないからな」
「ん……」

胸の上に乗っているテオドールを抱き支えると、フレデリクは体を反転させた。
再び王子をベッドの上に寝かせて、愛欲に溺れている美貌を見下ろす。

「……今晩から、ここで僕のことを思い出してね」

二人して別々のベッドの上で悶々としているのを想像して、フレデリクは小さく笑った。

「テオの思惑通り、このベッドでは二度と安らかな気持ちで眠れないな」

そう言って、快楽の涙に濡れている頬に音を立てて口づける。
嬉しそうに微笑むと、テオドールはフレデリクに抱きついた。

「作戦成功だ」

すりすりと頬擦りをされて、獣のような唸り声をあげそうになった。

本当に、何なんだ。

こんなに可愛い人間が存在していいのか。
貪欲に心を虜にしてくる王子殿下を、一体どうしてやろうか。

「俺としては、テオの可愛い姿を、もっと記憶に刻み込みたいんだが、いいか……?」
「…………」

少し恥ずかしそうな、しかし確かな期待を込めた眼差しを向けられて、フレデリクは口元を緩ませた。

テオドールに強烈な同族嫌悪を感じたあの晩餐会から約十年。
当時は、こんな感情を第三王子に向ける日が来るなんて夢にも思わなかった。
ひたすら剣と向き合うだけの日々から抜け出して、テオドールという大切な人ができて。
自分の人生はより鮮やかに。
守るべき人ができた心は、以前と比べものにならないぐらい強くなった。

「全部、テオのおかげだな。ありがとう」
「え?」

不思議そうな顔をする王子の唇を騎士は素早く奪った。

「どうにかなりそうなぐらいテオを愛してるってことだ」

今から、この溢れんばかりの感謝と愛をテオドールの体にじっくりしっかり伝えようと思う。



END



最後までありがとうございます!
予定していたより番外編公開までにお時間をいただいてしまいました。
遅くなりましたが、フレデリク視点の話はいかがでしたでしょうか?
ブラコンお兄ちゃん化しつつあるアルフィオ兄上と相変わらずのレオン隊長も書けて非常に楽しかったです。

改めて、本作を読んでいただいて本当にありがとうございました!

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