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本編
第17話 『婚約者の嫉妬』 ②
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「……モニカ様?」
そんな私の態度を怪訝に思われたのでしょう、アラン様が私の顔を覗きこんでこられました。それに、慌てて私は「何でもないです!」と返していました。いいえ、そう返すことしか出来なかったのです。これは、アイザイア様と私の問題なのです。所詮他人であるアラン様に、軽々しく相談するわけにはいかないのですから。
アイザイア様から視線を逸らしてしまったことを、私は密かに後悔しておりました。ちゃんと、視線を合わせなくてはいけなかった。アイザイア様は私の――婚約者なのだから。いくら、私の中でアイザイア様が「兄のような存在」であったとしても、アイザイア様が私のことを「妹のような存在」だと認識されていても、です。アイザイア様と私は、間違いなく王国が決めた次期国王の夫妻なのだから。
「……モニカ」
「あ、アイザイア様……」
そんなことを私が思っていると、不意に頭の上から声がかけられます。それは、いつも聞いている聞きなれた声でした。顔を上げれば、いつもの整ったお顔と、綺麗な髪が視界に入ります。ここまで美しい男性を、私はアイザイア様しか知りません。まるで、女性のような美しさを持っていらっしゃる。それが、アイザイア・フェリシタルという男性だから。
ですが、私は分かっていました。アイザイア様が今――怒っていらっしゃるということを。でも、理由は分かりません。もしかしたら、私がアイザイア様のことを一番に出迎えなかったことでしょうか? はたまた、先ほど視線を逸らしてしまったことでしょうか? 浮かんでは消えない、自分がしでかしてしまった過ち。それに、いたたまれなくなってしまった私は、またアイザイア様から視線を逸らしてしまいました。ですが、それをアイザイア様が許してくださるわけもなく。私の腕を流れるような仕草で掴まれると、私の逸らした視線の先に入ってこられました。
「……モニカ。ちょっと、お話をしようか」
「お、お話、ですか……?」
アイザイア様は、普段はあまり怒らないタイプのお方です。だからこそ、怒った時がとてつもなく怖い。そう、私は認識していました。そして、今、私は理解しました。……私自身がどこかでアイザイア様の怒りのスイッチを、押してしまっていたということに。いえ、薄々予想はしていたのですが。
「そう、二人きりでお話。……ここじゃ何だから、一緒に帰ろう。俺、結局夜会に参加できそうにないからさ。モニカを迎えに来たんだ」
そうおっしゃったアイザイア様は、私の腕を掴まれたまま歩き出されました。それに、慌てて私が付いていきます。アイザイア様の歩くスピードが、明らかには早い。いつもならば、私に合わせてゆっくりと歩いてくださるのに、です。まるで、自分のことしか考えていない。そんな、速度でした。
(あぁ、やっぱり私……アイザイア様を怒らせるようなことを、してしまったんですね……)
そんなことを思いながら、私はアイザイア様に必死についていきました。ふと見えたアイザイア様の横顔は、いつものように美しさを放っています。……ですが、どこか怒りに満ちている。そう、私には見えました。
そんな私の態度を怪訝に思われたのでしょう、アラン様が私の顔を覗きこんでこられました。それに、慌てて私は「何でもないです!」と返していました。いいえ、そう返すことしか出来なかったのです。これは、アイザイア様と私の問題なのです。所詮他人であるアラン様に、軽々しく相談するわけにはいかないのですから。
アイザイア様から視線を逸らしてしまったことを、私は密かに後悔しておりました。ちゃんと、視線を合わせなくてはいけなかった。アイザイア様は私の――婚約者なのだから。いくら、私の中でアイザイア様が「兄のような存在」であったとしても、アイザイア様が私のことを「妹のような存在」だと認識されていても、です。アイザイア様と私は、間違いなく王国が決めた次期国王の夫妻なのだから。
「……モニカ」
「あ、アイザイア様……」
そんなことを私が思っていると、不意に頭の上から声がかけられます。それは、いつも聞いている聞きなれた声でした。顔を上げれば、いつもの整ったお顔と、綺麗な髪が視界に入ります。ここまで美しい男性を、私はアイザイア様しか知りません。まるで、女性のような美しさを持っていらっしゃる。それが、アイザイア・フェリシタルという男性だから。
ですが、私は分かっていました。アイザイア様が今――怒っていらっしゃるということを。でも、理由は分かりません。もしかしたら、私がアイザイア様のことを一番に出迎えなかったことでしょうか? はたまた、先ほど視線を逸らしてしまったことでしょうか? 浮かんでは消えない、自分がしでかしてしまった過ち。それに、いたたまれなくなってしまった私は、またアイザイア様から視線を逸らしてしまいました。ですが、それをアイザイア様が許してくださるわけもなく。私の腕を流れるような仕草で掴まれると、私の逸らした視線の先に入ってこられました。
「……モニカ。ちょっと、お話をしようか」
「お、お話、ですか……?」
アイザイア様は、普段はあまり怒らないタイプのお方です。だからこそ、怒った時がとてつもなく怖い。そう、私は認識していました。そして、今、私は理解しました。……私自身がどこかでアイザイア様の怒りのスイッチを、押してしまっていたということに。いえ、薄々予想はしていたのですが。
「そう、二人きりでお話。……ここじゃ何だから、一緒に帰ろう。俺、結局夜会に参加できそうにないからさ。モニカを迎えに来たんだ」
そうおっしゃったアイザイア様は、私の腕を掴まれたまま歩き出されました。それに、慌てて私が付いていきます。アイザイア様の歩くスピードが、明らかには早い。いつもならば、私に合わせてゆっくりと歩いてくださるのに、です。まるで、自分のことしか考えていない。そんな、速度でした。
(あぁ、やっぱり私……アイザイア様を怒らせるようなことを、してしまったんですね……)
そんなことを思いながら、私はアイザイア様に必死についていきました。ふと見えたアイザイア様の横顔は、いつものように美しさを放っています。……ですが、どこか怒りに満ちている。そう、私には見えました。
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