本日、訳あり軍人の彼と結婚します~ド貧乏な軍人伯爵さまと結婚したら、何故か甘く愛されています~

扇 レンナ

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本編 第1章

第7話

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 その言葉を聞いたためか、いろはがくすっと声を上げて笑う。

「まぁ、あなたって割と柔軟だから。……華族としても、十分やっていけると思うわよ」

 肩をすくめたいろはの言葉に、真白は自然と顔をしかめた。

 多分ではあるが、いろはは真白のことを『鈍感』だと言っているのだ。確かに、姉たちに比べればずっと鈍いのだが……。

「でも、お父さまの判断は正しいとは思うわ。……私たちだったら、ド貧乏な華族との結婚なんてごめんだもの」

 真白の姉たちは、みな才色兼備の素晴らしい女性だ。が、その分苛烈というか、自我が強いというか。さらには割と浪費家なので、ド貧乏な華族との生活なんて到底無理だろう。

 ……その点は、いろはに同意できる。

「それにね、真白。……私、思うのよ。今後、花里が発展するためには、顧客に華族を取り入れるのは必須事項よ」
「……お姉さま」

 自身の髪の毛を一房取って、弄りつついろはがそう言葉を口にする。

 いろはは姉妹の中で一番賢く、先を見通す力があった。……彼女がそういうということは、大方その通りなのだろう。

「胸を張りなさい。たとえどうであろうとも、あなたはこの花里にとって必要なことを出来ているのよ」

 まるで、発破をかけるような言葉だと思った。

 いろはは、知っているのだ。真白が親族たちから心無い言葉をかけられているということを。

 姉たちはいつだって真白を庇おうとはしなかった。ただ、一緒になって心無い言葉をかけてくることもなかった。

 完全に中立の立場を保っていた。

 一時期はそれを憎たらしい、助けてくれたっていいじゃないかと思っていて。……それでも、今になればわかる。

 彼女たちは、真白が強くなる手伝いをしてくれていたのだと。

「どこの誰があなたをバカにしたって、あなたは間違いなく強い。……いい?」
「……はい」
「きっと、あなたは華族の元に嫁いでも、その鈍さと図々しさでやっていけるわ」

 ……けれど、それは絶対に褒めていない。

 そう思って頬を軽く膨らませれば、いろはは笑っていた。

「お互い、たくましく生きましょうね。……商家の娘として、花里の人間として。やるべきことは、やり遂げるのよ」
「……はい」

 いろはの言葉は心強くもある半面、不安を煽るような部分もあった。

 が、しかし。

 真白は幼少期から商家の娘としていろいろなことを叩き込まれている。

 だから、知っているのだ。どんな考えも、どんな言葉も。

 ――自分の力にすることが、出来るのだと。
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