大聖女と言われ転生しましたが、大きな仕事もせずに第二王子に愛されています。

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第2章*王子とアンナ

4出会い①アンナ

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 父とワルツを踊り戻って来ると兄イーサンが両手を広げ笑顔を待ち構えていました。

「素敵だよアンナ。今日の君は妖精、いや女神の様だ」
 周りの女性たちから悲鳴にも似た声が上がる。

「兄さま恥ずかしいのでやめて下さい」
 私は居たたまれない気持ちなり俯き頬を染めた。

「駄目だよ下を向いていては。可愛いアンナの顔が見れないだろう。次はこの兄と踊ってくれるよね」
 父に似た美しい顔で言われ前世の私だったら完全に落ちているわと思ってしまう。
 前世は二十歳の杏だったが、恋愛経験は少なかった。高校時代に付き合ったクラブの先輩とファーストキスをしたくらいでテンパるくらいだったのだからこんな甘い言葉で誘われたらとんでもない事になってるだろう。
 違う乙女の記憶があっても今はイーサンは兄だ。
 どんなにカッコよくて綺麗でも流石にその感情はない。
 あくまでも杏だったらというお話ですよ。

「兄さま、こんな華やかな場所で緊張しながら父さまと二曲も踊ったら疲れました。少し休んでからで宜しいでしょう?」
 上目使いに兄を見ると勿論だと微笑み少し風に当たるかいとバルコニーへと誘ってくれ、広いバルコニーに設置されたベンチにアンナを座らせると果実水を持って戻って来ました。

『炭酸入りの果実水はシュワシュワと喉に広がり生き返った気がするわ』

「おや、イーサン。君が女性と二人きりなんて珍しいね」
 広間とバルコニーを繋ぐ廊下から声をかけらます。
「デオドール殿とバージル殿こそお二人揃ってとは」

 今、デオドール殿とバージル殿って言いました?
 なんとまさかの第一王子殿下と第二王子殿下ですよね?

◆第一王子デオドール二十五才 金髪にブルーの瞳 甘いマスクと言葉で女性を魅了するプレイボーイ。足のお悪い陛下に変わり外交で国を留守にすることが多い。
◆第二王子バージル  二十才 銀髪に深い藍色の瞳 元は金色の瞳だったが魔力が暴走し始めた時から藍色に変化してしまった。美しく精悍な顔立ちで人気は不動だが成人してから何故か浮いた噂もない。

「今日は聖女の付き添いを兼ねていたからな。マリーの相手は疲れる。。。やっと解放されたところだけど、そちらの可愛いお嬢さんはイーサンのいい人なのか?勿体ぶらずに紹介してくれよ」

「この子はそう云う人などではありませんのでお気になさらないで頂きたい」
 そう言いながら兄さまは私の事を自分の背中に隠すように前に出ます。
 えっ、でも兄さま両殿下ですよ?ましてや年上の方に対してそんな口の利き方と態度をして良いのでしょうか・・・

「おや、隠すことないだろう?随分じゃないか」
 金髪の第一王子デオドール様が冷やかすようにちょっかいを出してきます。
 第二王子のバージル様は無言でアンナでの事を見つめていました。

「あー。女癖の悪いと評判のデオドール殿にだけは見つけられたくありませんでした。けど仕方ありません。本日デビューを迎えた妹のジュリアンナです」
「ほぉ、妹君であったか。それにしても酷い言いようだな」
 デオドール殿下は苦笑します。
 兄さま下手したら不敬罪で切り捨てられますよ。

「お初にお目に掛かります。ジュリアンナと申します」
 私は冷や冷やしながらも兄の背中ら前へ出て淑女の礼を取ります。

「イーサンと双子のマリエッタも美しいがジュリアンナも負けず劣らずだな。うん、可愛い、お前の家系は凄いな」
 感心したようにデオドール殿下は笑うとそのまま私の手を取り軽く口づけます。
「よろしく、ジュリアンナ」
 ぺしっ!兄さまが私の手を取った殿下の手を叩きました!
「なっ。何をしてるんですか!大事な私のアンナに」
 また苦笑するデオドール殿下。

「なるほどアンナと呼ばれているんだな。これからは我もアンナと呼ばせてもらおう」

「だ、駄目です!親しい者だけの呼び名ですから」
 兄さまは真っ赤になって殿下に言い返しますが殿下はお構いなしで

「たった今アンナと親しくなった、だから良いであろう」
「うっ、だから殿下には会わせたくなかったのに。。。」

 哀れ兄さま撃沈。

 くくくっ。
 デオドールの後ろから笑いを堪えた声が洩れてきます。
 月明かりに照らされた銀髪に深い深い藍色の目を細め肩を震わすバージル。

「何なんですか、バージル殿まで」

「いやすまん、イーサン。いつも冷静で突つきどころが無いお前が妹君の事でこれ程乱すとは思わなかったからつい。くくくっ」
 そう言いながら私の顔を見て来られたので目が合ってしまいました。

 バージル殿下は「えっ。」と一瞬固まり、深くひと息を吐いてから私に向かって歩みを進め、いきなり目の前で跪き私の手を取ると指先に口づけたのです。
 これにはデオドール殿下と兄さまも目を見開いて驚き声も出せず見入っているだけ。
 当の私だって跪かれてこんな事された事なんて有りません。

「で。殿下何を・・・」
 思わずどもってしまいました。

「ジュリアンナ嬢、デビューおめでとう。是非この私と一曲踊ってはくれないだろうか」
「えええー、私が殿下とですか!」
「ああそうだ。是非とも君と踊りたい」

「に、にいさまどうしましょう。。。」
 私は兄に助けを求める。
「バージル殿下、私もまだアンナと踊っていないのに駄目です!ダメ!」

「イーサンの許しは要らない。さぁ行こうジュリアンナ」
 そういうや否やバージルはアンナの手を引いてホールへと向かっていきます。

「何なんですかーーー」

 イーサンはその場に崩れ落ちる。

「何なんだろうね?あんな弟を見たのは初めてだ。バージルはアンナに一目惚れでもしたのか?」
「冗談じゃありませんよ。私の大事な妹を」
 イーサンは半泣き状態である。

 そのイーサンに手を差し伸べ立ち上がるのを手伝いながらデオドールは

「面白いものが見れたな。浮いた噂一つなく寄って来る令嬢に見向きもしなかったバージルがだよ。いやー驚いた。早速母上にも報告して差し上げよう」
「お待ち下さい殿下、これは何かの間違いです!!!」

 イーサンの訴えに耳も貸さずデオドールは楽しそうに笑っているのでした。


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